峰麗しき2人の兄弟が出来まして
こんにちは!楽しんでもらえたら嬉しいです!
私が小学校3年生の時、美しい母は美しい殿方と再婚し、私には新しい父と峰麗しき2人の兄弟ができた。
ずっと兄弟が欲しかった私には2人の存在が嬉しかった。
美しい家族に囲まれて幸せを噛み締めていたがその幸せは長続きしなかった。
「巣守さんのお兄さんってカッコイイよね。」
「えー、私は弟の鶫君の方が良いなぁ。」
「何言ってんの!どっちも素敵だわ。」
小学校6年生の冬、私がトイレの個室にいる時にクラスメートの声が聞こえた。私の兄弟についてである。二人が褒められているのは私まで何だか誇らしい気持ちだ。ここから出てクラスメートの会話に混ざろうと扉を開けようとした。
「…巣守さん、うざいよね。」
ピタリと体が止まる。
今、なんて…。
「わかるー!兄弟を自慢してくるのと超うざい!」
「巣守さんとあの2人が並んでいる所見たんだけどさ、顔の偏差値違いすぎてウケた!」
「それ見たかったぁー!」
ギャハハと下品な笑い声がトイレに響きわたる。手の先から熱が引いていくのがわかった。
「巣守さんのお兄さんとか鬱陶しく思ってんじゃない?」
「ありえる!年がら年中ずっと居るの私だったら耐えられなーい!」
「1回鏡見てこいってね!!」
ギャハハと笑いながらクラスメートがトイレから出ていった。それによりトイレは一気に静かになる。
私が扉を開ければ、ギィっと扉を開ける音がトイレ中に静かに響く。
『1回鏡見てこいってね!!』
目の前にある鏡を見つめる。鏡の中には丸々太ったチビ、簡単に言えばちびデブ。そばかすに分厚い眼鏡、パサついた髪はあちこちと飛び跳ねていた。これが私、巣守 真白の姿である。
突然の羞恥心に襲われる。私は堪らずその場にしゃがみ込んでしまった。
あぁ、なんて醜い!こんな姿であの美しい2人とのうのうと暮らしていただなんて…!きっと2人は私の事を鬱陶しく思っていたに違いない。今までの優しさも家族を円滑にまわしていくための演技なのだろう。
学校のチャイムが鳴る。
行かなくちゃ、授業が始まってしまう。そう、思うのに私はその場から一歩も離れることは出来なかった。
***
具合が悪かったため保健室に居たと嘘を言う。すると、トイレで話していたクラスメートが駆け寄ってきた。
「大丈夫?」
「もう大丈夫なの?」
「顔色悪いよ?」
先ほど打って変わって、本当に心配そうにするクラスメート。そんなクラスメートが恐ろしいモノに見えてしまった。
人間なんて信じられない!
私はそれ以来できるだけ人を避け、家では空気となり美しい家族を眺めていた。
そんなこんなで暗くジメジメとした生活を送 送っていた中学校1年生の時。麗しき兄弟を眺めていると最近不思議な動機に苛まれる。これは何だろうか。
私は冷蔵庫前にいる2人を定位置であるソファの端っこに座り、2人眺めた。
「何見てるの?」
ビクッと肩が揺れる。兄の言葉になんと返そうか…!見ててごめんなさい!人間でごめんなさい!もう見ませんから!視界に映しませんから!寧ろ、私が消えますからっ!!
「いや、にーちゃんが飲んでいるの美味しいのかなーって。」
どうやら兄は弟に声を掛けたらしい。心底ホッした。何だか無駄に疲れたので背中をソファに預ける。
「飲んでみる?」
私の中の何かが反応し目をかっと見開く。そして瞬きせず2人を穴があくほど見つめる。あぁ、またこの動機だ。徐々に昂ぶるこの動機。不思議と嫌ではない。
「マジで?飲む飲むー。」
「はい。」
そう言いながら兄は弟に飲んでいたペットボトルを差し出す。受け取った弟はそのまま兄が口をつけた所に同じように口をつけ、飲んだ。
(ふぉぉぉぉぉぉぉお!!!キタァァァ!美形同士の間接キスゥゥゥゥゥウ!!)
悶えながらも2人から目をそらさない。いや、そらすことができないのだ。
「うわっ、まず!」
「そうかな?美味しいと思うけど。」
「にーちゃん味覚おかしいよ!!」
「鶫がおかしいだけでしょ?」
この時私はこの胸の高鳴りが何なのか分からなかった。
しかし、今ならこの気持ちが何なのかがわかる。
現在大学3年生、ジメジメ根暗女子は男同士がいちゃこらしているのが大好きな立派な腐女子へと進化していた。
次からはギャグ多めになる!はず!