生き生きとからかってくる友人
「なんだかんだモテてるよな、おまえって」
「何だよ、急に......どういう意味だよ、モテてるって」
隣に並んで、唐突に意味深な切り出しをした湊川に訊ねた僕。
「いやいやぁ~とぼけんのは無しだぜぇ!後輩の女子が二度も振られた、なんて話題が出てんだよ。その後輩ちゃんにご執心な連中が振った相手を締め上げよう、って息巻いてるらしいってのを聞き付けたんだよ」
「へぇー。そうなんだ......それがどうしたんだよ、湊川」
にやけ面の彼に平静を装った反応を返す僕。
「ははぁ~んぅっ!あくまでもとぼけるつもりってかいっ。モテるってぇのは辛いねぇ~あやかりたいもんだぜ。まあ、とぼけても連中にはお見通しだろうよ、せいぜい頑張んなっ!」
わざと声を張り上げ、注目されるように吐き捨てた後、皮肉めいたことを言いながら忠告をしてきた。
「はぁー。どこ情報だよ、それ」
「それって?」
首を傾げながらとぼけたように大袈裟にみせてきた。
「......だから、振ったって話だよ」
「認める、ってことかな?安芸くぅーんはぁっっ!」
「そうだよ。認めたんだから、さっさと言えよ!おまえこそ」
仕方なく折れて、認めることにした。
「往生際悪く、とぼけるからこうなったんだよ。わかる?......と、まあ、からかうのはこの辺にして。秘密、そうペラペラと明かすと面白くないじゃ~ん!ある筋......にとどめておくよ」
こういうときは生き生きしてんだよな、こいつって。
「忠告だけかよ?」
「泣かせるまでいくとなぁ......一発、くらい我慢しろって」
「おまえ......締め上げられるんだろ、話じゃあ」
「わかったわかった。仕方ねぇ、一発は我慢してもらうけどそれでも良いか?」
「まあ、それだけで済むなら......」
そんな会話を済ませ、湊川は姿を消してしまった。
廊下に取り残された僕は再び歩きだした。
相当、面倒臭い案件だな。彼女との問題は。
早く帰宅して、白久に癒されよう。