引いてしまうほどに変態に見えた友人
「安芸くんはさーぁ……友恵って異性だけのキスで、満足してる?もしさ、もしだよ……そのぅー満足してないってんなら、シても良いよ。私にさ」
艶っぽい声で誘う八鷺は瞳を潤ませていた。
「しっ……してるって!してるよしてるからっ!そういう誘いはやめて、よ……八鷺」
「ふぅー……ほんと、頑固だねー。私のじゃ……感じない?ヤりたいってならない……私のキスじゃ?そんな下手じゃないと思うけどな〜キスー」
天井を仰ぎながら深い吐息を吐き出し、呆れたようなトーンで呟く彼女。諦めきれないようで話題を変えようとせずに、粘っている。
「八鷺こそ……じゃない?そのーぅ……欲求不満って——」
「だね〜!誰でも良いってわけじゃないから、シたいのは。安芸くんのあんな顔やこんな顔なんて妄想したらぁ〜そりゃ〜もうッッヤりたいってなるわさぁ〜〜!」
明らかにいかがわしい妄想を浮かべている高揚感と紅潮し緩みきった頬が彼女に変態さを纏わせていた。
「なんだー、あはは……襲わないよね?八鷺は襲わないよね?」
苦笑を浮かべ、確認せずにはいられない僕だった。
「なわけないじゃ〜んっ!キス以上したことあったっけ〜私がさぁ〜?」
酔い潰れた大人が話すようなフワフワとした声に、懸念が増す。
彼女に抱擁された状況での言葉ではないことに安堵した。
確かにキスはされているが、それ以上の行為は彼女からされていない。
彼女に濃厚なキスをされたのは、あの瞬間だけだ。
……今のところは。
近々、文化祭の話を……




