第1話 チュートリアル
話は世界大会の十ヶ月前に遡る
12月23日ーーー世の中はクリスマスが間近ということで活気にあふれていた。
カップルはクリスマス当日を待ち焦がれ、子どもたちはプレゼントやパーティーを楽しみに待つという幸せな時間が過ぎている。
未来に希望を持って毎日を過ごす、それに越したことはないだろう。
そんな中高橋慶田は23日、24日、25日とおもちゃ屋のバイトで着ぐるみを着て外で看板を持って客寄せをするという、時給的には儲けものだがなかなか精神的にきそうなことをしようとしていた。
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慶田 side
「あぁなんで3日連続でしかもクリスマスの時期にバイト入れたんだろ
世の他の高校生は家で過ごすかイチャイチャするリア充ぐらいしかいないだろう
に、ああまじでつらい」
あと3時間後にはバイトか、、、
13時から17時までって長いし
だるい
『ピロピロリン』
誰だ?こんな憂鬱な時にメッセージなんか送りやがって
視界の右端にその内容が表示され、それを自分の手の前に移動させる。
けんぞう:お前VRゲーム系やんねえの?
VRゲームか、そういえばやったことないな
基本俺がやるのって今の時代では遅れてるけどpcゲーム系だしなあ
けい:機会があればやろうと思うけど
けんぞう:俺が一式揃えるからやってくれ。頼む
けい:いやそれは悪いわ
けんぞう:いいから買ってやる。
俺がVR機器と一緒にOBCってゲームもデータ入れてるから絶対やれよ
けい:まあいいけどなんでそこまで?
けんぞう:いや、俺普段ソロでできるゲームしかしないんだが、やりたいゲームが2人 以上専用なんだよ。だからお前もゲーム沼に道連れにする
けい:自分勝手だな…
まあただでくれるしやるよ
けんぞう:ナイス!!!
多分今日の夕方には届くから開封したら教えて
けい:うい
あーバイトだる
3時間後
気づいたらバイト行く時間になってバイトが始まってしまった。
「あ、けい3連勤初日?お疲れ様」
「それ、煽り?泣くぞ?普通に」
「まあいいじゃない
私とけいの仲だし」
「いやただの高校の同級生だろ」
「とりあえず私はいくねーがんばー」
「ん」
と高校の同級生で同じバイトの茜と会話を挟みつつ準備を進める。
4時間無になっとこ
「うおおおおお開放感すごい開放感めっちゃ開放感」
休憩はあるといえ4時間程度耐え切った俺にはもう敵がいない!!!!!
WRYYYYYYYとでも叫びたい気分だね
とか思いつつ中学はやることなくて勉強してたらそこそこの高校にはいれたから、親に頼んで無駄に始めた一人暮らし。
3階のマンションの一室を借りている。
あ、そういえば荷物届いてるかな
1階の荷物運搬場にアプリで連絡すれば持ってきてくれたはず。
このcarrierってやつで自分の住んでるマンションと連携して配達物があるかどうか確認できてしかもロボットが部屋まで持ってきてくれるという
まあ不在の時に困るもんな。配達員の方への考慮だね
いつも思うけどすげえよな
あ、あったこれだな
3分後
『ピンポーン』
あ、届いたみたいだな
ガチャと扉を開ける
そこには大型テレビを入れているような大きさの段ボールがあった。
「でかっ」
その段ボールの下にはちょっとしたタイヤのついたトラックのようなものがあった。
これで運ぶのか…
そうしたうちに自動で段ボールが動き始め、リビングの中央で開けられた。
それはある一種のソファーとベットが一体化したようなもので、椅子やソファーのようになることができ、さらに眠る時やVRのときには
ベッドに変形するというトラン○フォーマーのようなものであった。
名前はユズベッドと言うらしい
普段は椅子の形で置いておけることから、スペースがあまり取らないということで定評がある。
「うぉ、すげえ」
感嘆の言葉しかでない
トランスフォームは男のロマンだからねしょうがないね
とりあえず賢三に連絡するか
けい:おいけんぞう届いたぞ
けんぞう:お、届いたか
今からやるか?
けい:先に風呂と飯先に済ませとくわ
けんぞう:わかった先にやっとくぞー
けい:りょーかい
さて飯つくるか
午後6時
飯と風呂をいつもより早く済ませ、今からログインすることになった。
てかこれって何円するんだろ
調べてみよ
え、89万円?え、え?
