奥編 moglie 42:街道 A via
前回: “冒険者の集う街„ へ向かい旅立つ。
簡易宿泊所は寝床があるだけで、食事などは自分たちで用意する必要がある。
今回は、他のパーティは居なかったので、キャンプ・ファイアをする。
宿泊所の前の広場に近くの枯木を集める。なんだか楽しい。
火を点けると明々と燃え上がる。火事の心配があるからあまり大きくはできないけどね。
焚火の周囲にみんなで集まる。
それぞれに飲物を持っている。ゲッツ、飲み過ぎちゃだめだよ。
サヤが最初に話始める
「さて、これからのことについて話をしたいがいいだろうか?」
そうだよね。街に着いてからの行動を決めて置かないといけない。
「そうだな。俺の考えでは、まずは住居の確保だろう。とりあえず衣と食は問題ないしな。拠点にできれば更に良い」
「師匠の部屋があるとは聞いてないからなぁ。何とか代わりを見つけないと」
「あの部屋は良かったですぅ~。あんな部屋は借りられないんでしょうか?」
「需要あるから、きっとあんな共同生活できる部屋はあると思うんだよね」
「各自の部屋は別々で、共同のリビングとキッチンの付いてるタイプ、理想的ですぅ」
「まずは部屋探しだな。着いた日は冒険者ギルドで宿屋を紹介してもらおう」
住居は拠点だから、確りした所にしないとね。
「あとは、色々な情報集めだな。確認しながら実力を付けて行こう」
「人との交流も必要だ。仲間内だけに頼ってはいけないと思う」
「あたしは、もう退場したくないので、慎重に行きたいです」
「色々な人の戦い方を見るのも役に立つ」
「人脈もあると便利だ。交流は積極的にやる必要があるだろう!」
話は終わらない。
みんな新しい街に期待しているのだろう。
結局、夜遅くまで話をしてしまった。
翌朝、第一昼刻に簡易宿泊所を出発する。
行先は西!
穏やかな旅が続くが、周囲の植生は変わって来る。
次第に草原が少なくなり、樹々が立ち並ぶようになる。
道も石畳に変わる。良く整備されていて、歩き易い。
時々、馬車が通過して行く。
段々、手付かずの自然から、人が管理するような風景に変わって来る。
街道の両側には背の高い松が並ぶ。
日本の松とはかなりイメージが違うな。巨木って感じがする。
片手では持てない程の松毬が彼方此方に落ちている。
この辺りは松が多いのだろうか。
遠くに高い塀と多くの建物が見えて来る。
建国2年唱月28日(28/Coro/Auc.02)
遂に目的地 “冒険者の集う街„ に着く。
新しい街、新しい人、新しい事柄――何が待っているだろうか?
次回 「旦那編 43:冒険者の集う街 La città di avvenurieri」




