表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
投げて!投神サマ!  作者: 風塵
第2章 街に着いてもスローライフ(Throw Life)!
120/177

120、復帰

「俺はお前が気にくわねぇな!」


 テンゲイン・チルドレンの証であるストールを首にしっかりと巻き付けた若い男が、投神を見下ろしながら糾弾するように指を突きつけた。

 後ろには取り巻きの冒険者が3人ほどおり、投神に対してヤジを飛ばしている。


「ダージェ、何が気にくわねぇんだよ

 投神さんは愉快なおっちゃんだぜ?」


 投神のテーブルに座った同じくストールをだらりと巻いたテンゲイン・チルドレンの男がからかうように聞いた。

 トラブル好きなのか、どこか期待するようや目でニヤニヤしている。


「バリン、お前は黙ってろ!

 俺たちはなぁ、誰にも使われねぇ

 勇者の頼みによってしか動いちゃいけねぇんだよ!

 それをどこの誰かも、職業不詳の男に顎で使われたなんざ、テンゲインの名が穢れるぜ!」


「かてぇなオイ!真面目かっ!」


「茶化すな!」


「じゃあダージェはどうしたいのよ?」


 投神のいるテーブルに座った女が尋ねる。


「正体を明かしてもらおうか!」


「正体?」


「ああ、鑑定…、いや解析を受けてもらう

 こいつの背後に誰がいるのか知ったもんじゃない」


「あ、それは俺も興味あるかも〜」

「…私もステータスは知りたい、かな」

「投神さん、解析で視させてもらっても良い?」


「ヨイゾ」


「…軽っ」

「流石は橙の!」

「大々的に挑発してまで解析に話しをもってったのに…プププ」

「普通に頼めば良かったんじゃ…」


「くっ!

 とにかく解析させてもらうぞ!」


「レイドで共有よろ!」

「「「よろ!」」」


「………………『解析』!


 って、弾かれた?!」


「「「はぁ?」」」


 周りの冒険者が一斉に驚く。

 ダージェのレベルの高さを知っているからだ。

 鑑定や解析はレベル差が大きいと弾かれて視ることができないとされている。


「投神さん高レベル冒険者だったの?」


「イイヤ?」


「今のは弾かれたっていうか……

 えぇーい!その!コインを投げるのをやめろ!

 きっとそのコインに気が散って詠唱をミスっただけだ!」


「…ヨイゾ」


「よし!もう一度!

 …………………『解析』!」


 淡い光が投神を包む。

 成功だ。


「な、なんだこのステータスは…!」


 皆は視た、投神のステータスの詳細を。


「無職…、馬鹿な!」

「こんなステータス視たことないわね…」

「え〜と、称号多すぎ」

「状態異常抵抗率高ぇな!」

「界を渡りし者って何…?」

「魔力ゼロっておかしくないっ?!」

「投げることにのみ補正カッコ神って、なんじゃそりゃ」


 みんな一気に酔いが醒めたようで、ガヤガヤと感想を言い合っている。


「称号をみるに、怪しい組織には所属してねぇな」


 バリンが断言するように宣言する。


「くっ…!

