FAお礼短編「幼女フェフとデート」to RAINさん
ツイッターでFAをくれたRAINさんに捧ぐ。
感謝と、喜びの言葉を、
そして約束通り「FAくれたら幼女フェフとくれた人のデート短編書く!」という誓いを果たすために。
爽やかな朝だった。
小鳥が歌を交わし、太陽が燦々と照りつけている。
柔らかな風は頬を抜けて青空に溶けてゆき、まるで世界が今日の出来事を祝福しているようであった。
その人物。RAINとツイッター上で名乗る人は、ある目的のためにとある公共公園施設の、巨大な時計塔の前で人を待っていた。
時間も早いことか人はまばらで、軽く辺りを見回しても人通りはさほど多くない。
これならば相手を見失うことはないだろう。
そう考えていた。
もっとも、その期待は違う意味――良い意味で裏切られる事になる。
「あっ、いたいた♪……えへへ、RAINさん、待ってくれた?」
遠くからやってきたのは齢にして9つ程の少女であった。
フリルのついた愛らしいピンクのロリータ服に身を包み、肩からは可愛らしいクマを象ったポシェットを下げていた。
栗色の髪は両サイド三つ編みに結われており、少し大人びた花の髪飾りが陽の光の元で美しく映えている。
まるで童話の一ページ目に出てくるような愛らしい少女が、RAIN氏に向って手を振っていたのだ。
RAIN氏は、びっくりした様子で彼女を見つめ、ややしてゆっくりと挨拶を行う。
目の前にいる少女――もはや幼女と言っていい彼女の名前は、"鹿角フェフ"という。
とあるネット投稿サイトでギャグ小説を書く若き小説家だ。
ひょんなことから彼女と一緒にデートをする約束を取り付けたRAIN氏は、待ち合わせをするためにこの公園にやってきていた。
今日のデートを楽しみにしていたよ。
そんなセリフを述べるRAIN氏。すると急いで走ってきたのか、呼吸を落ち着かせながらその小さな胸を上下させていた彼女は、まるで世界に春が訪れたかのような輝く笑みを浮かべる。
「わぁ、嬉しいな。フェフさんも、今日のデート、とっても楽しみにしていたんだ」
百万ドルの夜景に勝る笑み。などという表現があるが、彼女が浮かべたそれはもはやそのような言葉では表現し尽くせない程の魅力を秘めていた。
人や動物は勿論のこと、草木や風、太陽に心があったのならきっと一瞬で恋に落ちそうな、そんな物語の中にしか存在しないような美しさがあった。
一瞬見とれていたRAIN氏は、ハッとなって彼女に語りかける。
今日の目的はデートだ。このままぼんやりと過ごすのも魅力的ではあるが、せっかくなのでいろんな所に行ってみたい。
きっと目の前の少女――鹿角フェフも同じ思いであろう。
ふわふわとした気持ちを抑えながら、早速デートに向かおうと目の前の小さなお姫様にRAIN氏は語りかける。
「うん! じゃあ、早速いこっか! えへへ……、今日はフェフさん、RAINさんにいっぱい甘えちゃうぞ~♪」
両手をえいえいおー、とばかりに上げて元気よく宣言する鹿角フェフ。
早速元気よく駆け出そうとする彼女を微笑ましく思っていると、ふとRAIN氏の視界に奇妙な物が映る。
それは先陣を切って駆け出そうと振り向いた鹿角フェフの背中にある、謎の紐だった。
首筋辺りから伸び出ている珍妙な紐。
はて? これはなんであろうか?
RAIN氏は思わずその紐を手に取り、試しにぐいっと引っ張ってしまう。
「あっ! これは! だ、だめ、RAINさん、ダ、ダメだよ!!」
刹那、鹿角フェフが先程のぽわんとした様子からは打って変わって、途端に焦った様な声を上げる。
その急変にびっくりしたRAIN氏は、勢い余って更に紐を引っ張ってしまった。
「だめ~~! ぬわーーーーっ!!!!!!」
バリバリバリ!!
強烈な音が鳴り、愛らしい少女が二つに割れ、中から全裸でサンオイルまみれのクソきったないおっさんが現れた!
そう、これこそが鹿角フェフの本体!
背中の紐を引っ張られたことによって中身が顕になったのだ!!
「いやああああ! アタシをみないでぇぇぇ!! こんなアタシを、みないでぇぇ!!!」
器用に股間と胸を両手で隠しながら、頬を真っ赤に染めて奇声を上げる鹿角フェフ!
その姿は、異様! 異質! 危険! 汚物!
この世のありとあらゆるキモさをごちゃまぜにした彼は、もう、なんていうかめっちゃキモかった!
そう、めっちゃキモかったのである!!
RAIN氏は言葉が出ない。
それどころかすでに距離を取っており、まるで彼とは何の関係もない一般人ですと言わんばかりの態度を見せている。
大正解だ。鹿角フェフの知り合いと思われて百害あって一理無しである!
「いやあああ! 羞恥プレイはいやあああああ!!! 誰かぁぁぁぁぁ!!!!」
一人ぼっち衆目に晒されながら奇声をあげる彼はこの後の落ちを考えていない!
それもそのはず、これはFAを貰ったテンションと、わずか数十分という時間で書かれた適当短編なのだ!!
――なので、この先の落ちはいま画面を見ている読者の皆さんに委ねようと思う。
そう、貴方です。画面の前の貴方。貴方に語りかけているのです。
どうかこの後の落ちをよろしくお願いいたします。
それが、この短編を書いた作者の、たった一つの願いなのです……。
~~ F i n ~~