召喚の儀
エリオットは、静かな夜の森を歩いていた。月明かりが樹々の間を照らし、彼の足元に影を落としている。彼はここ数ヶ月間、奇妙な夢に悩まされていた。その夢はいつも同じ内容だった。古びた祭壇、光の柱、そして耳元で囁くような不思議な声。
夢に導かれるように、エリオットはある夜、ふと目覚めて森へと足を向けた。心の奥底で、何かが彼を呼び寄せている気がしたのだ。深い森の奥へと進むうちに、エリオットは不意に目の前に広がる光景に息を飲んだ。
そこには、夢で見たのと同じ祭壇があった。古びた石造りの祭壇の周りには、古代の文字が刻まれており、その文字がかすかに光を放っている。エリオットは、その光に導かれるように祭壇へと歩み寄った。
祭壇の中心には、古びた書物が置かれていた。エリオットは慎重にそれを手に取り、ページをめくった。すると、彼の頭の中に直接語りかけてくるような声が響いた。
「汝、選ばれし者よ。異界への門を開く時が来た。」
突然、祭壇の文字が鮮やかに輝き始めた。エリオットは、まばゆい光に目を細めた。その瞬間、彼の身体が引き寄せられるように光の中へと吸い込まれた。
目を開けると、そこには見慣れない世界が広がっていた。空には二つの太陽が輝き、緑豊かな大地には奇妙な生き物たちが跳ね回っている。エリオットは、まさに異世界に足を踏み入れたのだと理解した。
「ここが...夢で見た場所か。」彼は呟いた。
その時、一人の女性が彼の前に現れた。彼女は美しい鎧を身にまとい、エリオットに向かって微笑んだ。
「ようこそ、選ばれし者よ。私はリリス。この世界の紡ぎ手だ。あなたには、ここで果たすべき使命がある。」
エリオットは、これから始まる冒険に胸を高鳴らせながら、リリスの言葉に耳を傾けた。彼の運命は、この未知の世界で紡がれることになるのだった。
