訪れ
サブタイトル変更いたしました。
勘違いして別の話のサブタイトルにしてしまいました。
「綾子?」
このサブタイトルはもぅちょっと深いとこにいってかた使おうと思います。
読んでいる方には大変迷惑おかけいたしました。
学校内はいつもと変わらない。
昼休みだから少し賑やかなくらいだ。
さっきまで感じていた異様な雰囲気は、まるで嘘だったかのように消えてなくなっていた。
体中の緊張が解けていく。
グゥ〜〜〜〜
朝食を抜いてきたこともあり、腹の虫が空腹を訴えている。
「腹減ったな・・・・・・まだパン残ってるかな」
学校内の売店は、この昼休みが始まるとともに戦場へと化す。
油断すると、お目当てのものどころか何も買えずに昼食抜きということもあり得る。
そして、この時間帯ではほぼ昼食抜きが確定されている。
「どうすっかなぁ〜」
そう言いながら、ひとつくらいは、などと希望を抱いて食堂へ向かった。
すると
「おっ、晃だ。」
「来たね来たねぇ、今日はずいぶんと大胆に遅刻したな。」
「昼に登校するくらいならサボればよかったのにな。」
見知った顔の三人組が食堂方面からやってきた。小学校から友人の大場七海とその恋人の五十嵐敬吾、中一からの付き合いの三井幸仁だ。
この三人に俺、綾子がいわゆる仲良しグループだ。
「お前ら昼飯食ったの?」
「ピンポーン!今日の献立は焼きそばパンにメロンパン、コロッケパンに卵サンドにカフェオレ、いやぁおいしかったぁー。」
七海が満足そうに答えた。どうやら他にもいくつかパンを買い、女の子の一食とは思えない量をたいらげらしく、隣の二人は苦笑いしてた。
「幸仁、まだなんか残ってたか?」
「残るわけねぇだろこんな時間に、行ったって無駄だよ。」
そう言いながらアンパンを投げてきた。
「なんだ・・・・?くれるのか?」
「昼飯食えないツラさは俺も知ってるからな、まっ!困ったときはお互い様だ。」
そんな素晴らしい言葉を吐きながら、その右手はしっかり代金を催促している。
「あ、あとこれも。」
そういって敬悟が数冊のノートを渡してきた。
「追試は困るだろ?」
「マジか!?悪い、ありがとう。」
いつもはこんなことをしてくれない奴らが、なぜか今日は親切だ。
心が温かくなっていく。
「でも珍しいな、七海ならまだしも幸仁や敬悟が………」
そういうと幸仁は皮肉そうに笑いながらノートを指差し、見てみろと言った。
ノートを開くと、そこにはよく知っているクセ字が並んでいた。
綾子の字だ。
「俺らがそんな面倒なことするかよ、綾子に渡すよう頼まれただけだ。」
「なんでだ?いつもどおり渡してくれりゃよかったのに………」
そう言いながら、俺は綾子がなぜ直接渡さなかったのか予想がついていた、と言うよりそれしか見当たらなかった。
「知るかよ、俺らが知りたいくらいだぜ。」
綾子は俺を避けている。
「なんか綾子、様子が変だったのよねぇ。」
何かにヒビが入っていく音が聞こえる。
「そうだよなぁ・・・・いつもは口うるさいぐらいなのに、今日はなんか沈んでいたよな。」
おそらくこのまま放っておくと、ヒビはさらに増えていき、やがて壊れる。
それはいやだ。
どうすればいい?
簡単だ。
謝ればいい。
俺が・・・・・綾子に・・・・・
でもそれは、昨日のすべてを俺の非として受け止めなければならない。
それはそれでしっくりこない。
俺は悪いことをしたつもりはない。
俺は自分の気持ちを犠牲にしてまで綾子とのつながりを大切にしようとした。
だけど綾子はそれを絶った。
俺は・・・・・・・悪くない。
モヤモヤがまた湧き上がる。
目の前がまた真っ暗になる。
意識が遠のいていく。
不意に痛みが走った。七海が頬を引っ張っていた。地味に痛い。
「こらぁ、聞いてるかぁ晃。」
「えっ、あっ・・・・悪い、聞いてなかった。」
七海が呆れ顔しながら両手を頬を離し、腕を組んだ。
「とりあえず命の恩人である綾子にお礼いっときなよ。」
内心、七海に感謝した。昨日のことがあるせいで綾子と話せる気がしなかったのだが、これで少し話しかけやすい。
「あぁ、わかった、じゃぁ早めに綾子に会いに行くわ、あいつ今どこにいる?」
「あぁ、結城さんなら早退したよ」
えっ?
早退?綾子はさっき教室に・・・・・・
「いつ・・・・・帰ったんだ?」
「4限の体育にはもぅいなかったよ、3限も保健室で寝てたんだよ。」
えっ?
じゃぁあのときの綾子は・・・・・・?
体中から汗がにじみ出てくる。
俺が学校に着いたとき見た綾子、その時間の一時間前にすでに早退している綾子。
綾子・・・・・・・・?