見栄
帰って来ると、用意された机に準備を終え何か打ち合わせをしている部長さんと美星先輩。八束先輩は、タブレットと格闘しているみたい。
部長さんが気が付き、
「お帰りなさい。準備はできてみたいね。」
と、迎えてくれ、続けて美星先輩が、
「そこの椅子に座っててください。」
人数分用意されたパイプ椅子を指差した。
言われた椅子に掛けると、対戦相手チームと向かい合わせになっていた。
やっぱり目立つエロ部長さんの後に、私達と同じ様に黒いローブ着た人達が座っていた。たぶん、今日戦う人達だ。言わなくても判るよね。
エロ部長さんが、右手を耳に当て何か言ってる。聞こえないけど、口が動いてるのは見えるから。
「こちらも準備できました。始めましょう。」
部長さんも右手を耳に当てて話した。それを見て耳にインカム付けてるの解った。
また、エロ部長さんが同じ様にして、何か行ったみたい。
「ピィーーーーーーッ!」
体育館のスピーカーが鳴いた。
「失礼しました。」
今のは、お約束の音だった。
「お集まりの皆さん、おまたせしました。準備が整いましたので、これより始めたいと思います。」
観客の女子生徒達が一斉に『パチパチ』と拍手した。
「本日、進行を務めさせていただきます、出風美佐です。」
進行までいるなんて、凄いな。
「では、早速上級生による《スリー・オン・スリー》を開始します。」
吊るされている大型モニターに〈練習試合開始〉の文字が映し出される。
「先ずは、うち…西音寺高校から。」
「おう!」
一人が椅子から立ち上がり黒いローブを宙に舞わせる。
無意識に舞うローブを目が追っていた。
「日向さん。」
横に座っていた副部長さんが小声で。はっとして、
「な、何でしょう?」
「よく見て、あんな感じてやってね。」
「あ、あれやるんですか!」
「あんな感じのオリジナルね。」
まさかの展開だ…。ど、どうしよう。
「鷲雄赤音!」
ローブの下から出て来たのは、赤い上下のジャージで、首に白いマフラー。髪はウェーブかかったちょい短めの女子生徒。
「二年生!」
と、ポーズを決めた。
た、確かこんな時は名前に入っている動物がポーズのバックに現れるはず…。
!?
気が付いた…。大型モニターに先程の女子生徒のポーズを決めた姿が映っていて、その後に鷲が合成されている!!!
心の目で見なくても、モニターに映ってたぁぁぁぁぁ!
モニターを見上げていた視界の下の方に、何やら黒いものが動いていた。目線を下げると、驚いた。もう、驚いてばかりだから、ちょっとやそっとではと思っていたが、私が見たのは[黒子]。どこから見ても黒子が、落ちたローブを回収していた。
次が立ち上がり、同じくローブを舞わせる。
「鮫島青波!」
今度は、青色の上下のジャージ。首に白いマフラーは共通。肩までのストレートヘアーで、細目の黒ぶちメガネ…。
「二年生!」
モニターには、同じく鮫が合成されている。
そして、三人目。
「豹藤黃亜!」
もう、解るよね。今度は黄色のジャージだって…。マフラーは共通で、髪は二本のお下げ。
「二年生!」
当然、決めポーズが映るモニターには豹が合成されてる。
この展開は…。ま、まさか…三人揃っての決めポーズ!? 何故か、ドキドキしてきた。
「対するはぁぁぁぁぁ!」
と、アナウンス。『ズルッ』私の心が、コケた。見事にすかされた。
「副部長。火鳥奈義。」
ズルリとローブを落とした。
……。
あーーーー!!!!
今、気が付いた!
副部長さんて、『火鳥奈義』って名前だったのかぁぁぁぁぁ! そういえば、ずっと『副部長さん』って呼んでし、他の人もそう呼んでた。今日は、驚きの玉手箱だな…。
モニターに映る副部長さんをハートマークが彩っていた。
「部長。ハートマークってベタじゃないですか?」
美星先輩が部長さんに話しかける声が聞こえていた。
「大丈夫、副部長の身長と体型なら、変化球よりも直球勝負です。」
「なるほど…。」
次に立ち上がったのは、
「二年生。小南鷹子。」
と、ローブをするりと落とした。
小南先輩の名前も初めて知ったのは言うまでもない…。それどころか、名前知らない人ばかりだと解った。
ちなみに、小南先輩の合成はバスケット関係だった。
「二年生。百地丹璃。」
いつの間にか立ち上がっていた。そして、静かにローブを落とす。
驚かないぞ! もう、今日は…。
合成されたのは、和風で障子だった。
ふと、これって人数増えても全員やるのかな?だとすると、めっちゃくちゃ時間かかるんじゃあ…。
あっ、でも画面分割で同時にやれば…。