 だ、だが、テンゲイン・チルドレンが無職の男にこき使われたなんて知られれば、中央で何と言われるか!」


「そんなもん、どうとでも言い訳できるさ

 あれは勇者の要請だったとか、な」


「それは、そうだが…」


 ダージェの声は次第にトーンダウンしていく。


「おう橙色の、気安くステータスを明かしてんじゃねぇ!」


 騒ぎを聞きつけた職人の親方、ダルハがやってきた。

 顔色は変わってないが、多少目が座っていて剣呑な雰囲気を醸し出している。

 職人というより荒っぽい冒険者のようだ。


 テーブルに突っ伏していたダルハの気配にスーディが目を覚ました。


「ふぇ…?」


 …いや、ボヤっとした顔は妙な夢でも見てたまたま起きただけのようだ。


「ステータスを知られたら弱点をさらけ出したようなもんだ

 足元を掬われるぜ」


「ナルホド、キをツケヨウ」


「まぁお前さんはステータスに依らない強者だろうがな」


「強者って…、コイツは無職だぜ?」


「はっ!」


 ダルハは若い冒険者を鼻で笑ってグイと酒をあおる。


「職業、ステータス、魔術に魔技…

 超高レベルになればなる程、そんなもんは重要じゃなくなるのさ…」


 何か恐ろしいものでも思い出したように、ジョッキの酒を覗き込みながら呟く。


「ダルハ爺…、もしかしてEXダンジョンで何か見たのか…?」


「…あぁ、見たぜぇ

 本物のバケモンどもをな

 意味不明のバケモン冒険者、魔物を超える魔物、儂らがどう足掻いても造れねぇ武器や防具…」


 あれほど騒がしかった酒場が静まり返る。


「あれは“人”が近づいちゃいけねぇ場所だ」


 高レベルの冒険者が目指すEXダンジョンは他のダンジョンとは別次元の難易度であり、もしこのダンジョン核を破壊することができれば全てのダンジョンや魔人が消えると云われている。

 しかし今まで数多の高レベル冒険者が挑んできたが、どこまで攻略が進んでいるのかは不明である。

 超高レベル冒険者になるとギルドや教会に寄り付かなくなるからだ。

 それらがなくともダンジョンに潜れる状態になっているという噂だ。


「そういう意味じゃ、橙色の

 お前さんならEXダンジョンに挑む資格があるのかもしれねぇな」


「「「はぁ?」」」


 ダルハの言葉にスーディを除く全てのものが驚きの声を上げた。


「爺さん、コイツは無職の一般人なんだぜ?」

「投神さんに戦う力なんてないわ」

「お父さんお母さんのパーティーでさえ断念したというのに…!」


「あいつらも良い線いってたが、真っ当過ぎるのさ」


「なんだど!」


 敬愛する勇者を批判されたと思った男が気色ばむ。


「あそこは狂った奴しか居られねぇ

 勇者は優し過ぎる

 人類にとっては幸せなことにな」


「………」


「投神先生、あなたがEXダンジョンに挑まれるなら、私も供に参ります…!」


 ひと眠りして頭がクリアになったスーディが決意を胸に宣言する。


「竜騎士…、国から出てきたのか

 変わった奴だが、その程度の狂気で足りるか?」


「今の私では足りぬかもな…

 だが投神先生により悟りを開いた

 私は、変わる」


「……ふんっ」


 挑発するようなダルハの言葉に静かに闘志を燃やしているのか、顔の翡翠の鱗に赤みを帯びた鮮やかなオレンジ色が混ざる。


「ウツクシイ…」


「へっ?!」


 投神の呟きに凛々しかったスーディの顔が、ポカンとしたものになった。


「ななな、何を急に…!

 はっ?!普人族ゆえに発情したのですかっ?」


「オチツケ」


「ガッハッハ、締まらねえなぁ

 まぁパーティーのメンツはしっかり考えて組みな」


 ダルハはそう言うと空になった酒を補充しに酒樽のほうに向かった。


「でもよ投神のおっちゃん

 先ずは職業を得ないと冒険者登録できねぇぞ」


 投神のテーブルにいるバリンと呼ばれた軽薄そうな男が指摘する。


「ハイ?」


 投神はコインを親指でピンと弾いて聞き返す。


「だ、か、ら、職業を得ないと!

