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黒の主  作者: 沙々音 凛
第八章:冒険者の章六
278/1202

21・魔法の系列1

 昼の昼食時間を過ぎた酒場は人が少ない。

 がらんとした大部屋の隅は夜と違って辺りに人の声はなく、表通りの喧噪が遠くから聞こえてくるだけだった。

 ある者は目を瞑り、ある者はじっと黙って待ち、ある者は酒を飲み……それぞれが椅子に座って待つ中。


「魔法使いが関係する事が確定しましたので、ある程度こちらで分かっている事を話しましょう」


 と、魔法使いフロスは言った。


 それはこちらを襲ったあの連中を捕まえた次の日の昼の事で、セイネリア達は最初から魔法使いに話を聞くつもりで前日と同じこの酒場に集まっていた。今回はカリンもいて、全員が揃っている。


「まず、関わっているだろう魔法使いですが、暗示系の魔法使いです」

「それは、どういう術を使うんだ?」


 暗示系、と言うとなんとなくわかる部分もあるが、魔法使いによる魔法の分類など一般人が知るところではない。だから確認する為にセイネリアが聞けば、魔法使いは苦笑して肩を竦めてみせた。


「暗示系、という言葉通り、暗示をかけるんですよ。そうですね、精神操作系、と呼ぶ事もあります」

「つまり、人を操る?」

「えぇ、そう理解して下ってかまいません。ただ、他人を思い通り自由に操れるという程の術者はまずいません。勿論暗示という通り相手を人形のように強制的に動かすことも出来ますが、それだと無理矢理の分術が解けたら終わりです。ですから自分の下僕のように操って常時使おうとするなら、まずは会話で誘導しつつ術で思想を刷り込んで行き、それが自分の意志通りであるかのように思い込ませる訳です。……魔法使いとしてはケチな魔力の連中が多いのですが、一番性質(たち)が悪い連中でもあるんですよ」


 性質が悪い、というのはなんとなくわかる気はする。魔法による補助のある詐欺師みたいな連中だと考えていいのかもしれない。


「つまり、前者は暗示を術としてかけた場合で、後者は思い込ませる為の補助に術を使う訳か」

「そうです。思い込むのは本人であり、実際行動も本人の意志によるものですから、一度成功すれば術が解ける心配はない、という訳です。魔力自体は大して必要ないのもあって、他の術がメインな連中が片手間で使うようになる事も多いのです」

「暗示というより洗脳だな」


 セイネリアが小馬鹿にしたように鼻で笑えば、魔法使いも侮蔑の笑みを返した。


「そうですね、そうとも言えます。暗示系魔法使いは……あまり評判のよくない者が多い」


 魔法に限らず、まず口先から、という連中ならロクな者ではないのは当然だろう。フロスの反応からしても暗示系魔法使いが魔法使いの間でよく思われていないのは理解できる。


「確かに性質が悪い連中が多そうだな。なら……昨日の奴らは操られていたという事か」

「えぇ、そういう事です」


 それなら一応理屈は通る。昨夜捕まえた連中は、セイネリアの顔を見ても本気で知らないと言っていた。持っていた矢からしてこちらを襲って来た連中に間違いなく、それをつきつけてやっても彼らはこちらについて知らないといい張って、セイネリアもそれが嘘には思えなかった。


「先ほど言った通り、時間をたっぷり掛けて自分の意志だと思い込ませた場合は正気に戻すのはかなり難しいんですけどね、暗示を焼き付けて強制的に操られている場合は強い刺激や衝撃で結構簡単に術が解けることが多いのです。恐らく昨夜の連中はリパの光石で目が覚めたんじゃないかと」

「成程、その程度で解けるなら焼き付けの術で操られた連中はそう厄介でもないか」

「えぇ、人数にもよりますけどね」


 セイネリアは不快げに眉を寄せた。


「そんなに一遍に大量の人間に暗示をかける事が出来るのか?」

「いえ、少し違います。あらかじめ地道に一人づつ術を意識に埋め込んでおいて、トリガーで全員の暗示を一気に発動させる、という事が出来るのです」


あまり設定語りは好きではないのですが(==;

次でここのシーンは終わります。

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