表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/104

「それでは、本日のメインイベント。新入生による対戦です。」

 アナウンスを聞くと、凄いドキドキしてきた。


「時代の寵児なのか? 我が校の新入生!」

 残っていた一人が立ち上がり、黒いローブをスルリと落とす。

 そこには、先程と同じく大きなウサギのヌイグルミを抱いた姿…。普通だ…。


 それを見た部長さんが『ガラッ』と椅子を後ろに跳ねながら立ち上がり、

「ま、まさか…あの娘は…。」

 驚いた様子…。

「何ですか、あの娘?」

 美星先輩が聞く。私も気になる。

「先程の行動…。衣装は抱いた大きなヌイグルミだけ…。考えられるのは…。」

 部長さんが確信している。

「あの娘は『不思議ちゃん』!」

 私と美星先輩は、ちょっとだけ『カクッ』ってなった。

「『不思議ちゃん』って、あのよくある設定の奴ですよね?」

「そうです。考えておくべきでした…。『ツンデレ』が現れたなら、当然現れるはずですから…。あいつ、隠していたんだ。」

 『キッ』とエロ部長さんを睨んだ部長さん。

「はぁ…。」

 ため息混じりの返事で返す美星先輩。

「今日の日向さんの『女子高校生勇者』の設定では、勝てない…。」

 『ドスン』と椅子に腰を下ろす部長さん。

 設定に勝ち負けってあるんだと、始めて知ったよ。


 エロ部長さんを見ると勝ち誇った顔してた。やっぱり、同じ種族だ。


「(もごもご。)」

 何か言ったみたいだけど、前と同じで聞こえない。


「えっと、この解説文によりますと『兎野幸うの さち。一年生です。』だそうです。」

 大型モニターに合成されたのは、いっぱいの白ウサギだった。


「対するは。」


 私は立ち上がりローブを落とした。

「日向葵。一年生です。」


 「やっぱり、転生者と言えば勇者よね。」

 「ストレート勝負か…。解りやすいは、強味になるよね。」

 「勇者VS不思議ちゃんか…。設定では、不思議ちゃんの勝ちかな?」

 「なんで、不思議ちゃんなの?」

 「ほら、不思議ちゃんは衣装じゃ雰囲気出ないでしょ。」

 「確かに、より難しい設定を選ぶ事でポイントに差をつけたって事ね。」

 女子生徒の会話が聞こえていた。


 でも、誰がポイント計算してるんだろう…。


 気になっていたので、ちらっと大型モニターに目をやる。

 合成されていたのは、昔のRPGゲーム風のマップ。確か、ドット絵って言うんだよね。


 「凄い。このCG時代にわざわざドット絵なんて…。」

 「考えた人、分かってますね。」

 驚きの高評価!


 私は見た…。美星先輩の鼻が三センチ程伸びているのを。


「部長さん。」

「何かしら?」

と、振り向いた。

「これ、外しても良いですよね…。」

 迷わず、

「どうぞ。」

 勇者の装備を外し、椅子の上に置いた。だってコックピット入ったら動き難いのは確実だもん。


 身軽になり、コックピットに近付く。と、『不思議ちゃん』はヌイグルミを抱えたままコックピットへ入っだ。

 えっ、あれ邪魔にならないの!? 気になるけど、私が気にしてもだし…。忘れよう。


 さてさて、このコックピットはどんな感じかな?

