開幕
富士スピードウェイ。
ここでGTワールドチャレンジアジア ジャパンカップが開幕する。
「おはようございます、立村代表。」
「おはよう。ついに今日からだね。」
「はい。2人のドライバーも本気で調整を行ってきました。今、フェラーリは私達の最適解のマシンになっています。」
「あ、おはようございます!」
明るく挨拶してきたのは秋山俊貴選手。
「おはよう。今日の予選、頑張っていきましょう!」
「はい!」
「立村代表、おはようございます」
少し落ち着いた挨拶をしてくれるのは峰原尚樹選手。
「峰原選手、おはようございます、今日から頑張っていきましょう」
明るい雰囲気のピットを見守っていると、木下に声をかけられた。
「立村代表、今回私達のフェラーリにはBoPで車重増加とブースト圧の制限が課せられることが決まりました。」
「BoP?」
「Balance of Power、の頭文字をとってBoP。まぁ、どのチームにも勝つ可能性を用意するための措置ですよ。」
「で、車重増加とぶ、ぶーすとあつ?の制限でなにか変わるのか?」
「まず車重増加で、ブレーキの効きが悪くなったり、重い分タイヤへの負担も増えてタイヤの消耗が早まります。」
「それでブースト圧の制限は、このマシンのエンジンはV6のツインターボなんですが、そのターボが吸い込む空気の量が制限されます。」
「それが課せられるとどうなるんだ?」
「まぁ、ストレートの加速とかコーナーからの加速は悪くなりますよね。パワーが落ちるんですから。」
「なるほど…あれ?うち不利じゃね?」
「そうです。初参戦なんですが、いきなり苦しめられることになりました。」
「まぁ、昨日のセッティングがベストだと2人も話しているのでこれで大丈夫だと思います。」
その会話の1時間後、予選が始まる。
彼らの期待とは裏腹にトラッソレーシングの128号車のフェラーリは伸び悩んでいた。
「タイムが伸びませんねぇ…」
木下とHAYABUSAのエンジニアがモニターを見て厳しい顔をしていた。
現在トラッソレーシングは26台中21位。
「残りの時間も30秒…もう1回のアタックは無理ですね…」
「入れちゃうか。」
「ですね。」
「峰原さん、BOX、BOX」
「木下、BOXってなんだ?」
「BOXはレース用語でピットインを意味します。」
「そうなのか。」
結果、トラッソレーシングは22位で予選を終えた。
トラッソ赤城から生まれ変わったトラッソレーシングの船出は厳しいものになった。




