第6話 スクリム②
頑張ります
結構やばいことがありつつも、飯食ったりなんやかんやしてからそのままOBCにログインして広場で賢三と合流した。
「おーい、エレファー」
「お、イア、、、ってお前あの後大丈夫だったんか」
そう俺の顔を伺うように聞いてくる
やっぱ聞かれるよなぁ…あんま気使わなくてもいいのに
「一応ね。結局あの人、帰ったみたいだし。心配すんなって」
賢三が気に病むほどのことじゃないと若干ながら微笑みながら答えた
「そっか、まあなんかあったら言えよ。できる限りのことは手助けするから」
少しは安心したらしく、気を緩めた顔になった。
「あざす。で、それはそうとどっからスクリム入んの?」
「このまえ入った城あるだろ?そこの扉からみて左側の奥にある扉の先に受付がある」
「なるほど?」
「まあ行ったらわかる」
とか話しつつ広場からあの城(ハーべクト城というらしい)へと向かい、扉を開ける。
開けた瞬間あの時と同じような喧騒が目の前にあった。
普通に怖い
「中入るか」
「・・・うん」
やっぱり入るの気後れするなあ、って危なっ!?
ムキムキの筋肉だるまが気づいた時には目の前にいた。
まじで恐怖
と思っていたら無意識に賢三の袖をつかんでいた。
「・・・いやちょっ、え?」
なんか賢三が困惑してるが俺は知らん。はぐれたら死ぬもん
仕方ないものは仕方ない
側から見ると妹が兄を頼っているような、なんとも微笑ましい風景であるが、当の本人達は気づいていない。
さらに言えば周りにいるプレイヤーたちからは温かい目で見られているが、恐れている慶太と照れている賢三にはどうでもいいことであった。
そんなこんなで進んでいくと急に賢三が止まり下を向いていた慶太はぶつかってしまった。
「おい、急に止まんな」
「ここがスクリムの受付。はいるぞ」
と言われて見えたのはアサルトライフルとショットガンらしきものが彫られている、形状は西洋のものである扉であった。
「はえー」
・・・すっごい、大きいです
何考えてんだろ俺。
「入るぞ」
そう言われて2人で扉を押すとキーッと某少年探偵の物語のcm明けのような音がなって開き始め、その先には受付嬢がカウンターに一人いるだけである白一色の質素な部屋があった。
「じゃあ受付すんぞ」
と言った賢三は秒速で手続きを済ませてから俺を連れてテレポートした。
テレポートが終わって見えてきたのは待合室。詳しく言えば空港のラウンジの方がニュアンス的には近いかもしれない。
開始が近いのもあって、かなりの人数がそこにはいた。
「なあ、これ全員敵?」
「まあそう言うことになるな、その前に俺は仲良い人に話しかけに行くけどお 前も来るか?
これから配信とかするならコネはあって損はないぞ」
確かに配信業もありだな。せっかくこの体になったんだしそこそこの人は集められるんじゃないか?
「んーじゃあ一緒にいく」
「わかった」
そう言ってついていくと、カールが巻かれた金髪の女性が紹介された。
「でー結構並んでてそれでまだかなって思ってたら急に上から」
「こんばんは、ユノさん」
おい!賢三話遮るなよ!気になる〜
「あ、エレファさん!こんばんは!元気してました?」
「最近は結構元気ですね、っと色々話したいこともあるんですけど今日は紹介 したい人がいまして」
小声で挨拶ちゃんとしろよと言われた。
お前は俺のなんなんだよ、親か?
「あーどうもイアと申します」
と一応会釈しながら言う
「えーと、VRの世界で配信をしています、神崎結衣です!
今も配信してるんだけど大丈夫かな、ってもう遅いよね」
えへへっと天使のように微笑んでいる
「私は大丈夫です、というかまだ日程は決まってないですが自分もする予定なので」
後ろからそんな話俺も知らないぞと聞こえるが知らん。
今決めた。
「え、そうなの!?するって日決めたら私に言ってね!一緒にコラボしようね!」
花が満開になるかのような笑顔であった。
「あ、ありがとうございます」
まだどんな人かわからないけどいい人そうだ。ライブ配信の先輩として何か助けてくれそうだし。
「じゃあ、フレンドになってくれる?」
うおおありがたい!めちゃくちゃ可愛いし。
「良いですよ、じゃあ申請飛ばしますね」
内心は興奮しながらも冷静さを装いながら対応する
「ありがとう!私はまだ挨拶しなきゃだからまたね」
小さく手を振りながらハグされた
「え、えと、これは、、?」
「あ、嫌だった?ごめん」
しょぼん、という効果音が入りそうなほど落ち込んでいた。
「いや、急だったので驚いただけです、嫌じゃないですよ」
「そうなの?良かった!じゃあ今度こそまた」
今回は自分に背を向けて行ってしまった。
「どうだった?」
「距離の詰めかたがちょっと早いなって思ったけど優しそう」
「ならよかった」
少し安堵したかのような顔をしている
『参加者全員集まりましたので、これよりkarintou gaming主催の糖分杯を開催します!賞金を手にするチームはどこなのか!ではスタートです!!』
そう実況担当なのであろう人がアナウンスした瞬間、俺と賢三は待機場からテレポートされた。