 椅子…シートの方がかっこいいな。座ると、左横に点滅しているスイッチがある。

「これだよね。」

 押すと『ガァー』って、後ろからカバーが閉まり、真っ暗になる。


 今度は右横に点滅するスイッチ。

「ポチッと」

 押すと、コックピット内に光が灯るんだけど、パネルに並んでいるスイッチ類は、一つずつ順番に光っていく。

「このコックピット作った人解ってる…。」

 ちょっと『ブルッ』てなったよ。


 次第にコックピット内の光量が増え明るくなっる。

「やばっ。このコックピットかっこいい。」

 思わず声が漏れ、見惚れてた。


「あっ、シート。シート。」

 シートの横に手を入れる。左側にそれはあった。

「ゲームセンターのと同じか。」

 十字キーでシートを合わせる。

 読み取り機にタブレットを乗せ、セットアップ完了。


 右の赤トリガーを引き、機体選択へ移行する。

「この前、部長さんと戦った装備が一番良いはず。」


 あっ、ちなみにサスペンションのセッティングは、決まらなかったから初期にした。

 確かに硬い方が良いんだけど、私の操縦がまだ雑だから…。他の人に言わせると『無駄な力』が入っているとかで、妙なところで跳ねる感じになるのよ。

 なので、今回は初期設定にした。



 機体と武装を決定すると、次はマップ選択になった。

 いつも通りに、表示されているマップが切り替わる。で、決定されたのが


 【廃墟】


 崩れかけのビルとか、壁だけとか、瓦礫がれきとかいっぱい障害物があるマップ。

 今回は読み落とさなかったよ。このマップってレーダー効かないって書いてあった。桃河さんと戦った経験が役に立った。


 決定されたマップを見て、

「これは、まずいわね。」

 エロ部長さんは、インカムのスイッチを入れた。


「えっとですね。」

 アナウンスが入る。

「マップについてですが、うちの部長から物言いが付きました。」

 私の目の前のモニターに映るエロ部長さん。当然、大型モニターにも映る。

「このマップだと、うちのさちが有利過ぎるので、もう一回マップ選択を要求します。」


「あの、どうしますか?」

 進行の女子生徒。今度は、うちの部長さんに切り替わり、

「そう言ってますが、どうしますか日向さん。」

 その口元は、私の答えを知っているかの様に笑っている。

「なるほど…。相手が有利過ぎるマップですか。」

「みたいですよ。」

「では、このままで。」

「了解です。」


 部長は、

「と、言うことです。」

 そうを聞いたエロ部長さんは、

「なるほど。不利を楽しむ…。流石、転生者だね。」

 同じく口元が笑う。後で聞いた話しだと、相当エロかったらしい。流石、エロ部長さん。


「このまま、始めてください。」

 部長が進行役に告げた。

「分かりました。では、このまま進めます。」


 マップ選択で止まっていたモニターが、開始のカウントダウンを始めると、対戦相手の機体が表示された。


 シキクラエレクトロニクス社の【楽美兎らびっと】シリーズ。名前の通りに、頭は丸っこくて長い耳が垂れてる。 

 全体をみると、機体全部が丸いデザインだった。ちょっと可愛いぞ。

 『戦闘用機械に、可愛さを求めるのは間違っているだろうか?』と言うフレーズが浮かんだ。自分で『どこの、ラノベのタイトルだ!』と、突っ込んでおいたから許して。

 可愛い割に、サイズは少し大柄おおがらな感じ。まるで、兎の戦車みたいだ。

 シールドは無しで、両手で持っているのはガトリング砲。しかも、二連装の奴。

 両肩口に見えるのはミサイルみたいだけど、向きが上だ。確か、遠距離用だったはずだけど…。後は、大っきい斧が腰に見える。後、何があるかはお楽しみだ。


「あの機体って…。」

と、部長。

「【楽美兎らびっと】の事ですか?」

 答える美星。

「そうです。あの【楽美兎らびっと】ですが、頭に長い耳ありました?」

「私の記憶では無かったと思いますが、アクセサリーじゃないですか?」

「ん? なんだ?」

 タブレットと格闘していた八束が手を止め会話に割り込む。

「あの長い耳ですよ。アクセサリーですかね?」

 美星が答えると、

「あれは、アクセサリーじゃないぞ。」

「では、なんですか?」

 部長が八束の方を向き聞く。

「あれは…。」


 その時『わぁぁぁぁぁ!』という歓声で体育館が満たされ、八束の声を遮っる。と言う、何ともお約束な事が起きたのは当然だよね。


 [ベタの神様]再登場。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