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最初の夜

『ジリリリリリリリ!』と6畳部屋に目覚まし時計の音が響き渡る。

山下健太やましたけんたは、眠たそうな目を少し開き頭の上に置いてある目覚まし時計を止めた。

大きな欠伸あくびをしながら寝床ねどこから起き上がった。

昨日の仕事の疲れのせいなのか、気がつけば16時を回っていた。

『また休日を無駄にしたなぁ〜』

と、ボヤきながら冷蔵庫へ向かった。

健太の背丈ほどある冷蔵庫の中には、500㎖のビール缶2本と調味料が数種類しかなかった。

『なんもねーな!買い出しに行くか〜』

舌打ちしながらブツブツと文句を言う。

テーブルの上にある携帯電話、財布、家の鍵をポケットに入れて、そそくさと玄関へ向かった。

玄関を出ると丁度良くエレベーターが止まった。

ラッキーと言わんばかりの顔をして、ダッシュで駆け込んだ。

エレベーターには、先に1人の男性と1人の女性が乗っていた。

健太は少し動揺した顔をして、恥ずかしそうにしながら黙って乗っていた。

エレベーターが一階に着く寸前だが健太はある事を思い出した。

『あっ!玄関の鍵閉め忘れた!』

と、声に出しそうになったが言葉を呑み込んだ。

今から向かうのは、家から10分ほどの場所にあるコンビニだ。

それなら心配ないとそのままコンビニへ向かった。


健太が住んでいる場所は大通りに面しており、人通りも多かった。

元々は田舎暮らしで、3年程前に上京してきた。

都会に慣れるまでは、苦労が絶えなかった。


コンビニに着き、店内へ入るとおにぎりを物色して野菜ジュース1本を手に取り会計を済ませる。

店内を出るときに時計を見ると、16時40分を過ぎていた。

コンビニを後にし、来た道を歩く。

ふっと、一つの視線を感じる。

健太は、いろいろな方向へ視線を送るが、どこからの視線かわからない。

まだ見られているが、気のせいと思うようにした。


さっきの視線について考えながら歩いていると、健太の家が目の前に現れた。

もう着いたのか。と思いながらエレベーターに乗る。

エレベーターを降り、玄関前に着いたとき何故か嫌な予感がした。

玄関を開けると、部屋は真っ暗で17時の明るさではない。

居間の明かりを付けようと真っ暗な廊下を渡る。

恐らく居間に着いたであろうが、真っ暗なため現在地が思うようにわからない。

電気のスイッチの在り処を探していたが、段々と目が慣れてきた。

電気のスイッチよりも先に、足元にある紙切れらしきものに目がいった。

『なんだこれ?』と思いながら、拾ってみる。

紙切れを目を凝らしてみると、『ウシロ』と書いてあった。

その瞬間、健太の背筋には悪寒が走った。

振り返ろうとしたが、時すでに遅し。

灰皿のような鈍器で頭を後ろから殴られ、健太は気を失った。

気が遠くなる中で、微かに女の笑う声が微かに聞こえた…

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