 教会に行って来なよ」


「ア〜、アレネ!ムリムリ

 オレはモタザルモノダカラ」


 そう言うと喉を保護している喉当てをずらして見せる。


「キャア!」


 周りの女性の幾人かが顔を赤らめた。

 魔声帯がある喉元は冒険者にとって弱点であり、それを保護するのが普通である。

 今では喉を見せることは裸を見せることに等しいという感情を持つ者が多くなっていた。


「オイオイ、って本当だ…、魔声帯がねぇ」


 投神の喉元を覗き込んだ後、バリンは何かを考え込むように椅子に深く座り直した。


「…投神先生は無職なのに魔人を圧倒したんですね

 流石です」


「何っ?!」


「魔人を倒したのは竜騎士のあんたじゃねぇのか?」


「当たり前だ

 魔人は投神先生が倒された」


「マジか…」

「信じられねぇ!」

「どうやって?」


 周りの冒険者が魔人を倒したと聞いて顔色を変えた。


「オレは投ゲタダケタ」


「「「投げただけ…???」」」


「あの補正カッコ神の力か?」

「いや、補正は補正だろ?」

「直接的な攻撃魔技とか持ってねぇし…」

「イミフだ…」


「じゃパーティー組むっていっても、ゲスト枠でしか入れないわね…

 投神のおぢ様が良いのなら良いけど…」


 投神のテーブルに居る、猫のような大きくて鋭い目の女が獲物を見つけたように投神を見据えている。


「オレは…」


「「俺は?」」


「オレはコノセカイノヒトビトをエガオにスル」


「「……はい?」」

「そんな話ししてたっけ?」

「…深い、深過ぎるぜ」

「投神さんは笑顔の使者…」

「違う、この世界の脅威である魔人を退けて人々の笑顔を取り戻す…って意味だと思うぜ!」

「「おお〜!」」

「その為にはゲストだろうがなんだろうが厭わないと!」

「「おお〜!」」

「なら、俺らのパーティーのゲストに来いよ!」

「えー、私たちのゲストに来てよ!」

「じゃあアタイがパーティーに入ってあげる」

「あ、ズルい!私も!」

「面白ぇー、俺っちも!」


 無職である投神の特異さに気づいた若い冒険者たちは、自身のパーティーへの勧誘やパーティーメンバーへの立候補をしだし、まるでお祭りのように騒ぎだした。



 そのとき酒場の扉が乱暴に開き、光が飛び込んできた!


「ちょっと待ちなさーい!

 相棒の妾に相談もなしにパーティーメンバーを決めるんじゃないわよっっ!!」


 その小さい光は妖精族が発するものだ。


 妖精女王、チュイが戻ってきたのである。


+++++++++++++++++++++++++++++++



現状能力(ステータス)


◇名前:投神 ◇種族:普人族 ◇年齢:29

◇職業:--- ◇階位(レベル):--- ◇属性:善

◇体力:12 ◇腕力:12 ◇敏捷:12

◇魔力:0 ◇信仰:12 ◇幸運:12


◇白魔術:0/0/0/0/0/0/0/0/0

◇黒魔術:0/0/0/0/0/0/0/0/0

◇錬金魔術:0/0/0/0/0/0/0/0/0

◇召喚魔術:0/0/0/0/0/0/0/0/0


属性攻撃率

◇地:0% ◇水:0% ◇火:0% ◇風:0% ◇空:0% ◇聖:100% ◇闇:0% ◇練:0% ◇竜:0%


属性防御率

◇地:0% ◇水:0% ◇火:0% ◇風:0% ◇空:0% ◇聖:0% ◇闇:100% ◇練:0% ◇竜:0%


状態異常発動率

◇睡眠:0% ◇猛毒:300%※ ◇沈黙:0% ◇混乱:0% ◇麻痺:0% ◇魅了:0% ◇石化:0% ◇消失:0% ◇即死:0%

※毒武器攻撃時のみ発動


状態異常抵抗率

◇睡眠:150% ◇猛毒:300% ◇沈黙:120% ◇混乱:150% ◇麻痺:120% ◇魅了:200% ◇石化:120% ◇消失:120% ◇即死:120%


◇魔技


◇灮闡能力


◇称号

『界を渡りし者』

詳細不明


『地形破壊者』

地形を破壊する場合、体力・腕力値に補正(小)


『孤軍奮闘』

単独で魔物と戦闘する場合、体力・腕力・敏捷値に補正(中)


『不死之王の呪いを破りし者』

聖属性攻撃率上昇。闇属性防御率上昇。一部の状態異常に対する抵抗力上昇。


『蠱毒の壺に残りし者』

全ての状態異常に対する抵抗力上昇。毒の武器を使用した場合のみ、猛毒の状態異常発動率上昇。


『異世界樹の守り人』

詳細不明


『橙色の大道芸人』

橙色の装備で神賑を行った場合、獲得する経験値が上昇。


『蟲殺し』

昆虫系魔物と戦闘する場合、体力・腕力・敏捷値に補正(小)



◇その他

●投げることにのみ補正(神)


●吟遊詩人フウ・ユウ・エンと『芸能ユニット』契約中


●黒魔術師チュイ・ゾゾムと『妖精之契』契約中


+++++++++++++++++++++++++++++++



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