照れて言い返せない幼馴染にたじたじ
17時前にはショッピングモールで湊川と解散し、白久と帰宅を急いだ。
帰宅した僕と白久を出迎える人は誰一人いない。
「「ただいまぁ」」
二人でハモって、リビングに足を踏み入れると同時に深く息を吐き出した。
「深いため息なんて吐いて、楽しくなかった?安芸くん」
「楽しい、楽しくないっていう問題じゃなくて......疲れたんだよ、随分と」
「ぶぅ~っ!私のせいみたいに言ってぇ~安芸くんらしくないっ!」
不満そうに頬を膨らませ口を尖らせながらプイッと顔を逸らす彼女。
「ごめんって......謝るから機嫌をなおして、友恵ぇ~」
これ以上面倒は御免なので、即座に謝ることにした。
「あ、安芸くんが謝るならぁ~許してあげないこともな~いぃかもぉー?」
と、チラチラと視線を動かしながら表情を窺う彼女。
「わかったよ......っっ、どう?これで」
気恥ずかしながらも、彼女の背中に手を伸ばして、ぐいっと身体を引き寄せ彼女の唇に口づけをして、離れた僕。
「っっぁああうぅ!?な、なななっなにすんの?あ、安芸くんぅ......」
「まだ不満なの?欲しがりじゃん、友恵」
徐々に両頬が紅く染まっていき、まともに見れなくなっている白久に悪戯を試みた僕だったが、言い返せないでいる彼女の姿に慣れないことはするものじゃないと実感してしまった。
「......ぅぅぅ、いっイジワル......だよ、安芸ぃぃ、くぅんぅ......」
か細い声で抵抗と言えない抵抗をした彼女は、両の掌で顔を覆い隠して、その場に座り込んでしまった。
「ごっ、ごめん......泣かせるつもりじゃ......なかったんだよぅっ!ご、ごめん。友恵っ、ごめんって......」