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黒の主  作者: 沙々音 凛
第十三章:騎士団の章二
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39・失敗した

 やはり失敗だったか、とグティックは木の影に隠れつつ溜息をついた。

 少し離れた斜め前の2本の木の影には2人づつ同じ隊の連中が隠れている。そちらは全員怪我をしていて動けない。本来なら早く治癒を受けさせてやらないとならないのだが……彼らが隠れる木の更に先にある大木の上に小屋があって、そこには敵の弓持ちがおそらく2人いる。少しでも影から出れば矢が飛んでくるのは確定で、運が悪い事にこの弓使いは腕がいい。……もしかしたらケイジャス系兵なのかもしれない。


――さて、どうするか。


 グティックはまた溜息をついて上を見上げた。


 セイネリアが敵の弓部隊に向けて突っ込んで行ったあと、グティックはバルドー達とは入口を挟んで逆方向の柵裏へ向かい、予定通り光石を使った後のたうち回る蛮族達を倒して回っていた。やがて予定通り火矢が投げ込まれれば、入口から比較的遠い位置にいた連中が一斉に逃げた。


『逃げたら追うなよ』


 セイネリアはそう言っていたからグティックはそいつらを無視した。こちらの仕事はあくまで後続部隊が心置きなくやってこられるように柵裏の弓兵を無効化する事であって一人残らず殺す事ではない。

 けれど、他の4人が調子に乗って追いかけた。いや、最初は彼らも無視していたのだが、思った以上に順調に蛮族達を倒せてしまって柵裏の敵がいなくなったあと……気付けば彼らの姿が見えなくなっていた。


 まさかと思ってグティックは先程蛮族達が逃げて行った方に向かってみた。今思えばせめて誰かに言ってから行けばよかったのだが、本隊は丁度混戦状態の戦闘が激しい時で言いに行き難かったのもある。ただどうみても味方側が押していて、戦力的に自分がいなくても問題ないと思ったから……ちょっと様子を見てくるくらいのつもりだったのだ。


 正直、予定通り順調に行き過ぎた事で気が緩んでいたのはあったかもしれない。


 追って行けば先に行った連中の悲鳴が聞こえて、弓の的になってのたうちまわっている彼らを目にすることになった。

 だからグティックはとにかくまず、そちらに向けて光石を投げた。そうして連中に向かって、まずどこかへ隠れろるようにと叫んだ。


 失敗だったのはそこでグティックが彼らの元へ向かったことで……本当なら、光に目が眩んで矢が止まっている間に一人でさっさと逃げるべきだったと今なら思う。それで味方を呼んできて彼らを助ければ良かったのだ。

 ただ彼らが怪我をしていたからまず助けにいかなければと思ってしまった。人よりちょっと細かいところに目がいっても、判断力はまだだめだと我ながら思う。


――くそ、誰かに知らせる事が出来ればいいんだが。


 離れた場所で居場所を知らせるなら光石を空に投げるのがお約束だが、生憎グティックの隠れている木はなかなかの大木で頭上はその立派な枝や葉で塞がれている。ここに投げても味方に見えはしないだろう。グティックは頭上を恨めしそうに見たまま何度目か分からない溜息を吐いた。

 かといって周りも木だらけで、やはり投げたとしても上手く見えるところへ行って光ってくれるとは思えない。

 一か八かで敵の弓がいる小屋方面に向かって投げ、その隙に逃げる……というのも考えたが、先ほど使ったばかりだから警戒されている可能性は高い。目を瞑られたら終わりだ。


――なんでもっと石を持ってなかったんだ。


 今更愚痴っても仕方ないが、手持ちの光石は残り1つしかない。3つ持っていたのだが、1つは柵の連中に向けて投げていて、もう1つはここで彼らを見つけた時に使ってしまった。複数持っていればとりあえずどれか試してみる事も出来るのだが、1つしかないとなれば失敗する可能性が高いものに賭ける訳にはいかない。

 前にいる彼らなら持っているのだが、投げろと言っても投げられる状態ではなさそうである。

 せめて辺りが暗くなっていたなら、隙間から漏れた光で誰かが気づいてくれそうなのだが。だが順調に行きすぎたのもあって空が暗くなり出すにはもう少し掛かる。向うの戦闘は問題なく勝てそうだったから待っていればいずれ探しにきてくれるだろうとは思うが、怪我をした連中は出血している、このままただ待っていたら危険かもしれない。


――出来るだけ早く、この場所を知らせるにはどうすればいいか。


 グティックは周囲を見て考えた。


次回はセイネリア達が彼らを探しに行きます。



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