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旦那編 marito 47:腕試しの階段 Scale di abilità

前回: “腕試しの階段„ を試してみることにした。

 プレイヤーの通称 “腕試しの階段„ 入口前

 入口は “森の恩恵„ と良く似ている。一人ずつ入場することになる。

「入る前に確認だけど、安全第一、生命を大事に!」

「そうじゃ、無理はいかん。特に、このゲームは命取りになりかねん」

「とにかく、危ないと思ったら “撤退„ と叫んで、直ぐに撤退するから」

戦闘(バッターリア)中でも問題ないんやな」

「情報ではそうなってます。リーダーが撤退と叫んだ瞬間にエスケープになるらしいですね」ポロロン♪

 みんな同じ意見だね。

「早めの判断で行くから、特にベスの状況は分かりにくいので、危険を感じたら直ぐに撤退する。その辺は了解して欲しい」

「問題ないわ~。先は長いのよ、無理しないでね」

「この辺は内輪の良さですな。臨時だと遠慮が出て危険になりかねません」ポロロン♪


 よし、行くか!

「入りますよ~、ベスも行くよ!」

 “なー„

 

 中はかなり広い部屋で、壊れた神殿みたいに石柱が障害物として彼方此方に転がっている。

 入る度に部屋の形は変わるらしい。

 みんな次々に入って来る。

 壁を背にする位置に移動し、いつものフォーメーションで迎え撃つことにする。

防御の歌カンツォーネ・ディ・ディフェーザ!」

 ジョルジュの竪琴(アルパ)が響く。なんだか久しぶりに聞いた気がする。

「支援魔法は相手の属性を見てから掛けるぞ!」

 はるっちは冷静だ。

 その時、部屋全体に敵が出現する。


 最初は昆虫かぃ。大きな複眼と四枚の羽、黒地に黄色い模様が入っている。

 大きさは四十センチくらい? これだけの大きさがあると迫力十分だ。しかも大勢でお越しだ。

(アブ)のようじゃな」

「はるっち、(ハチ)じゃないの?」

(ハチ)っぽい(ハエ)だと思えば良い。ことねは生物分類を少し勉強した方がいいぞ。このゲームでは役に立ちそうじゃぞ」

「ごめんなさい。反省します」

「おぅりゃぁ! 火の槍ランチァ・ディ・フォコ!」

 サブ得意の火魔法攻撃! いくつかの敵は火達磨になって落ちて行く。サブも腕を上げてるようだ。

「サブやん、頑張って~~~」

 いや、幻影(ヴィジオーネ)の応援はいいからさ。

「予想通り、種類が混じってるわ! 多分、風と地や」

治癒の歌カンツォーネ・ディ・グァリジオーネ! 確かに魔法による効果に差がありますな」

「エド、数が多いうちは無理して集めないで、まず数を減らすのが優先!」

「分かったわ!」

 “なー!„ ベスは器用に(アブ)を叩き落としている。結構ジャンプ力あるなぁ

「地魔法は控えて! 火中心で行こう」

「了解じゃ! 火の加護プロテツィオーネ・ディ・フォコ! 火纏いダ・インドッサーレ・フォコ!」

「助かるわ~」

 さすがに一緒にやって来た仲間たち、コンビネーションは問題ない。

火花(シンティッラ)!」

 十センチくらいの火花が空中に振り撒かれる。サブの新技かぃ? 後で教えて貰おう。

火の矢フレッチェ・ディ・フォコ!」

 火の矢も最初の頃より本数が増えて射距離も伸びてる。日々進歩してるのだよ!


「エド! 集めて!」

 敵が減り始めたので一気に勝負を掛ける。

「分かったわ! 挑発(プロヴォカツィオーネ)!」

戦いの歌カンツォーネ・ディ・グエッラ!」

 “な~~~~~„ 

 ベスがなにか威嚇してる。スキル使えるのか?

炎の球パッラ・ディ・フィアンマ!」

 はるっちの炎の球、数が増えてない?

炎の波オンデ・ディ・フィアンマ!」

回復の炎フィアンマ・グァレンテ!」

 偶には回復(グァレンテ)魔法掛けるかなぁ~、みんな強くなった。


 どうやら、第一ステップの敵を全て葬った。

「みんないいかな? 次行くよ!」

「余裕や!」

「一気に稼ぎたいのぅ」

 パーティリーダーが宣告すれば次のステップが始まる。

「第二ステップ開始!」

 今度は、芋虫というか昆虫の幼虫たちが襲って来る。

 

 第三ステップは、蝶と蛾の群だった。

 第四ステップは、甲虫類というか甲虫カブトムシ鍬形クワガタが多数いらっしゃいました。


 そして

炎の蛇セルペンテ・フィアマンテ!」

 サブの大技が二つの鎌を持つ昆虫に絡みつく。炎の中で崩れ落ちる。

 第五ステップは、蟷螂カマキリさん御一考でした。

 この辺で一区切りと思い、エスケープすることにする。

 想ったよりも敵の数も多いし、フィールドに出るモンスターと比べてもあまり強くはない。レベル上げには良い場所だと思う。ダンジョンの前準備にもなりそうだ。


 お昼にしながら、みんなで感想をし合う。

 ベスもお昼を貰って嬉しそうに食べてる。しかし子猫にしては強すぎるよな。

「ある意味、とても良い場所ですな」ポロロン♪

「そうじゃの、自分の実力(ちから)がどれくらいか判定するのに良い」

「これでどんどん上に行けば良いのね。楽しい場所だわ~」

「ワイが聞いた処では、第十ステップまで登れたら塔とダンジョンの一階には入れるらしい。ただレベルアップにはこっちの方が良いらしい」

「先は長そうじゃのぅ」

「とりあえず、サブの情報に従って、第十ステップを目標にしよう。それ以降は予定を合わせてダンジョンの見学ということかな」

「なるほど、良い見通しかと。舞台(パルコシェーニコ)で詠うのも良いですが、こういう冒険も十分に楽しいです。吟遊詩人(メネストレッロ)も、最前線に出ることをもっと考えた方が良いかもしれません」ポロロン♪

 結局、“腕試しの階段„ には三回入った。

 入る度に部屋の形も出現する敵の種類も違うが、強さはそれほど変わらない。

 時間に対して発生する敵が多いので経験値やドロップなどの効率は良いのだけど、疲れが溜まる。一長一短だと思う。

 世の中そんなに甘くない。明日からまたコイン集めかな?

次回 「旦那編 48:スキャン Scansione」

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