記憶
「・・・・」
「・・・・んっ」
気を失っていたのだろうか?
横たわっていた身体を起こして目を覚ましたかべのこ。
一体何が起こったのか?
いきなり黒い穴から黒い腕が伸びてきて自分の腕を掴んだ。そして穴の中へ引きずり込んだ。
周りの状況を確認する為にキョロキョロと辺りを見回す。
(・・・黒い)
かべのこの周りの景色は全てが黒かった。
暗いなどではなく黒。全てを飲み込むような漆黒。
まるで暗闇の箱に閉じ込められたみたいに…
「目が覚めましたか?」
背後から声がする、どうやら自分へ語りかけてきたのだろう。かべのこは声のする方へ振り向いた。
「!」
…化物がいた
黒い闇の中に黒い化物がいた。
黒い空間にいるはずなのに、その黒い化物ははっきりわかる。
「・・・アッ」
思わず声が漏れる。全ての感情を遮断してきたかべのこだったが、あまりの衝撃に思わず後ずさる。
「あなたを待っていたのですよ…あなたが来るのをずっと待っていたのですよ」
かべのこをよそに黒い化物はかべのこに語りかける、冷たい声が黒い空間に響く。
「・・・・」
…この声…嫌じゃない
化物の声の内容は理解できない。
でも、どうしてだろう…かべのこには化物の声に不思議な温もりを感じていた。
「あなたは心を閉ざして生きてきましたね。とても辛く苦しい日々を生きてきましたね」
「今から、あなたの呪縛を解いてあげます」
そう言うと化物はかべのこの頭にそっと黒い手を乗せた・・・
「いやあぁアァあぁッっ!!!!」
断末魔をあげるかべのこ!
黒く閉ざされていたかべのこの頭の中の記憶が開かれる!
全ての点が一気に線になる!その衝撃が一気に脳の中を駆け巡っていく!
・・・それは
トテモ…トテモ…ツラクテ…オソロシイ…キオク




