旦那編 marito 58:囚われのお姫さま(その2)Damigella in pericolo:secondo
前回:はるっちが捕まった。
通路の一番奥、扉を開けて突入する。
部屋全体が白く輝き、何処かへ移動させられる。
出た所は、周囲を白壁で囲まれた閉鎖された空間
積木のような、色々な形状のブロックが転がっている。
「何だか変な部屋だね」
「ここでパズルを解くのでしょうか?」ポロロン♪
「壁に何か浮かんで来たわ」
エドに言われて奥の壁を見ると文字が浮かんで来ている。
第一問 正20面体を作成せよ!
「数学の問題ですな」ポロロン♪
「正四面体を20個集めるんや!」
「サブ、正四面体ってどんなの?」
「全体が正三角形でブロックになったもの、というか正三角錐と言った方が早い?」
「これね!」
「ちゃうわ! それは四角錐、ピラミッドじゃねぇ」
「どんなの?」
「どっから見ても正三角形に成ってる奴や」
「これですよ~」
幻影の方が分かっているって、どういう……
「みんな算数やってないんか?」
「あたしは鳥肌立つほど苦手よ!」
エドも苦手らしい。
ブロックは一メートルくらいあり、どれがどれやら分からん。
とりあえずらしきものを集めて、サブに確認して貰う。
幻影の方が役に立つんかぃ
ベスはブロックを転がして遊んでる。使えね~~
「よし、集まったようやな」
「それで、どうするの?」
「こうやって、先を揃えて重ねて行くんや」
「なるほど、だんだん形が出来て行きますな」ポロロン♪
全体が丸っこい形になって行く。サブは良くこんなこと知ってるなぁ
「おっしゃ、これで良し! 二十面サイコロはこの形や」
ピンポン!
「正解らしいわ」
安っぽい効果音が響く。手抜き感が強いなぁ
「あたりまえや、これくらい普通やろ?」
「次の問題が出ましたな」ポロロン♪
第二問 四次元立方体の辺の数は?
「2³×4=32」
ピンポン!
「はやっ! サブ、何で分かるん?」
「公式があるんや。n次元立方体でもできる」
「頭が痛くなるわ~」
「たいしたものですな。論理はどうなるのでしょう?」ポロロン♪
「簡単に言うと、“三次元立方体を四次元方向に引っ張る„ と考えればいいんや。三次元立方体の辺の2セットに頂点数を足せばいい。つまり 12×2+8=32」
なるほど分からん。
「次が出たわ!」
第三問 二十面サイコロ×3と六面サイコロ×2のとき、全部の目が1となる確率は?
「(1/20)³×(1/6)²=1/288000」
ぴんぽん!
「サブ、何でそんなに早いん?」
「36×8000 と考えれば簡単や!」
「確率問題ということですな」ポロロン♪
「通路が開いたわ」
良く分からんうちにパズルは突破した。
開いた通路の入口に突入する。
「腕輪はん、次は何や?」
「中ボス選択みたい」
次は、岩壁に囲まれた天井の低い部屋だ。
円形で扉が幾つもある。
「どれかを選べってことかな?」
「そのようですな。選択により敵が変わるということでしょう」ポロロン♪
「こういう時は、正面や!」
サブが真っ先に飛び込んで行く。今日は元気やなぁ
「焦らないで~」
エドが続いて飛び込む。
扉を通過するといきなりワープする。
薄暗い中に黒い瘴気が渦巻く。なかなかの歓迎ぶりだ。
「さて、明るくしよう。灯!」
魔法の灯りに照らし出され、敵の姿が浮かび上がる。
「スケルトン・グリズリーという処でしょうか?」ポロロン♪
そう、骨が組み合わさった大型の熊が唸りを上げる。
「さっさと片付けてしまうで、はるっちはんが退屈しとるわ!」
「サブやん、あれで!」
「了解や、腕輪はん。炎の蛇!」
炎を纏った大型の蛇が出現し、敵を睨む。おぃ、以前より育ってないか?
「こっちよ!」
蛇を誘導し、敵に接近し、巻き付かせる。
「集中攻撃!」
蛇が熊さんを締め上げて、動けない間に出来るだけ削る。
「戦いの歌!」
ジョルジュの竪琴の音が響き渡る。
「それそれっ! 倒れなさい!」
エドの斧の連続攻撃は迫力ある。
反対側からベスが引っ掻いている。
「火の絨毯!」
「おっしゃぁ、火の槍!」
骨の熊さんは、唸り声を上げ反撃しようとするが、炎の蛇ががっちり巻き付いて動きを封じる。
しかも炎で連続ダメ与えてるんだよな。蛇つぇぇ~
サブ以外が使ってるのを見たことがない。
小半刻ほどかかったが、無事に熊さんを倒した。
壁に開いた小さな入口から通路に入り、奥へと走る。
奥の入口を通過したら――水だった。
「プールやな」
「これをどうやって渡れと?」ポロロン♪
手前の部分と対面にある出口の間は全て水、しかもかなり深い。
「分かったわ、水面に光の輪が出てるわ。これに乗って行けばいいんじゃない?」
「確かにそうですな。落ちるとやり直しでは?」ポロロン♪
「待ちや! 光の輪に青と赤がある。どっちかがセーフでどっちかがアウトじゃないか?」
「確かめてみようか、ベス行け!」
「ダメよ! 猫は水が苦手だわ」
「ワイは、虎は泳ぐと聞いた」
「んじゃ、ベスはどうかな? ダメだ。嫌がってる」
水に近付くまでは大丈夫みたいだけど、直ぐに離れて伏せてしまう。
「ベスは少なくとも虎ではありませんな」ポロロン♪
「分からないんだよね~。結構大きくなりそうだけど」
「それじゃ、ワイが確かめるか」
「サブやん、気を付けるです」
「まかしとき、腕輪はん!」
サブは、まず青い輪に飛び移る。
「お、大丈夫や。赤に乗ってみるか」
飛び移った途端、水の中へ
「予想通りやな。青い輪を伝って向こう岸に行けばいい」
何とか泳いで戻って来て居る。
「みんなよく見て! 輪の色が時々変わるわ!」
これは結構大変そうだ。じっとしてれば落ちるわけだから
「みんなでチャレンジするしかないな。行こう!」
四人で頑張ってみたが、向こう岸は遠い。途中まで行くけど、飛び移った途端に色が変わるのがあり、なかなか上手くいかない。ちなみにサブの幻影は自由自在に飛び回る。
向こう岸まで行ったけど、クリアにはならないようだ。
しゃーない。ベスを説得してみるか
「いいベス! 青い丸だけ乗って行けば水に落ちずに向こうに行けるから、頑張れ!」
“な~~„
少し情けない声だけど、やらせるしかない。
「行け~!」
“なーーーーーーー!„
おぉ、ベス速い! しかも判断早い。
あっという間に渡り切った。すると赤い輪は消えてしまい。全てが青い輪に変わる。
「なるほど、これで渡れそうですな」ポロロン♪
一番苦労していたジョルジュが嬉しそうに笑う。
やれやれ、なんとか突破した。
次の部屋の扉を開く。
次回「旦那編 marito 59:囚われのお姫さま(その3)Damigella in pericolo:terzo」




