初獲得
迎えた午後の決勝レース。
「今回のレース、もしかするとポイントを獲得することができるかもしれません。」
「ポイントって何位からもらえるんだ?」
「この大会ではルール上10位からポイントが獲得できます。」
「じゃあ、もうポイント取れるじゃん。」
「でも、私達としてはもっと上位を狙いますよ」
「そうだね。できるなら優勝目指そう!」
「えぇ、やってやりましょう」
フォーメーションラップが始まる。
10番手のトラッソレーシングのフェラーリ488GT3がグリッドを離れていく。
今日の128号車はいつもより自信に満ちあふれているように見えた。
2周のフォーメーションラップの後、レースがスタートする。
いきなり1コーナーで2台をオーバーテイク。
ブースト圧が戻った488GT3は水を得た魚のようだった。
「かなり調子良くなりましたね。」
「ブースト圧も問題なさそうです。現状数値も安定しています。」
「速いね、彼」
「マシンが直ってかなり良さそうだね」
「こっちとしてもなによりです。マシンの調子が戻って」
彼らのモニターには128号車が映し出されていた。
そして、ピットインのときが来る。
メカニックたちがあの日の練習を思い出すように作業に取り掛かる。
スムーズに進んでいく作業。
メカニックたちの連携もうまくいき、何事もなく作業が終わった。
メカニックがGOサインを出す。
そして128号車がピットを蹴り出していく。
秋山から峰原にドライバー交代をする。
チームのエースドライバー峰原はポジションアップを目指してレースに復帰していく。
『峰原さん、残り20分、残り20分です。順位は10位、10位です。ポイント獲得圏内です!がんばって』
「了解。最善を尽くしてくる。」
その会話を最後に峰原はレースに集中していく。
前のマシンとのタイム差は6秒。
やろうと思えば詰められなくもない差だが、マシンのタイヤだけでなく燃料も考えるとこれ以上のペースアップはできない。
ただ、このポジションをキープすることはできる。
『20分経過、20分経過、これでファイナルラップです』
「了解」
チェッカーフラッグを128号車が通過する。
トラッソレーシングは初のポイントを獲得した。
『P10、P10、ポイントゲットです!お疲れ様です』
「よっしゃぁ〜、やっとポイント取れた〜」
ピットも初のポイント獲得に盛り上がっていた。
「やりましたね!」
「えぇ!」
「やったぞぉ!」
2人のエンジニアの肩に腕を回し、祝福する。
今回の第3戦SUGOの結果、トラッソレーシングは10位が確定した。
これにより、初のポイントを獲得することができた。
そして、次の北海道大会でもこのチームは奇跡を起こす。




