暗い洞窟にて
目が覚めるとそこには父親と母親の柔らかい笑顔と手
の代わりに俺の顔面には固い岩がお出迎えしてくれた。
「え?」
その瞬間俺の顔面はジャイ●ンに殴られたの●太並にへこんだ
「んぎゃァァっァァァァ!!!!!」
バカ痛い。
しかも俺の体は空中約3m付近にいたらしくその
まま落下する。
―ドチャッ!―
「ぅゥ…うっ……」
あれ?あれれ?おっかしいなぁ…俺は勇者としてこの異世界に転生したはずだけど…
周りを見渡しても優しそうな両親の姿はなくふかふかのベッドにいる訳でもなく代わりにあるのは固い岩。鍾乳石ってやつか。それとジメジメして濡れた地面。暗い空間。
つまり洞窟だね。
「俺は…一体…?」
地面に水溜まりができておりそこで自分の姿を確認する。
そこに居たのは可愛らしい赤ちゃんではなく17年間見続けた可愛らしさの欠けらも無い生前と全く同じ姿の俺だった。
「あれっ?…俺は勇者として転生したはずでは?」
そして思い出す。あの死後の世界から目覚める前に声の主である神様が言った言葉を
「いしがみきょうやいしがみきょうや…兄貴の名前……」
そして俺は理解した。
考えうる最悪の現実を
「神様兄貴と俺間違ってね…?」
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俺の双子の兄である石野上響也石野上響也は天才だった。
成績優秀スポーツ万能イケメンというハイスペック。
しかも優しい。
彼には特別な力があると言われても驚かないだろう。
一方俺は凡人の中の凡人。
兄貴と顔が一緒という点を除けばどこにでもいるただの高校生だった。
兄貴はいつも言っていた。
「俺にはなにか特別な力があるってふと思うんだ。そしていつの日かその力を人のために使う時が来るはず」
と。
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「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!確定だァァァ!!!!!」
神様完全に俺と兄貴間違ってるよ!
だとしても俺は勇者として生まれるはずだ。なんでこんなとこでこんな姿で!!?
とりあえずどうにかして神様に伝えなければ!!
「おぉぉぉぉぉぉいいい!!!神様ァァァ!!!助けてくださぁい!!!神様ァァァ!!!!」
洞窟の天井に向かって叫ぶ!!
すると頭の中に声が響いた。
「あっもしもし失礼しますぅーー。こちら転生勇者生活相談センターのハヤセと申しますぅ。どうかされましたでしょうか?」
頭の中におばちゃんのような声が響いた。
なんだこれ…
「あ、あの…転生したんですけどなんか他の人と間違ってるっぽいんですよね…そもそも転生すらしてないし…」
「あっ…はぁい…担当のものに変わりますので少々お待ち下さい。」
――ツーツー――
保留音にされた。電話かよ…
「うっっ!!!?」
頭に急な頭痛が走る
その瞬間唐突に俺は自分の死因を思い出したのであった。
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