違和感
あまり眠れなかった。
睡魔は確かに俺を眠りに誘うのに、それ以上に強い何かがそれを許さない。
わかっている。
モヤモヤは消えていない。
消えるどころか、頭痛までしてきた。
「・・・・・・・・・・・ッ」
やけに重い体をなんとか動かそうとする。
窓から見えた綾子の部屋
するとまた、激痛が襲う。
もはや身体が警告しているみたいだった。
綾子に会うなと・・・・・・・
それでも学校には行かなければまずいだろう。
そう思った俺は、身支度を済ませ、いつもより遅く、
確実に遅刻する時間帯に家を出た。
どうせ綾子とは同じクラスなため、嫌でも会うことになるだろう。
「どうすればいいのかなぁ?」
返答者などいない世界に尋ねた。
いつもと違う。
同じ道を歩いているのに、誰一人とすれ違わない。
この時間帯だと、近所のおばさんたちが世間話をしながら歩いていたりするハズなのに、
今日はどうも空気が重い。
昨日から離れないモヤモヤを、さらに増幅させるような雰囲気。
家をでるまでは誰にも会いたくない気持ちだったのに、誰でもいいから自分以外の存在を
確認したかった。
異様な雰囲気から孤独感を感じた俺は、すこし足早に学校に向かった。
結局、誰に会うこともなく学校についてしまった。
「うわっ、もぅ昼休みかよ、ヤバイなぁ・・・・・・」
12時を過ぎている時計を見て驚いた。
家を出たのが遅かったとはいえ、途中からは歩く速度を少し上げてきたつもりだったのだが、
予想到着時間よりかなり遅れていた。
早く歩いていたつもりだが、無意識のうちに遅くなっていたのか?
「言い訳は・・・・・いつもどおりでいいか。」
遅刻常習犯の俺は、いつもどおり、つまり寝坊という言い訳を考えながら学校に入ろうとしたとき、ふと教室にある人影に気付いた。
こっちを見てる。
「誰だ?あの教室だと俺と同じクラ・・ス・・・」
その正体はすぐには気付くことはできなかった。しかし、足を止めよく見ると輪郭がはっきり見えてきた。
「・・・・・・」
綾子だった。
まさか一番会いたくない人間をいきなり見つけてしまうとは・・・・・・
まだ俺は綾子にどんな態度で話せばいいのかわからないままでいた。
告白されておいてあれだけの暴言を吐いてしまった。
どんな顔して会えばいい?
そんなことを考えながら綾子から目を逸らそうとした時、かすかな違和感に気が付いた。
「・・・・綾・・・・子?」
綾子の目は冷めている。
いつも元気で、瞳に光を宿していたいつもの綾子とは違う、初めて見る目だった。
もう一度綾子の顔を見ようと教室のほうを見るが、綾子の姿はもうなかった。
「気のせいか・・・・?」
綾子から感じた違和感を疑問に思いながら、俺は学校に入った。
すみません
なんか恋愛というよりもホラーかサスペンスっぽいかもしれませんね。
次話からはもうちょっと速いテンポで書いていこうと思いますので、よろしくお願いします。