もてぎ、決着
翌日、秋めいてきたもてぎには様々なマシンのエンジン音が響き渡っていた。
『秋山さん、いいタイムですよ!現状2番手タイムです!』
「了解。」
秋山はさらなるタイムの更新を目指す。
GTワールドチャレンジではアマチュアドライバーによる予選で順位を決める。
そして、この大会に出場しているアマチュアドライバーの中でも秀でた才能を持つのがこの秋山俊貴だ。
結果、タイム更新は叶わなかったが、初乗りのポルシェで好タイムを残すことができた。
最終結果では他チームに抜かれ、6位となった。
「秋山さん、6位ですよ!初めてのポルシェでナイスです!」
「秋山さんグッジョブ!」
みんなが秋山を激励していた。
「よし、明日もこの流れをみんなで続けていこう!それで、2回目の表彰台を目指そう!!」
「「「おぉぉぉぉ!!!!!」」」
チームの士気は過去見たことないほど高まっていた。
日曜日、決勝。
全車がグリッドに並ぶ。
ファンたちも他チームのメカニックたちもトラッソレーシングのマシンに注目していた。
彼らがどんなレースをするのかと。
その疑問はすぐに証明された。
前のマシンたちがぐんぐんと追い抜いていくトラッソレーシング。
気づけば6位から2位にまで順位を上げていた。
一部のファンたちはトラッソレーシングがここで初優勝を決めるのではないか!?と期待を寄せていた。
そしてレーススタートから30分。
『秋山さん、BOX、BOX。タイヤ交換、燃料補給、ドライバー交代を行います』
「この周ね?了解」
トラッソレーシングの真っ黒いポルシェがピットレーンに入ってくる。
「メカニックさん!お願いします!!」
赤いつなぎを着たメカニックたちが新品のタイヤやインパクトレンチ、エアジャッキノズル、燃料ホースなど各々の仕事に使う道具を持ち、待機していた。
するとポルシェが滑り込んでくる。
作業が淡々と進められ、ドライバーも秋山から峰原に交代となる。
「峰原さん、ブレーキ結構使っちゃったかもしれないです。ごめんなさい」
「任せて、任せて、俺そういう方が速くなるから」
そして秋山の肩を叩き、峰原がポルシェのコックピットに滑り込む。
準備が終わり、マシンがジャッキダウンする。
今回も最低ピットタイムの6秒残しとなった。
「6、5、4、3、2、1、GO!GO!」
メカニックが持ったロリポップというサインボードが彼の眼前から消える。
これがスタートの合図だ。
弾かれたようにピットを飛び出していく峰原。
『峰原さん、ピット速度注意ですよ!結構際どい発進でしたよ!』
「わりぃ、わりぃ、久しぶりにこんなテンションになって気持ちが高ぶってな」
『まぁ、レースコントロールからは何もアナウンスはないんでこのまま頼みますよ』
ポルシェがピットレーンからコースへと合流する。
この時点で3位。
2度目の表彰台が狙える。
残り時間のタイマーが0になる。
ホームストレート上ではチェッカーフラッグが振られていた。
優勝はポルシェレーシングササノ。
3位にトラッソレーシングが食いついて見せた。
レースが終わり、メンバーみんなで最後のミーティングをしていた。
「えーね、今回再び表彰台に上がることができて、代表としてもとても嬉しいです。このまま鈴鹿大会も表彰台を目指していきましょう」
「それと、さっき連絡があったのですが、群馬の拠点の方でフェラーリの修理が完了したそうです。」
その報告を聞いてメカニックたちの表情が更に明るくなった。
「次の鈴鹿大会は、私達の最高の相棒であるフェラーリで戦っていきましょう!今日は本当にお疲れ様でした!」
拍手が上がる。
気づけば次の鈴鹿大会がGTワールドチャレンジアジアジャパンカップの最終戦。
ここでこのチームは奇跡を起こす。




