視線を集める三人組
映画を観終えて映画館を後にした三人は、フードコートで昼食を摂ろうということになり、フードコートに向かっていた。
「あんな情熱的なキスをしてほしいなぁ、安芸くんにぃ~!してくれる?安芸くん」
恋人繋ぎをしてきた白久がそんな要望を口にしながら、顔を近付けてキスを要求する体勢になる。
「キスなら今朝もしてきたじゃんかぁ!あんなあつ~いキスなんて無理だってぇ!」
彼女の顔が近付くと同時に背中を反らし、回避しようとするがめげずにキスを迫ってくるのをにまにまと頬をゆるませた彼が止めることなく、傍観していた。
「ニヤけてないで、止めろってぇ~湊川ぁぁっ!」
「えぇー、分かったよ──」
湊川が間に入り、なんとか彼女にキスをされずにすんだ。
気を取り直し、フードコートまで急いでいる最中に余計なことを訊ねてきた湊川。
「今朝もって言ったよな?さっきぃ~。さぞかし甘ぁ~いキッスを堪能したんだろ!羨ましいよぅー、天使の彼女と甘い口づけを交わすだなんてっ!」
「想像してるようなもんじゃねぇーって!こっちは終始冷や冷やしてんだからぁ!」
「こんな冴えないお前に天使がご執心なんてぇ~のは、光栄なことなんだってぇ~ことは分かるだろ!それを邪険にするようなことは全人類の男子を代表して許さないぞ!」
「光栄なこと、なんてぇ~褒められても何も出ないよぅ~湊川くん」
「ああぁぁ~もうぅっっ!」
と、僕の叫び声が店内に響いた。