奥編 moglie 27:マスター・スライム戦 La battaglia con master slime
同居を始めて半月ほど、今日は建国2年渦月9日(9/Spirale/Auc.02)
依頼 “火の山の魔女„ の情報はなかなか集まらない。
冒険者ギルドでは、この依頼ついては全く教えてくれない。
たぶんだが、達成した人は次の街に移動してるし、達成できなかった人は考えたくないけど世界から退場しているのかもしれない。
かなり難しいと思われるので、レベルアップにも励む。
明日に向かう町の西、広い空地がある。冒険者たちが良く魔法の試射とか戦闘の訓練をする場所になっている。ボクたちも、四人揃ってパーティ戦の訓練というか練習をする。
ボクたちが組むパーティは、バランスが良いと思う。あと一人加えるとしたら、魔法の攻撃役だけど、よほど気の合う人でないと参加してもらう気にならない。それはみんな同じみたいだ。
確かに、広範囲殲滅には魔法職が良いけど、サヤの弓やコーリの魔法も結構強い。近距離も遠距離も対処できるので、このまま “火の山の魔女„ に挑むつもりだ。
準備は怠りなく。
第三昼刻には早めの昼食にする。最近稼ぎ悪くないし、モンスター・ドロップの食糧もあるので、美味しい食事ができる。
「だいぶ形になってきたな」
「俺もそう思う。フォーメーションは、俺が先頭、次にサヤとコーリ、最後尾にアルフィで固定して良いだろう」
「ボクも同じだね。ダンジョンなら違うのかもしれないけど、罠が多数でなければ今の形が一番良いと思う」
「わたしって、みなさんに付いて行くだけで精一杯です~」
「そんなことはないと俺は思うぞ。だいぶタイミングが合って来たし、あのシャボン玉は、思わぬ処で役に立ちそうだ」
「さて、食事を片付けて、練習の再開だな」
「分かった。直ぐ片付けるよ」
第四昼刻が始まって、コンビの確認をしていた時に、突然周囲が暗くなる。
「あ、これは!」
「おぅ、久しぶりだな」
「暗いの嫌いですぅ」
「みんな落ち着け、どうやらグループ戦のようだ」
周囲が明るくなると同時に生命の腕輪の効果音と共に表示される。
“インスタンス:マスター・スライム討伐„
「おや? どうやらモンスター討伐?」
「そうだな。まず対象のモンスターを見つけることが先だ」
見通せる所まで湿地帯が続いている。足元は苔が群生し歩き難い。
ムッとするような湿気の強い空気だ。気温も高い。早めに勝負を付けたいな。
「スライムというくらいだから、水属性だろうな。水魔法は禁止、風優先だ」
「分かりました。風の加護!」
コーリの魔法で黄色の結界がみんなに張られる。
「よし! 俺が先頭だな。行くぞ!」
ゲッツを先頭に進むと、出て来る出て来る色取り取りのスライムさんたち
「出たな。でも種類が多いね。属性一緒なのかな?」
「試してみます。雷の粒!」
キラキラ光る黄色の粒が一面に拡がり、スライムの群に向かう。
「嫌がってますね。全部水属性だと思います」
「よし! 風攻撃だ」
「風の波!」
スライムたちは、次々に押し寄せる風に動きを止められ、そこにサラの矢が襲う。合わせてスリング・ショットを放つ。
弾けて消えて行くスライム!
近付くものにはゲッツの槍が貫く。
間を掻い潜って、緑色のスライムが取付く。直ぐに払い落とされたが、ゲッツ周囲に緑の霧が漂う。
解毒剤を投げつけると、瓶が割れて緑の液体が散る。
「気を付けて、緑のやつは毒持ちらしい」
「了解だ。優先して倒す!」
ゲッツの槍先はますます鋭い。
「おうりゃぁ! 多連撃!」
激しい連打にスライムの群は一気に削られる。
「しかし、数が多いな」
そう言いながらサヤは矢を次々に放つ。
「回復の微風!」
コーリの回復魔法がパーティを包み込む。
「居ました!」
コーリの声でそちらを見る。
スライムたちの襲撃を退けながら進み、遂に発見する。
「思ったよりも大きいな!」
サヤの言う通り、大きさは二メートル以上、透き通った青色の巨体を震わせて、こちらに近付いて来る。
「はははっ! こいつを仕留めれば、インスタンスは終了だ。もうひと頑張りだな」
「注意してください~。スライムは物理攻撃に強いはずですぅ」
「毒矢を使う。二連撃!」
マスター・スライムに命中した矢から緑の淡い光が拡がるが、直ぐに消し去られる。
「解毒してるな。手強いぞ!」
声に反応するように巨体を震わせる。
「下がれ! 何か来る」
ドン! という音と共に、取巻きのスライムたちが出現する。
「雷迅!」
コーリの魔法にかけられてサヤの連打で取巻きを片付けるが、本体は手強い。
「どうやら周囲の水を使って回復しているようだな。ゲッツ、浅瀬に誘導だ」
「了解!」
ゲッツの挑発にじりじり移動するマスター・スライム
浅瀬に近付いた所で
「地の壁!」
スライムを囲い込む。
「砂塵!」
「火の絨毯!」
湿地を乾かして水を使えなくする作戦!
ゲッツに牽制してもらいながら、逃がさないように二重三重に地の壁を使って囲いから逃がさない。
「今だ! 総攻撃」
サヤの声に一斉の全力で攻撃を掛ける。
「とぅりゃあ!」
深々と突き刺さったゲッツの槍にコーリが飛び付く。
「雷迅!」
雷魔法をスライムの体内に直接叩き込む。
ドォォン! と轟音を発して、表面から二つに割れ、黄色の光を放ちながら消えて行く。
「やったぁ!」
歓声と同時に生命の腕輪の効果音が響く。
”インスタンス・クリア:マスター・スライム討伐”
周囲が暗転し、通常フィールドに戻る。
「やれやれ、苦労したね!」
「結果オーライで良かったじゃないか。訓練にもなったぞ」
「全くその通りだ。連携が上手く行った」
「あれ? 略綬が増えてますぅ」
青の諧調の縞模様、中央にスライムのシルエット
本体の生々しさなど全くない可愛いスライム・マークだ。
「また一つ勲章が付け加わったな」
「訓練プラス結果、良いことだと思うぞ。俺は」
まぁ今夜は美味しいものを食べてゆっくり休もう。
次回 「奥編 28:舞花 Fiori ballanti」




