勇者様は装備が欲しい
「宴は楽しめたか?」
「はい!楽しかったです!」
本当に楽しかった。料理はとても美味しいし、城の人達がとても優しい。
翌日、セレンは玉座の間にいた。
「世界を救う旅に出るそなたに渡したいものがある。」
王様は小さな箱を開け、中身を取り出す。
「ファントムダガーだ。王都で1番の鍛冶師に作らせた逸品だ。持っていくがいい。」
漆黒の刀身が美しいナイフだ。誰が見ても最高級品だということが分かる。
「こ、こんな高級なものは頂けません!」
さすがにこんな高級なものをタダで貰うわけにはいかない。
「良いんだ、貰ってくれ。世界がどうなるかはそなたにかかっているのだから、私も力になりたいんだ。」
「本当にありがとうございます!」
セレンはナイフを受け取る。
「それでは、達者でな。」
「はい!」
王都に戻ったセレンは、防具屋に来ていた。
「あくまでも盗賊だから、動き易い服が欲しいな。」
店内を見て回っていると、ある1つの防具に釘付け
になる。
「ライトアーマーか。」
黒いライトアーマーだ。試着してみると、その軽さが分かる。これなら素早く動ける。
「値段は……?」
20000リン。14000リン足りない。
「ふっふっふ。」
セレンは防具屋を出る。
「隠密っ!!」
近くの民家に侵入し、タンスに向かう。
「泥☆棒☆開☆始☆だ!」
30000リンを手に入れた。さすが王都の住人。金持ちだ。
「なんだこれ。指輪か?」
力の指輪だ。装備すると、攻撃力が10上がる。
「やったー!」
早速装備した。
「次はつぼだな。」
ちなみに、住人はいない。なので、つぼを割りまくっても見つからない。つぼの中には、合計で10000リン入っていた。
「こんなもんだな。」
セレンは家を出る。
「やったぜ。」
セレンは勇者として正式に認められた。なので、他人の家のものを盗めるのだ!!!
改めて、セレンは防具屋に来ていた。
「これください!」
ライトアーマーを購入。(他人の金で)
「ありがとうございましたー!」
防具屋を出ると、1人の女性が話しかけてきた。
「勇者様ですよね?」
「はい。勇者(盗賊(泥棒))のセレンです。」
「突然ですが、私を仲間に入れてください!」