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旦那編 marito 40:夢追い correre dietro a sogno
風誘う 青葉の枝の 連なりに 囁く鳥の 声聞かば
踏みし旅路を 振返る 我を導く 往手にも
霞かかりて 先見えず 夢を求めて 彷徨えど
何処と知れず 夏草の 想い萎えて 踏み惑う
山路踏み越え 朝霧の 迷いし道に 灯火取り
我の捉えし 言の葉は 日の影揺れて 柔らかき 春の陽溜
陽炎の 燃ゆる荒野を 我は行く
啓けし道を 我辿る 果てなし時に
草枕 旅路の泊 途次
一里の塚を 捉えども 夢の姿は
露のごと 朝に置きて 夕べには 宙に溶け行く
霧のごと 夕べに立ちて 朝には 風と去り行く
人伝に 聞けども在りし こともなく
時を重ねて 待ち侘びる
捉えるべきと 言ふ森の 恵み求めて 来つれども
蔓巻く樹々も 草花も 落つる泉の 流れさえ
夢を覚えし はずもなく 後を辿れど
葉も幹も 何処も夢の 跡も無し
木々の狭間に 木霊する 葉擦れの音に 振り向けど
姿の見ゆる 故もなく 想い起せし 人の世の
喧し姿 嘲笑う 永遠の命の 神々の
思うがままの 掌
淡き運命の 蜉蝣の 消え行く如く
限りある 道の中半と 知りつつも
我は求めん 人の身の夢
次回 「旦那編 41:道を行く Per andare sulla via」