ま、まああげるって言ってくれたからやるけど流石に申し訳ないな…
まああいつ金持ちだしありがたくもらっておくか
「よし、じゃあ賢三も待ってるだろうしやるか」
「ベッドモード」
ウィーンとユズベッドが動き出す。
ものの15秒程度でベットになり、
事前に登録したIDとパスワードを架空キーボードから打ち、本体である機械から伸びているAEDの、体にはるシートのようなものをおでこと首につけて準備完了となる。
「コネクト」
と口から発した瞬間現実の意識が無くなった。
ナビゲーション「どうもこんにちは!AIナビゲーションのナビ子です!」
という言葉で意識が覚醒した。
目の前に金髪の青い目をした女性がいる。
「今回没入型VRをするのは初めてですか?」
「あ、はい。初めてです」
「そうですか!わかりました
では今からいくつかの機能について紹介しますね!」
「まず、この白い部屋!ここはいろんなゲームやショッピング、カジノなどといった娯楽施設等などの入り口かつ、インターネット検索への接続ができます!」
「娯楽施設へ行きたい時は前のドアからテレポート出来ます!
テレポートした場所はあらゆるものの仲介場所、例えるなら駅ですね!」
「次にゲームへの接続の仕方です!
手元にある画面を見てください
ここにあなたが購入したゲームを選び、そして遊ぶことができます!
購入は現実世界でもこの画面からでもできます!」
「最後にインターネット検索への接続ですね
これは現実世界と同じように視点の右下にある機能一覧という部分から検索エンジン等を選択すれば大丈夫です!」
「これで説明は終わりなのですが…何か質問はありますか?」
「いや、特にないですね」
「わかりました!これからなにか疑問があればこの白い部屋に私がいますのでなんなりとおっしゃってください!」
「ありがとうございます 助かります」
「いえいえ、仕事ですから
っと、そういえば名前を聞くのを忘れていましたね」
「こちらにこの世界で使うニックネームを入力してください」
ええとどうしようかな
俺実は女っぽい顔立ちしてるから、現実と仮想現実の間に違和感が生まれるって理由で現実の性別と変換できないって法律で決められてるから逆張り精神で男のままネカマするのもありだな
「じゃあ『イア』でお願いします」
「かしこまりました!
『イア』で登録させていただきますね!」
「ではこれで説明は終了です!
では仮想現実をお楽しみください!」
「んー終わった」
「じゃあ起動するか
確かOBCってゲームだったよな、、、あるな
よし、やるか」
「One bullet of combat areaを起動しますか?
はい いいえ」
はいを押すと同時に自分が見ていた景色が変わった。
またもや白い部屋に通された。
目の前にあるのは鏡だけであり、自分の姿が見える。
その横には体の部位が書かれており、調節できるらしい。
なにやらキャラクターメイキングのようだ。
名前をネカマにしたんだからこうなったら見た目まで女子っぽくしてやる
まずは髪を腰より若干上ぐらいまで伸ばし、色は銀に。
目の色は黒から水色に。
身長は164cmから155cmまで下げる。というか元々の身長より±10cmまでしか下げれないらしい。
胸は…まあいいか
おお結構自分にしてはいい
『これで決定しますか?
はい いいえ』
またはいを押すと、次は初期の銃の選択だった。
『お好みの銃を選んでください』
すると画面が現れ、銃がホログラムによって映し出された。
定番はやはりアサルトライフルやサブマシンガンだろうが、
ここでも無駄に逆張り精神が出てきてしまった。
人が使わないものを選んだ方がかっこいいんじゃね?
