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旦那編 marito 33:森の恩恵(その1)I benefizi dalla foresta:primo

 建国2年唱月(うたつき)3日(3/Coro/Auc.02)

 転機が来る。冒険者ギルドから呼ばれる。

 ギルドに着いた途端、マスターの部屋に案内される。

 エド、はるっち、サブ、ジョルジュが居る。

「今回は君たちの番だ」

 マスターがゆっくり話し掛けて来る。

 遂に来た。依頼(クエスト) “森の恩恵„ だ。

 実際、近くのフィールドに居るモンスターたちには負ける気がしない。

 実力(ちから)は付いたと思う。

 しかし、この依頼(クエスト)の情報が掴めないので、次の街へ移動することも考えて居た。

 待っていて正解だった。

「希望の町の冒険者ギルドとしては、君たちのパーティを推薦したい」

「お話しを聞かせて下さい」

 わたしの言葉に、ギルド・マスターはゆっくり話始める。

「君たちは “森の恩恵„ という依頼(クエスト)を知っているかな?」

「我が師匠、フュルベールから聞いておりました」

 ジョルジュが応える。

「そうか、ならば話は早い。この依頼(クエスト)は、次の街への登竜門と言われる。そして、一組限定でしか実行できないのだ。一組のパーティが挑戦している間は他のパーティは全く挑戦できない」

「噂通りの依頼(クエスト)ですね。わたしたちにはチャレンジする資格があると――」

「その通りだ。ギルドとしては、町にいる冒険者たちを確認して、君たちが適当だと判断した」

「ちょち聞きたい。ワイらのメリットは何処にあるんや? ギルドから莫大な報酬があるとか」

 サブ、直球やなぁ。確かに聞きたいとは思う。

「いや、ギルドからは特にない。しかし冒険者としてならメリットは大きいと思う。まず、この依頼(クエスト)を達成すると、地属性が伸びることが確認されている。モンスター・ドロップはもちろん全てが君たちのものだ。また依頼(クエスト)中に装備品が入手しやすいとの話がある。最後に、達成時に夫々に何か一つ貰えるらしい」

「拙からじゃが、“らしい„ とか “しやすい„ というのはどういうことじゃ?」

「それは、パーティが持ち帰るアイテムが毎回違うのだ。だからやってみないと分からないということだ」

「小拙からもですが、受け取るアイテムが違うということは、依頼(クエスト)の内容も違うということですかな?」

「左様、毎回全く違う内容に成っている。当たり外れがあるということだ。ただ、難易度は高いが達成不可能ということはない。いきなり強力な敵が現れて一気に全滅などはあり得ない」

 ……みんな一様に考え込む。

「もちろん、君たちには断る権利はある。しかし期待を裏切らないで欲しいとは思う」

 このメンバーなら、私が指揮を執るのが良いんだろうな。

 みんなの顔を順番に見るが、やる気は十分。心配はなさそうだ。 

 幸運は掴んでから考えよう。

「分かりました。しかし準備が必要です。二三日程度、練習というか連携の訓練をして良いですか?」

「最長で五日まで認めよう。十分に訓練と準備をして欲しい」

 みんなに向けて、いいか? と目で合図すると、頷いてくる。

「分かりました。この依頼(クエスト)を受けます!」

「で、依頼(クエスト)内容についてですが……」

 今回の入口は町の南西にある森の中にあるらしい。自力で見つける必要がある。

 入口では姓名申告と依頼(クエスト)を実施するという宣言をしなければならない。

 とにかく、分かっていることを細部まで聞き、情報を集めた。


 それから連日、連携を深める訓練を続ける。

 今回は指揮を執るので、最後尾から指示を出すことにする。乱戦に備えて、ジョルジュは中央に位置することにする。予想以上に、みんなレベルアップしている。

 また、地属性の敵が多いと予想されるので、火属性魔法を集中的に訓練する。


 建国2年唱月(うたつき)8日(8/Coro/Auc.02)

 これから先のゲーム・ライフを大きく左右する依頼(クエスト)に挑むことにする。

 ギルドにも出発を告げて来た。

 行先は町の南西の森、いよいよ重要依頼(クエスト)を開始する。


 長期戦が予想されるので支援アイテムの消費はできるだけ抑え、周囲のモンスターとの戦闘(バッターリア)は避ける。

 にしてもみんな強い。新技も隠しているようだ。ジョルジュは敵に対するデバフも習得しているようだ。期待が持てる。

 森に入り、探索に入るが、なるべくまとまって行動する。時間は掛かるかもしれないが、連絡が取れなくなる可能性を無くすためだ。ここで一日かかっても良いくらいの気持ちで行く。

 第一日目は野宿(カンペッジョ)になった。

 

 翌日の第二昼刻に、それらしき小さな空地を見つける。

 緑の植物に囲まれ、小川が流れ、泉がある。周囲を虫たちが飛び交う。

 泉の傍に小さな石柱がある。若葉色の蔦に取り囲まれ、浅緑に光る宝珠(グローボ)が浮いている。

 いよいよ依頼(クエスト)フィールドに突入する。勝負だ!

「みんな準備いいよね!」

「もぅ、待ちきれないわ!」

「拙も、準備万端じゃ」

「ワイは、やったるで~」

「きゃー、サブやん!」

 いや自動起動控えろや!

「ひとつ元気よくいきましょう!」ポロロン♪


「私から行くね」

 宝珠(グローボ)に手をかざし、宣告する。

「我が名は、結月琴音ゆづき・ことね依頼(クエスト) “森の恩恵„ に臨まん。道を啓き給え!」

 宝珠(グローボ)が明るく輝き、周囲は暗転。

 真っ暗な中どこまでも落ちて行く。

 希望の町での総決算が始まる。

次回 「旦那編 34:森の恩恵(その2)I benefizi dalla foresta:secondo」

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