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外伝Ⅴ 調査委員の視点
最初にやったのは、
感情を捨てることだった。
怒りも、
同情も、
結論を曇らせる。
見るのは、
時系列。
メール。
議事録。
そこで見えたのは、
悪意よりも、
合理性だった。
数字。
注目度。
影響。
人は、
悪意がない方が
残酷になれる。
「話題性」という言葉は、
動機として
十分だった。
殺意は、
確認できなかった。
だが、
尊厳を削った判断は、
明確に存在した。
それを、
誤りと呼ぶしかない。
物語は、
調査では使えない。
だから、
剥がした。
残ったのは、
不格好な事実だけだった。
それでいい。




