シロイハナ
気付けば俺は、自分の部屋でうずくまっていた。
―――――なんでだろう。
間違ったことをしたつもりはない。俺は自分が正しいと思ったことをした。
それなのに・・・・・・心が晴れない。
わからない、わからない
どうして綾子は泣いた?
どうして綾子は怒鳴った?
どうして綾子は・・・・・・?
ドウシテ・・・・・・?
まるでなにもわからない。
何よりもわからないのが、なぜ綾子が俺を・・・・・・・・・?
わからない。もう何も考えたくない。
頭のなかでひたすら廻る「わからない」が不愉快だった。
この不快感をかき消すために何かをしたかったが、何もする気になれない。
それでも俺は無理矢理身体を動かし、立ち上がり、ふと窓の向こうををみた。
綾子の部屋の電気は消えている。
「・・・・・・・・・・・・・・・っ!」
意味も無く綾子の部屋を見た自分にイラつき、つい壁を叩いてしまった。
ムシャクシャしながら、まだ頭の中から抜けない五文字を忘れるために俺は外に出た。
瞬間、冷たい何かが体中を打つ。
「あれっ?」
雨が降っていた。かなり強い雨だった。
「こんなに強かったのに・・・・・・・全然気付かなかったな。」
不思議だった。
いくら考え込んでいたといっても、これだけの雨の音に気付かなかったなんて・・・・・・・
「とりあえず、外は無理だな。」
あきらめて家に再び入ろうとしたとき、ふと目に入ったものがあった。
「花・・・・・・・・?」
白い花
小さくて、触れれば消えてしまいそうなくらい、弱々しい花。
なのに、独特な雰囲気をもつ見たことがない花。
花に興味はなかったが、なぜか気になった。
しばらく目を離す気になれなかった。
しかし、未だ消えないムシャクシャが頭を痛めるため、どうにか興味の的をずらし、俺は部屋に戻った。
なんの花なのか調べようという気にもならず、ただ頭の中のモヤモヤが消えることを願いながら、布団に全てを委ねた。