ということでこのリアルに演算しているこのゲームでは不遇であるスナイパーライフルを選ぶことにした。
んーとスナイパーはスナイパーでも3種類があるのか
『J69』
種類 ボルトアクションスナイパーライフル
説明
日本製のスナイパーライフルであり、一発の威力が非常に高いスナイパーライフルの中でも最高クラスの威力を持っている。
さらに射程距離、精度も高く、3000m以上離れた敵でも狙撃することができる。
だが重量が重く、走る際に移動速度の低下が懸念され、
発砲音も大きく、広範囲でその銃声が聞こえる。
ダメージ
胴体 145 頭 250 四肢 80
『S-809』
種類 半オートマチックスナイパーライフル
説明
アメリカ製のスナイパーライフルであり、ボルトアクション式とは違い、装填が自動となっており、2射目が素早く撃つことができる。
だが射程距離が短く、威力、精度も劣る。
ダメージ
胴体 80 頭 130 四肢 60
『H8931』
種類 ボルトアクションスナイパーライフル
説明
ドイツ製であり、J69とS-809の間のような存在である。
J69よりも二発目は早いが、S-809よりかは遅い。
S-809よりかは威力が高いが、J69よりは低い。
ダメージ
胴体 95 頭 160 四肢 70
悩むなあ
まあなんでもいいか
あとから変えるだろうしな
一撃必殺ってちょっと憧れるしJ69にしておこう
あとはサブ武器だな
ピストルあたりがいいだろう
『P0000』
種類 ピストル
説明
威力が高いが、連射はあまり向いていない。
ダメージ
胴体 55 頭 85 四肢 30
この2つでいいかな
これで決定と
『銃の選択を終了しますか?』
「はい」
その瞬間、俺の体は光に包まれ、テレポートした
「では、チュートリアルを開始します」
と頭の中で響くような、直接話しかけられるような感じがした。
「まず体力の説明から。
初期の体力は100で、体力が回復できる包帯というアイテムを4つ持っています。
包帯は回復のなかでも最下級で、HPを一回8秒で25回復します。
また、マップ上には回復アイテムが落ちており、包帯、応急処置キット、救急 キット、治療キットの順で回復量が異なります。
応急処置キットは8秒で50、救急キットは4秒で60、治療キットは6秒で100回復することができます」
「次に、シールドの説明を。
シールドは体力とは違い、新たに100ダメージまで耐えることができます。
こちらの回復アイテムは開始時点ではなく、
落ちているものを拾う、もしくは
マップの各地にあるシールド工場での生産が主になります。
落ちているシールドのアイテムは全部で3つ。
一つ目は化学の薬。これは3秒で25回復できます。
二つ目は魔法の薬。これは5秒で50回復できます。
三つ目は秘密の薬。これは6秒で100回復できます。
この三つが落ちているものになります。」
「そして、シールド工場。
これは、プレイヤーがその敷地内にある機械のレバーを10秒間下に下げ続けることで、化学の薬、魔法の薬、秘密の薬の3つがランダムで生成されます。
ですが、確率は化学の薬、魔法の薬、秘密の薬の順で小さくなっています。」
「そして、自身の強化、銃の強化についてです。
キルや優勝をすると、その活躍によってゲーム内通貨レリがもらえます。
それによって自らの素早さや筋力をあげることができます。
しかし、あげればあげるほど必要となるコストが増加します。」
「銃はグリップやスコープなど、必要に応じてお金でショップから買うことができます。また、そういった部品が落ちている可能性が限りなく低いですがあります。
そういったものはオークションに出品することができますので、そちらにも足を運んでもいいのではないでしょうか。」
「あとは銃の撃ち方の説明………」
このあと15分ぐらい射撃の仕方、煽りの禁止等言われた。
「ではだいたいこのゲームに必要な知識はこれぐらいで十分なので何かわからないことがありましたら、視界の左下にベルのマークがありますのでこちらでお呼びください」
「ではチュートリアルはこれにて終了です
お疲れ様でした」
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19時 噴水前広場
ふいい長かった
なんか噴水がある場所に飛ばされたけどどこ?
賢三にきくか、、、あ
そういえばあいつどこにいるんだ?
けん:なあ今どこいるんだ?俺チュートリアル終わってなんか街みたいなとこいるん だが
けんぞう:今バトル終わったからそっち向かうわ
けん:あーおけアカウント名なに?
けんぞう:エレファ
けん:おけ俺はイアって名前
けんぞう:おけじゃあ向かう
じゃあ待つか
とのんびりと噴水が見えるベンチに座りつつ、足をバタバタしていると、
なんかエレファって名前見えるけどあれか?
賢三に似てるしそうっぽいな
話しかけるか
「おい、エレファ」
止まらん。なんかキョロキョロしてるけど誰n話しかけられたかわかってねえな
「おい、エレファ、俺だよイアだ」
と言うとようやく後ろを向いた
「お、イアって、え?お前え?なんか女子になってんじゃん」
「いやあ、なんとなくネカマしよっかなとおもって…」
「まあ顔はおんなじだもんな目の色違うけど」
「まあね」
「それはそうと銃何にしたの?」
「J69」
「おお、なんともマイナーなところいくね
珍しい。当たる?」
「まあ練習場で練習した時は割と当たったかな
でも結構むずい」
「まあそうだよな俺スナイパーむずくてやめて今アサルトライフル使ってるからな」
「まあとりあえずマッチいく?っていうかお前さっきやってたって言ってたけどやる相手いるじゃねーか」
「このゲームは1人だったら勝手に他の人とペア組まされるからね
連携が取りずらい」
「なるほどね」
「まあできないことはないって感じかな」
「まあお前強いもんなゲーム」
「まあそこまでだけどね」
「てかどうやってマッチはいんの?」
「あそこに白と黒の城があるだろ?
あそこに入ったらマッチングするためのゲートがあるからそれを通ればできる」
「おけ」
「じゃあ早速いくか」
「おう」