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童話

流れ星狩り

作者: 碧衣 奈美

「いやぁ、久し振りの流れ星狩りですな」

「ええ、本当に。しばらく星が降りませんでしたからねぇ。

淋しく思っていたところだったんですよ」

村の南側にある砂浜のあちらこちらで、こんな会話が聞こえてきます。

どうぶつ村では、三ヶ月ぶりの「流れ星狩り」が行われています。


「流れ星狩り」というのは、この砂浜に降ってはつもる星を

潮干狩りのようにして集めること。

集めた星はおうちに飾ってもいいし、明かりの代わりにしてもいいし、

なんと食べることだってできるのです。


でも、最近はなぜか星があまり降らなくなって、

砂浜に星が見掛けられることがへってしまいました。

砂浜には、湿った砂だけしかなかったのです。

だから、どうぶつ達はとてもがっかりしていました。

いつもなら二週間に一度くらい、流れ星狩りができていたのですから。

それくらい、この村に星はよく降るのです。

そして、どうぶつ達は流れ星が大好きなのです。


だから昨夜、流れ星がたくさん砂浜に降ってきたのを見て、

みんなは大喜びしました。

砂浜へ駆けて行くと、砂浜が一面、黄色く光っていました。

降りたての流れ星は、とても美しく輝くのです。

誰もがしばらくその光景をながめ、ほうっとため息をついたものです。

「明日には流れ星狩りができますね」

村長さんであるライオンさんが言い、みんなは今日という日を

とても楽しみにしていたのです。


そして今夜。

今夜。

つまり、夜。

流れ星狩りは夜になってから行われるのです。

なぜって?

だって、昼間だと流れ星の美しさが半分になってしまうじゃないですか。

星は夜の方がよく見えるのですから。

もちろん昼間だっていいのですが、

どうぶつ達はやっぱり美しく光っている流れ星を集めたいのです。


ランプなんていりません。

だって、砂浜にある星だけで十分明るいのですから。

いえ、星の方がランプより明るいかも知れません。

どうぶつ達が持っているランプの数より、流れ星の方がずぅっと多いのです。


夕暮れよりも少し暗くなった頃、どうぶつ達がぞろぞろと集まり始めました。

手にはそれぞれかわいいバケツを持って。カゴを持っているどうぶつもいます。

ついでにお砂遊びをしようと、スコップを持っている子どもの姿も

ちらほら見掛けられます。

その子どもの手をつないで、みんなはのんびりと流れ星狩りを始めます。

遅く来たって、流れ星がなくなることはありません。

流れ星はいぃっぱい、あるのです。

全部拾うことができないくらい、いぃっぱいあるのです。

いつだって、流れ星狩りが終わった後を見ても、

まだ砂浜の所々に流れ星が残っているくらいです。


「わー、今日の流れ星、とってもおいしいよ、お母さん」

さっそく、流れ星にかじりついた子どもが声をあげました。

流れ星をかじると、とっても甘い味がしたり優しい味がしたりするのです。

「この流れ星さん、すごくきれいに光ってる。見て見て、パパ。

あたし、この流れ星さんをお部屋にかざるね」

どこかから、こんな声も聞こえてきました。

流れ星は部屋に飾ると、まるで星の海にいるような夢を見られるのです。

かと思えば、星に乗って空を旅する夢も。

だからみんな、少なくとも一つは流れ星をお部屋に飾るのです。


小さいものはウメくらい、大きいものはリンゴくらいの大きさの流れ星。

バケツやカゴがそんな流れ星でいっぱいになると、

そろそろ帰り支度を始めるどうぶつ達の姿が見受けられます。

片手には流れ星の入ったバケツを持ち、もう片方の手には子どもの手を引き、

幸せそうな顔をしてみんなはおうちへ帰って行きます。

「パパ、ママ。あたし、流れ星狩りが大好きよ」

こんな子どもの言葉を、おとな達はほほえんで聞いています。

おとな達だって流れ星狩りは好きなのです。

どうぶつ村のどうぶつ達はみんな、流れ星狩りが大好きなのです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] かわいらしいお話でした。 流れ星狩りという題名から、空を飛び回って星を狩るのかと思えば、潮干狩りならぬ流れ星狩りで、意外性がありました。 食べてよし、飾って良しの流れ星、私も欲しくなり…
[一言] 流れ星私も食べてみたい!
2021/12/31 21:05 退会済み
管理
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