奥編 moglie 36:火の山の魔女(その4)Strega in vulcano:quarto
前回:第二段階を進んだら、火の鳥が現れた。
「先手必勝! 氷の槍!」
「おぅ!」
ボクの魔法に合わせて、騎乗するゲッツが飛び掛かる。
火の鳥が、高く飛んで躱したため浅い。
「ちっ! 意外に素早いな」
「これ、属性は火ですよね。シャボン玉!」
多数の泡を空中に飛ばして動きを阻害する。
「水の連弾! 水球剤!」
水魔法と同時に薬剤を投げて置く。
両方とも、鳥の熱で蒸発している。時間かかるかな?
サヤは弓で連続攻撃、合間に隼が自動攻撃する。通常攻撃でも削る能力は高い。特に隼付なので、威力は十分だ。
「ゲッツ、敵が突っ込んで来るのを抑えてくれ、攻撃はこっちに任せろ!」
「承知!」
サヤの声に応じて、皆を庇うかのように前に出る。
敵の急降下を盾で防ぎ、弾き返す。
「回復の霧!」
コーリの魔法にゲッツが応える。
「これなら十分耐えられる。攻撃は頼んだぞ」
「了解、なるべく早く片付けるね」
ボクはスリングショットに力を込めて放つ。
「氷の壁!」
火の鳥は突っ込もうとしたが、氷の壁で阻まれ、よろめく。
そこにとどめの隼の攻撃がクリーン・ヒットする。
鳥は崩れ落ちるように落下し、そのまま空中に溶けて行く。
「まぁ、こんなものか」
「まだ、俺たちは余裕があるぞ」
サヤとゲッツの声に、案内の火の精霊は少し首を傾げて応える。
「確かに言われる通り、あなた方には少々役不足だったかもしれません。これで第二関門を通過しました」
「次はもっと楽しませてくれるんだろうな?」
ゲッツ、そんなに煽らないで!
「それではこちらへお進み下さい。第三関門へご案内します」
第一関門と同じ、淡い光の円が現れる。
「それでは先で待っております」
彼女は円の中へ消えて行く。
「さて、次に行く前に装備などの確認をしてくれ。次も何が出るか予想がつかん!」
「でも、サラマンドラより時間が短かったですね」
「うちのパーティは空中敵に強いのかもね」
さっきと同じようにフォーメーションを組みながら、みんな同時に円に飛び込む。
一瞬にして環境が変わる。
「 “火の洞窟„ です」
案内役が微笑む。
「溶岩の道か」
全体が岩の洞窟で、其処此処で溶岩が噴き出し、溶岩溜になっている。
「やっと火の山らしくなって来たな。やる気が出そうだ」
ゲッツ、煽るなって!
「道形にお進み下さい。最後の関門です」
「最後と言っておきながら、先があるかもしれんしな」
サヤ、そんなに睨み付けない!
「いくら何でも、そんなことはいたしません」
「まぁ、話半分と聞いておこう」
「途中の溶岩溜から何が出るか分かりませんので、ご注意下さい」
「有難いアドヴァイスに涙が出るほどだ」
コーリがこっそり話掛けて来る。
「お二人とも何か恨みがあるのでしょうか? 最初から喧嘩腰みたいですけど」
「以前何か酷いことでもあったのかな?」
「そこ何を話してる!」
いけね。聞こえてた。
「ははっ! 利害関係のある相手が好意を見せるときは裏がある、ということだ。俺も苦い経験があるからな」
「その通りだ。こいつは胡散臭い。特に、ラスボスのときは油断に乗じて切り掛かって来るかもしれん。二人とも十分注意だな」
「はぃ、気を許さないようにします」
なるほどそこまで裏読みする必要があるのか、二人とも現実で経験してるな。
そのとき突然、溶岩溜から火の塊が飛び出して来る。
「氷の壁!」
壁に跳ね返されて、姿が確認できる。
「火の蛇か。まぁそんなもんだろう」
ゲッツは槍を構えて敵を睨み付ける。
それから、色んな敵が飛び出して来たが、弾き返しながら前に進む。
第二段階の雑魚たちよりも、少しは強いみたいだけど、それ程苦労はない。まぁ数多いから面倒だけど
ゲッツが敵を抑えて、サヤの隼攻撃は破壊力がある。ギルドマスターが、“特別だ„ と言っていた意味が分かるような気がする。
ずっと道形に進んで来たが、遂に終点らしき所が見えて来た。道が岩壁で塞がれている。
いよいよ中ボス戦かな?
「良くここまで来られました。では、最後のホストを紹介いたします」
燃え盛る火の中から巨人が現れる。
上半身裸で、鍛冶の鎚を持った姿
「ウルカヌスだな。火の山に相応しいとは思うが」
ゲッツは薄らと笑う。
「元々、ギリシアのヘパイストスだからな。大物のはずだが、大したことないように見えるのは気のせいか?」
「油断せずに行きましょう。水の加護!」
次回 「奥編 moglie 37:火の山の魔女(その5)Strega in vulcano:quinto」




