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外伝Ⅲ 親友の視点
見た。
確かに、
あの日、見た。
車。
人影。
時間。
でも、
言えば消されると
分かっていた。
だから、
逃げた。
国外に出たのは、
保護じゃない。
撤退だ。
それでも、
記録だけは残した。
彼女が
“おかしい”と思ったこと。
“拒否していた”こと。
全部、
言葉にすると壊れるから、
形にした。
妹が動いた時、
正直、怖かった。
彼女は、
壊れると思った。
でも、
違った。
彼女は、
声を上げなかった。
暴露もしなかった。
ただ、
並べただけ。
それが、
一番、強かった。
私は、
友達を守れなかった。
でも、
物語にされることからは、
守れた。
それで、
十分だと思っている。




