練習
夜9時、トランスポーターが群馬のファクトリーに到着し、荷物を下ろす作業が始まる。
「下ろすよー!」
「はーい!」
リフトを使って488GT3が下ろされる。
そして、小物類も元あった棚に戻されていく。
「ふぃー。これで全部下ろせたね。」
「そうですね。忘れてるものとかもなさそうです。」
「よし、じゃあ、お疲れ〜」
そう言って何人かのメカニックが帰ろうとしたとき、1人のメカニックが提案してきた。
「ちょっとさ、ピットワークの練習しない?」
「え?」
「ほ、ほら、昨日、今日ってうまく行かなかったところがあったし…」
「お前…やるか!」
「よーし、少し練習するぞー!残れるのは残ってくれー」
メカニックたちがタイヤ、インパクトレンチ、エアジャッキノズル、燃料ポンプを持ち、スタンバイする。
「いくよー。3、2、1、GO!」
メカニックたちが一斉に動き出す。
まず、フェラーリがジャッキアップされる。
そして次にタイヤ担当がタイヤの交換を開始する。
それと同時に燃料ポンプを給油口に差し込む。ただ、今回、実際には燃料は流れない。
タイヤの交換が終了し、担当が手を挙げて合図する。
すると、ジャッキアップしていた488が地面に接地する。
「いいんじゃない?昨日の練習よりも早くできたよ!」
「おし!」
「やった!」
なんて大盛り上がりしていると突然ガレージのドアが開く。
「!?」
「!?」
「!?」
そこに立っていたのは峰原だった。
ここにいた一同の心の中ではこう思っていた。
あ…オワタ。
怒られるわ。
しかし、峰原の口から出た言葉は違った。
「何やってるんだ?」
「あ、あ、い、いや、こ、これはその…」
「今日のこと悔しかったか?」
「…悔しかったっす。」
「そうか。じゃあ、俺がピットワーク見てやるよ。」
「いいんですか?」
「あぁ。俺はヨーロッパの本格的な作業を見てる。」
「あぁ、右フロント担当、そこでインパクトレンチの回転を切り替えてから置くんじゃなくて、置くタイミングで切り替えられるからそのまま置けばいいんだよ」
「わかりました!」
「ここはこうした方が…」
「なるほど…」
「じゃあ、最後にもう一回やるぞー!」
「3、2、1、はい!」
動き出すストップウォッチの数字。
進む作業。
すべての作業が終わり、488がジャッキダウンする。
「すごい!規定タイムより5秒早いよ!」
「これなら次の大会はいい結果に繋げられるんじゃないか?」
「頑張ります!」
「よし。今日はもう遅いし、帰ってゆっくり休みな。」
「わかりました」
そして、峰原とスタッフたちは各々の自宅に帰った。




