奥編 moglie 8:明日に向かいます! Mi dirigerò verso domani!
敵となるモンスターは実際の動植物を参考にしていますが、ゲーム用にかなり改変しています。
実際には存在しません。><
メンテがあるということなので早めに掲載します。
「ごめん、待った?」
「あぁ、俺たちも来たばかりだ」
「まだ夜が明けたばかりだ。焦ることはない」
建国2年乾月23日第一昼刻、三人が広場で顔をそろえる。
「まず朝飯を食いながら今日の行動を確認しよう!」
冒険者ギルドの上側にある洞、いわば二階という感じの所にある酒場に向かう。
さすがに朝からアルコールはないが美味しい朝食が出る。
朝食後、お茶を飲みながら必要なことを確認して行く。
「指導所で貰った “初心者用イル・モンド概説„ は役立ちそうだな」
「ああ、俺もそう思う。付近の町や途中の野宿地の位置関係、出現しそうな敵の概要、食料となる代表的な動植物、どれもこれも貴重な情報だ。特に、まだ出会っていない敵の情報などはとても有難い」
「生命の腕輪のアドオンだけど、サバイバルには欠かせない情報ってわけだね」
「しかしだ。これが全てだと思ってしまうのは危うい」
「そうだな。このゲームは何が出るか油断ができん」
「さて、これが次の町までの地図なのだが……」
サヤが少し首を振りながら地図を開く。
「何か面倒なことでもあるの?」
「聞くところによると、道程が常に変化するらしい」
「それは俺も聞いた。行く度に道順が変化するとな。なかなか楽しそうだ」
「変化すると言っても、三日の行程が三十日とかならないんでしょ」
「ああ、大体の距離と位置関係は変わらないらしい。西へ向かって三日の行程なので野宿地も途中二個所ある。尤も高レベルになると、どうなるか分からないが」
「まぁ、先を心配しても意味がない。初日は、最初の野宿地に辿り着くのを目標にしよう」
「同意だ!」
「決まりだね。出発しようよ!」
広場の左側の出口からフィールドに出る。向かう先は西。BGMも軽いリズムのあるものに変わる。
右は森林、左は草原。状況が変わるといっても、そう極端ではなさそう。
いつものように、ゲッツ、サヤ、ボクの順で進む。
オオヤンマが数匹、編隊で襲って来る。
サヤが弓で応戦するが、こちらも武器屋で買った新しい武器を使う。
接近される前に全て叩き落とした。
「アルフィは新兵器か?」
「あ、これはスリングショット。指で弾くのは威力が低いから買ってみた。少し大きい石も使えるしね」
「おぅ、良さそうだな。射距離も伸びそうだ」
「今日は移動が目的だから、なるべく戦闘は控えた方が良いと思う」
「了解だ! 敵が見えても威嚇して引き付けるのは止めよう」
土の道が続く。状況はあまり変わらない。
時々出て来るモンスターを排除しながら慎重に進む。
「ねぇ、サヤ。野宿地って、どんな所なんだろ?」
突然、草の間に隠れていたフタバアケビが襲って来る。
ゲッツの槍が薙ぎ払う。
「炎の球体!」
地属性は火に弱い。炎を浴びたフタバアケビが黒く焦げ崩れて行く。
「奇襲とはいえ、単調な攻撃だな。油断は禁物だが」
「そう言うな。未だ見ぬ強敵が待ち受けていると思えばいいだろう」
「拝承……と言っておくか」
ゲッツは槍を担ぎ直して悠然と歩く。
「アルフィ! さっきの話だが」
「うん」
サヤはあまり表情が変わらない。
「人間が普通に歩く距離というのは、それほど変わらない。それで、みんな大体同じ所で野宿することになる。そのため、冒険者たちが適当な地を探して、使いやすい野宿を造ったということだ」
「先人たちは偉いね」
「後に続く俺たちが楽を出来るな」
この世界は冒険者が街まで造ることができるらしい。
第二昼刻を過ぎた頃、森林側から滑空する獣が次々と襲って来る。
風属性と判断して地魔法をぶっつけたが当たりだった。
撃退後、生命の腕輪のモンスター図鑑で確認したが、モモンガとあった。こういう敵もいるのか、油断できない。
第三昼刻が始まった頃、道は森から離れ、何処までも続く草原の中へと入って行く。
「環境が変わった。敵も変わって来るかもしれない」
「そうだな。道幅もあまり広くないし、両側の草も背が高い。奇襲に注意しよう」
と、その時草の間を何かが動く。
「何か居る!」
「むっ!」
ゲッツが槍を構える。
草叢からトカゲのような爬虫類がのそっと這い出して来る。
銀地に黒の縞が頭から尻尾まで続いている。長さは一メートルくらい。
「シマトカゲのようだな。毒はないと出ている」
サヤが確認したらしい。
シマトカゲはこちらを見て威嚇を始めた。
「よし、始末するか」
ゲッツが一歩踏み出す。
スリングショットの石弾で牽制
トカゲがかわした瞬間を狙って、サヤの攻撃
「二重撃!」
ひるんだ所をゲッツの追打ち
「おうりゃぁ!」
ゲッツの槍は見事にヒットするが、トカゲの戦意は衰えない。
「しぶといな。旅立ちの村付近の敵とはかなり違う」
「炎の壁!」
サヤの矢攻撃を躱す方向に火魔法を展開したが、トカゲに吸い込まれるように炎が消えて行く。
「こいつは火属性だな」
よし! 遠慮はいらない。覚えたばかりの新技を披露する。
「水の連弾!」
水球がボクの周囲に多数展開される。
「行け!」
トカゲに向けて、次々に水の粒が襲い掛かる。
合わせてゲッツが踏み込む。
「連撃!」
槍の激しい連続突きにトカゲは弾ける。黄色の光を放ちながら消えて行く。
「やっぱり槍は破壊力あるね」
「いまのところ俺の切札だが、この辺の敵は手強そうだ」
「火属性というのも、この辺では珍しい。少しゆっくり進むことにしよう。しかしアルフィの水魔法は強力だな」
「ウン、何だか水に相性良さそうなんだよね」
警戒を強めて歩む速度を落とす。
しばらく進むと、少し見通しの良い開けた場所に出た。
遠くで何か角のある獣が群を成して草を食んでいる。
「何だろ?」
「オリックスのようだな。肉は美味らしい」
どこかの会社名を思い出したが、こっちがオリジナルだよね。
「どうだ。夕飯用に肉を狙うと言うのは?」
「群だと面倒だよね。一頭引き出して来る」
身を伏せてそろそろと接近する。
近くで見ると、二本の長い角が確認できる。あれにやられたらタダではすまなそうだ。
群の端にいる一頭の近くに、石を投げる。
狙い通りこちらへ近づいて来る。
続けて石を転がすように投げる。よしよし、こっちに来い!
「二重撃!」
「連撃!」
サヤとゲッツの連動攻撃!
倒れた所で追撃を重ねる。
ふぅ、何とか倒した。
「おう、オリックスの肉をゲットだ」
「ボクは、皮と肉だね」
「わたしは皮だけか……」
「夕飯分は稼いだということだ。結果オーライだろ」
美味しい夕飯が食べられる……かもしれない。
日も傾き、第六昼刻に入った頃
「あれのようだな」
ようやく野宿地を見つけた。
次回 12/21 02:00 「奥編 9:野宿です! Noi accampaniamo!」




