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旦那編 marito 57:囚われのお姫さま(その1)Damigella in pericolo:primo

前回:ベスと遊んだ。

 休みでリフレッシュして、今日はいつもの五人でレベル上げとコンビネーションの確認をする――つもりだったのだが

 あれ? インスタンスかぃ……暗い空間のあちこちで七色の光が点滅する。

 インスタンスの導入部も段々派手になって来るような。

 

 生命の腕輪の効果音エッフェット・ソノーロが鳴り響き、仮想画面スケルモ・ヴィルトゥアーレに表示が現れる。

 “インスタンス:囚われのお姫さま„


 眼を開くと、周囲は石の壁。何か珍しいタイプのインスタンスだなぁ

「すまんのぅ、拙が捕まったようじゃ」

 はるっちの声が天井から聞こえる。

「はるっち、大丈夫?」

「特に、危害がある訳ではない。ただ部屋に閉じ込められているだけじゃのぅ」

 こちらの声も聞こえるようだ。

 はるっちの声は、のんびりしたもんだ。

「ここの迷路を突破して拙を助け出したら、インスタンス・クリアらしい。先程説明があったわ」

 なるほど、ここは迷宮(ラビリント)の出発点か。本当にゲーム感覚のインスタンスだな。

「助けに行くからのんびり待っていて、途中で連絡がつけば状況は知らせるね」

「まったり待っておくとしようか」

「危機感がないわねぇ~」

 エド、全くもって同意だわ!

「ちょっと相談、まとまって行くか、それとも分かれて進んだ方が早いのか、どう思う?」

「敵の状況によるでしょうな。戦闘(バッターリア)が多いのならまとまった方が早いと思いますな」ポロロン♪

「分かった。まとまって行こう。メインの回復役(グァリトリチェ)が居ないので、私が回復する。ただ、はるっち程はできないので、薬剤(ポツィオーネ)の用意をよろしく」

「歌も回復優先としましょう。治癒の歌カンツォーネ・ディ・グァリジオーネ!」

「腕輪はん、ナビできるかや?」

「サブやん、大丈夫! まかせて」

 おぃ、そんなことまで出来るんかぃ?

「それじゃ、サブ、戦闘(バッターリア)の時は指示して!」

「まかしとき!」

「エドが先頭、次にサブ、わたし、ジョルジュの順、ベス! 一番後ろで後方警戒して」

 “な~„

「よし、行こう!」

「行くわよ~ お姫さまを救い出すわ~」

 サブのすぐ横で幻影(ヴィジオーネ)が告げる。

「次の部屋はあまり強くはないけど、数が多いです」

 エドに続き突入すると、高周波で叫ぶような声が響き渡る。

 黒っぽい蝙蝠が部屋中に満ち溢れている。

「サブやん、敵は風!」

「おっしゃ、火山弾(ボンパ・ヴルカニカ)!」

 サブの複合魔法で真っ赤になった石が地面から噴き上げる。

 蝙蝠の群が彼方此方に落ちて来るが、まだまだ数は多い。

「煩いわねぇ~」

 エドは斧を振って近づいて来る敵を叩き落す。

不協和音(ディッソナンツァ)!」

「ジョルジュ、それ何?」

「不快な音で攻撃するのですが、耳障りなのであまり使いたくはないですな」

 確かに蝙蝠どもが逃げ惑っている。

 地味に嫌な攻撃だ。味方で良かった。

 “なーーーーー„

 ベスが鳴声で攻撃してる。良く分からないけど、蝙蝠がバタバタと落下して行く。

「サブやん、右奥に次への入口」

「了解や、地の槍ランチァ・ディ・テッラ!」

 サブの地魔法が道を切り開く。

 敵を全滅させる必要はない。進むのが先だ。

俊敏の歌カンツォーネ・アージレ!」

 素早さアップ。ナイスだ、ジョルジュ!

「次は水みたい」

「分かった!」

 サブが真っ先に飛び込んで行く。

 幻影(ヴィジオーネ)の声に応えて指示を飛ばす。

「次の部屋へ進むよ! 敵は放置」

 エドもジョルジュも続く。

 “な~~„

 ベスが最後に飛び込んで来る。


 入った部屋は、苔に覆われていた。

 広さは最初の部屋と同じくらいだが、蛙さんがいっぱい!

「いくで~、赤き雷(フルミネ・ロッソ)!」

 サブの広範囲風魔法が炸裂する。赤き稲妻が敵を次々の屠る。

「あ、サブ。はるっちから叩かれなくても発動するんだ!」

「ことねはん、トラウマに塩をすり込まんどいて」

「それほど強くなさそうだから集めるわよ~、挑発(プロヴォカツィオーネ)!」

「支援する。風の加護プロテツィオーネ・ディ・ヴェント!」

「ブーストですな。戦いの歌カンツォーネ・ディグエッラ!」

 エドの挑発で敵が集まって来る。オタマジャクシが混じっているような気がする。

「削るかな。雷の粒パルティチェッラ・フルミナンテ!」

 電気の火花を散らす光の粒が一面に広がる。

「おっしゃぁ! 雷迅(トゥオノ)!」

「サブやん素敵ですぅ~」

 エドの周囲に集まった敵に電光が煌めき一気に吹き飛ばす。

「腕輪はん、次はどこや?」

「中央の石を踏んで下さい。扉が開きます」

「おっしゃ、まかせい!」

 サブが中央に走る。

「無理はだめよ!」

 エドの声が飛ぶ。

 サブが中央の石に乗ると、近くに下へ降りる階段の入口が開く。

「これかや? 腕輪はん」

「そう、次は長い通路。途中で不死者(アンデッド)が出るみたい。

 サブの幻影(ヴィジオーネ)は相変わらず出来が良過ぎ。彼女がいなければもっと手間取っていたに違いない。


 階段を降りると、細い通路が何処までも続く。暗くて先が見えない。

(ルーメ)!」

 魔法を灯に照らし出された通路を進む。

炎の球パッラ・ディ・フィアンマ!」

 時々横から飛び出して来る不死者(アンデッド)に火魔法を叩き付けながら、前方に走る。

 ゾンビの他、スケルトンやグールも混じっていたような気がするけど、気にしない。

「うぅむ、予測が付きませんし、なかなか面倒ですな」

 俊敏の歌カンツォーネ・アージレを掛けながら、ジョルジュが言う。走りながらの演奏は大変そうだ。

「えと、これって両側に炎の壁ムーロ・ディ・フィアンマ張りながら行けばいいんじゃない?」

「ことねはん、ナイスや! 炎の壁ムーロ・ディ・フィアンマ!」

 邪魔を抑え込んだだけ、進むのが早くなる。

「腕輪はん、次はどっちや?」

「一番奥の部屋。何処かに飛ぶみたいね」

「了解や! みんな急ぐで」

「今日は、サブさんも生き生きしてますな」ポロロン♪

「そうよ! こんなインスタンスなら楽しいわ!」

 みんな全く危機感ない……

「次は敵はいない。パズルみたいね」

 幻影(ヴィジオーネ)の話にみんなガックリした。

 パズルは苦手かぃ?

次回「旦那編 marito 58:囚われのお姫さま(その2)Damigella in pericolo:secondo」

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