表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/141

奥編 moglie 45:よろしく新年! Buon capodanno!

前回:腕試しをしたが苦戦した。部屋を紹介された。

 翌日、みんなで早速紹介されたオーナーさんを訪ねてみる。

 それぞれ希望があると思うから、みんなで確認するのは必須だ。

 オーナーさん曰く、部屋は幾つかあるけど、やはりパートナーの問題はあるらしい。

 “少し高くなるけど„ と言って案内された。宿屋街の外壁に近い場所、宿屋を改装した下宿屋だ。

 五階建ての四階の一部屋、五人のパーティが優先権を持っているらしい。 

 入ってみて吃驚!

 ちゃんと別々に五部屋あり鍵もかかる。中央にリビングがあり、キッチンも付いている。日当たりも悪くないし、なによりも清潔感がある。“明日に向かう町„ で同居していた師匠の部屋と良く似ている。

「ボクは、良い部屋だと思うよ!」

 嬉しくなってつい声を上げてしまう。

「私もそう思いますぅ~」

 優先権のあるパーティが何時戻って来るか分からないので、移動できる状態にしておく必要があるが、住環境自体は十分だ。戻る時は連絡があるらしいし、代わりの部屋も探してくれるとのこと。どうしても部屋がない時は宿屋に移動するしかない。

「制約は仕方がない。後は沢山稼いで良い所にレベルアップしていけば良いだろう」

「俺も賛成だ。ここで拠点が出来るのは大きい。後はみんなで頑張って行けばいい。ここならパートナーもなんとかなりそうだしな」

 どうやら、みんなの意見が一致し、落ち着くことにする。

 右も左も分からない中、幸運だったかもしれない。


 部屋の配置も決め、リビングに集合して当面の方向を相談する。不安は残るけど昨日よりは安心感がある。

「一つ部屋が空いてるよね。仲間を増やすことも考えたらどうかな?」

「確かに経済的にももう一人いた方が良いかもしれないな」

「俺も増やすことには賛成だが、パーティには相性があるからな。人選は慎重にするべきだ」

「わたしは、みなさんと出会えて良かったです。前は一人で突っ走って失敗したので~」

「よし、一人増やすことで考えよう。パーティ構成から考えて、魔法アタッカーだな。候補者が居れば全員で相談しよう。勝手に決めることはしない。それでいいかな?」

 話は決まった。


 しばらくはそれぞれ行動して、臨時パーティや情報収集をして、毎日相談して行くことにする。

 まぁ、まだ街の様子も把握できていないしねぇ。


 そして、建国2年第四祭(La festa quarta/Auc.02)

 現実(レアーレ)で言えば大晦日(おおみそか)だ。街全体がせわしないのは気のせいかもしれない。

 ボクは装備強化を考えて、街の南西側のお店を見て回る。

 様々な店があり、武器や防具、装飾品(アッチェソーリオ)も豊富に販売している。

 火の貴石(ジェンマ)の加工についても相談したのだが、いきなり買取を提案された。

 即答でお断りしたけど恨めしそうに見られたので相談も止めた。こういう店は信用できん!

 で、ありましたよ~、火の弓懸(ゆがけ)――とんでもない値段だった。レアドロップなのは間違いない。オリハルコンの腕輪(ブラッチャレット)には目が眩んだ。あれって怖ろしいものだったんだ。コーリの根性には脱帽だ。今後は装備品のドロップには注意し過ぎるくらいで丁度いいかも。


 夜は慎ましやかに年越をする。

 みんな不思議なくらい静かだ。

 やはり、この街での最初の戦闘(バッターリア)で敵の強さを感じているのだろう。

 サヤの言葉で年が終わる。

「みんなご苦労さまでした。ゲームを始めてからひたすら突っ走って来た気がする。ここまでは勢いで来ることができたけど、これから先は手強そうだ。気が緩むと退場ということにもなりかねない。引き締めて行こう。

 わたしはみんなと出会えてとても良かった。ここまで順調にこれたのもみんなの協力があったからだと本当にそう感じる。これから先も仲良くやって行きたい。信頼できる友は何ものにも代えがたい」


 建国3年目は朝第一昼刻から静かに始まる。

 建国祭(Festa del Mondo/Auc.03)だ。

 世界(イル・モンド)も三年目に入ったということかな。

 お年玉なのか、通常の支給とは別に、運営から十万リラが贈られた。

 “運営からのお知らせ„ があって記念指輪アネッロ・アンニヴェルサーリオを貰った。右手中指専用らしい。一人一人性能が違うという。ボクの場合は素早さアップだ。少しでも戦闘(バッターリア)が有利になるといいな。


 夜は花火大会がある。

 会場である街の北門の先、郊外にみんなで集まる。

 夜空は満月、主星と伴星が全て強く輝きとても綺麗だ。この夜空は年に一回しかないらしい。

 人が大勢集まっている。この街には、こんな人たちが居るのか、同じ世界(イル・モンド)を過ごしている仲間だと思う。それぞれの目には世界はどう映っているんだろう?

 中央にVIP席があるのは、気になる。ゲーム内にも勝ち組負け組がありそうだ。どこまでも人間社会を引き摺ると思う。それもゲームなのか。


 花火が上がる。

 余りの華麗さに、思わず “たまや~„ と言ってしまいそうだ。

 プログラムで造り出しているだけに、夜空に絵や文字を映し出すのも簡単だ。スポンサー企業がここぞとばかりにCMに励む。運営費を負担して貰ってることを考えればしゃーないか!


 なんとか一区切り付いた。

 サヤとゲッツのパートナー探しは急務だけど、焦りは禁物だ。

 明日からは何があるんだろう? 

 よろしく建国3年さん!

次回 「旦那編 46:パーティ修行 Addestramento di partito」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