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奥編 moglie 33:火の山の魔女(その1)Strega in vulcano:primo

前回: “ワイドインスタンス:杏の里„をクリアした。

 “インスタンス:杏の里„ は略綬があった。

 杏色と若草色の縦縞に杏の実のシルエット

 いままでのインスタンスとは、何かが違う。

 ベルの想いを貰ったのか、魔法が強くなったのがはっきり分かる。

 周囲の人たちからは、何があったのか聞かれたが、きっかけが掴めたと応えて置いた。

 嘘は吐いてないよね。ベル……


 そして、建国2年唱月(うたつき)3日(3/Coro/Auc.02)

 朝、遂に見つける。待ちに待った依頼(クエスト)が来る。

 いや、冒険者ギルドの掲示板に張り出されるのではなかった。

 ギルドから直接わたしたちのパーティに声が掛かる。


 サヤ、ゲッツ、コーリと共に、ギルド・マスターの部屋に案内される。

「君たちは知っていたようだね」

 マスターの話に、素直に応える。

「師匠から聞きました」

「アルフィ君の師匠というは、シーフのレア・リネカーさんだね」

「はい、でもどうしてご存知なんですか?」

「はははっ、有名人だよ。君は良い師匠に巡り会ったね」

「肝心の依頼(クエスト)についてお伺いしたい」

 サヤが話を戻す。

「そうだ。今回の依頼(クエスト)は “火の山の魔女„ だ。ある程度聞いているかもしれないが、この依頼(クエスト)は、パーティ一組限定でしか実行できない。同時に二組は駄目なのだ。しかも、実施期間が限定される」

「それじゃぁ、パーティ指定でチャレンジさせるということですかぁ?」

 コーリは全く緊張感がない。

「その通りだ。この依頼(クエスト)は、かなり難しいので冒険者ギルドで慎重に人選を進めている。今回は君たちのパーティを推薦したい」

「チャレンジできるのは一回だけと、師匠から聞いているのですが」

「そうだ。一回だけだ。しかし、メリットは大きい。経験値はかなり入ると思われるし、毎回いろいろなドロップ品が報告されている。君たちには十分チャンスがある」

「選んで頂けたのは有難い。しかも、この依頼(クエスト)は、次の街に行くための重要なステップと聞いている」

「その通りだ。これを突破すれば次に街に行く十分な実力が備わっていると考えられている。是非、頑張ってクリアして欲しい。ただ、難しい依頼(クエスト)なので、冒険者ギルドとしては五人パーティを推奨しているのだが」

「俺たちは、この情報を聞いてから十分準備して来たつもりだ」

 ゲッツの反論は鋭い。

「マスターも冒険者をやっていたならば分かると思うが、単純に一人増やしたからと言って戦力がアップする訳ではない。相互の能力を把握し、コンビネーションを熟達させなければ本領は発揮できない。臨時のパーティ員は不安定を増すことなる」

「わたしからも言わせてくれ。パーティは何よりも信頼関係が重要だ。さすがに数日では背中を任せられるような信頼を得ることは、お互い無理だ」

「確かに、君たちならば十分に達成可能とは思うが――万が一でも、優秀な人材を失うのは避けたい」

 ギルドマスターは考えこんでいたが、結論が出たように話し始める。

「君たちの話は良く分かった。今回は特に一時的な支援をしよう」

 で、予想も出来なかったことを提案する。

「沙耶・瑞穂くんには、パートナーとして隼を、ゴットフリート・ケラーくんには馬だ。十分に活用して臨んで欲しい」

「「えっ!」」

 それは驚くな。サヤは念願の隼だし、ゲッツは騎乗とかまだ先の話だと思っていたみたいだしね。

 ゲッツは絶句中、サヤは何か考え込んでいる。

 仕方がないので、わたしが質問する。

「四人しかいないので、攻撃力をパートナーで補え! ということですか?」

「その通りだ。前例はあるし、依頼(クエスト)終了後は返却してもらうことになるが」

 なるほど、と思っていると、サヤが話し始める。

「訓練――訓練の時間は貰えますか? さすがにパートナーとの訓練なしで、いきなり実戦は難しい」

「無論だ。その時間は取ってよいが、数日というところかな」

「俺は――」

 おぉ、ゲッツ復活

「この世界ではまだ乗馬の経験がない。慣れるのにしばらくかかると思うが、まして戦闘(バッターリア)となると」

「この世界のパートナーの扱いについては問題ない。一日もあれば慣れよう。戦闘(バッターリア)にも慣れるということなら、七日を限度として訓練することを認める」

「分かった。せっかくの機会(オッポルトゥニタ)だし、この依頼(クエスト)を受ける。それで、パートナーは何時貸して頂けるのだろうか?」

「心配ない。既に登録されている。生命の腕輪を見たまえ!」

「おぉ、念願の隼が!」

「俺の馬か……慣れが必要だな」

「今回は特別にパートナーが装備と同じ扱いになる。冒険者ギルドが専用に持っている貸出用のパートナーだ。生命の腕輪に格納できるが、強力な能力を持っているので依頼(クエスト)中は常時出して置くことを勧める。実際のパートナーは、こんなに簡単ではない。キャラクタと同じ扱いになるし入手方法も面倒だ。維持するのもそれなり手間がかかる。ペット感覚ではあるがな」

 こうして、わたしたち四人は転機となる重要依頼(クエスト)に挑むことなる。


 与えられた数日の間、町付近でパートナーを交えた戦闘(バッターリア)訓練を重ねる。

 パートナーは出している間は多少の魔力を消費するようだが、戦闘(バッターリア)時にキャラクタ側は全く消耗はない。多少のダメージは受けるが回復は早い。

 馬は突進力があり攻撃が高く、素早さ(アジリタ)も十分ある。隼は空中戦に抜群に強く、しかも範囲攻撃。これを見ても高レベルの冒険者たちはどれほど強いか想像もできない。


 建国2年唱月(うたつき)10日(10/Coro/Auc.02)

 “火の山„ に向かって出発する。長期戦が予想されるので、アイテム類は目一杯用意した。

 向かうは南東、毎回場所は多少違うそうだが、大体この辺にあるらしい。

 しかし、荒野の中の火山だ。見付けるに苦労はない。

 いよいよ今後を占う勝負の依頼(クエスト)が始まる。

次回 「奥編 34:火の山の魔女(その2)Strega in vulcano:secondo」

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