このまま終われば良い
僕が居る室内には、歓声があちらこちらから上がっており、休もうにも休めない。体育館は夏の熱気がこもっていて、息苦しい。
夏休み直前に行われる行事——クラスマッチが現在、行われている最中である。
芹沢や七露らといった付き合いのある後輩とは、会話を交わしていない。
僕が、彼女らの所へ出向くことはない。出向いたところで、ぎこちない会話で終わるだけだ。
二階の応援席で、階下で行われているクラスメイトらが先輩の一クラスのチームに苦戦している様子を見下ろしていた僕。
周囲からは、「頑張れーッ!」や「ネバって点、とれぇー!」といった声援が上がる。
つくづく詰まんねぇ、と席を立ち上がった僕は階段へと歩き出した。
階段を下りていると、上がってきた七露と視線がぶつかり、二人して顔を逸らし、立ち止まる。
「……」
「……」
「ども、先輩……つ、詰まらなさそうですね」
「おうぅ……七露こそ、そう見えるが……」
彼女の顔色は優れなく、虚ろな瞳が左右に泳いでいる。
「……では」
彼女は突っ掛かることなく、右脚を上げて一段上にかける。
「ああ……ななつっ——」
振り返り、呼び止めようとしたが彼女は立ち止まらず姿を消した。
自動販売機でペットボトルのポカリを購入し、下駄箱の側面に凭れ掛かりながら、喉を潤した。
付き合いのある後輩の女子らには距離を置かれている。僕も彼女らとは、距離を置いている。




