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ぼくの詩集

がん細胞

作者: 桜井あんじ

試しにやってみましょうか

はたして

ぼくと ぼくの愛とを 切り離すことができるのか

そこのナイフを手にとって

でも どこをどう切ればよいのやら

分かりゃしない


この愛は ぼく

ぼくは この愛


あなたはぼくに巣食う がん細胞

ぼくの全身を蝕み 支配する

恐ろしい 愛という名の がん細胞


あなたにもし

ぼくと ぼくの愛とを 切り離すことができるなら

どうぞ やってみてください

そうして

ぼくから ぼくの愛 を 切り離した後

ぼく は 残っているのか 

ぼく は 知りたい

さあ そこのナイフを手にとって 

どうぞ やってみて


もしも 切り離すことができぬなら

そのままに しておきましょう

それと共に 生きてゆきましょう

ぼくは


欠けたものは

欠けたままに しておきましょう

ぼくはそれが

うつくしいと おもうから


いつかぼくが死ぬとき

それ も 死ぬ

ぼく は 消え

ぼくの愛 も 消える

まるではじめから 存在しなかったのと 同じことになる

ぼくはそれが すこし悲しい

ぼくが消えてしまうことよりも

ぼくの愛が消えてしまうことのほうが かなしい


あなたがいなくても

ぼくは時々 しあわせでしょう

あなたがいなくても

ぼくの夢は 叶うでしょう

あなたがいなくても

ぼくはとりあえず

生きてゆくのでしょう

不完全なかたちのまま

あの月のように

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