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天使の幼馴染
「おかえりなさい。安芸くん、今日はぶりの照り焼きだよ。上手く出来たんだ」
玄関扉を開けるとエプロンを掛けた幼馴染が待ち構えて、鈴の音色のような声で出迎えてくれた。
「ただいま。友恵、いつもありがとう。満足な出来なんだ」
「うんっ!はやくはやくぅっ、安芸くん」
満面の笑みを浮かべ、リビングに駆けていく彼女。
僕は、彼女の後ろ姿を追いかけ、リビングに足を踏み入れ、ソファに腰かける。
見慣れた彼女の笑顔だけど、いつにも増して笑顔が可愛い。
キッチンで夕飯を皿に盛り付けている。
僕は、リモコンを手に取り、テレビの電源をいれ、録り溜めていた録画の番組を再生した。
彼女は、幼馴染の白久友恵。クラスは違うが幼い頃からの付き合いでとても良好だ。
彼女は、まるで天使のような包容力がある女子だ。
ダイニングテーブルに夕飯がならび、ダイニングチェアに腰掛け、合掌した二人は食べ始めた。