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着替

「用意しますね。」

 美星先輩が用意されている場所に向かった。


 鞄って…、大きいバックって言い方の方がいいか。どっちでも同じ? 

 マイクとか出してセットを始める。


「更衣室はこちらです。」

 校門から案内してくれた女子生徒。


 えっ、更衣室って着替えるの? と、思っていたら副部長さん、小南先輩、百地先輩が付いて行った…。


 残された私は、何かしようと、

「何か、手伝う事ありますか?」

「こっちは大丈夫ですから、向こうをお願い。」

と、部長さん。

「はい。」

と、追いかけた。


「待ってください〜。」

 小走りで追い付いき、一団に加わった。


 直ぐに更衣室に着いた。近かったんだ。


 更衣室にて…。

「持って来た奴、今日は使えないかも…。」

と、副部長さん。

「何、持って来たの?」

 小南先輩が聞いてくれた。なんの事か解らなくて気になったんだもん。

 鞄を開けて、

「これこれ。」

 取り出したのは…。

「ウサ耳カチューシャじゃない。」

 小南先輩が言ったように、確かに白いウサ耳のカチューシャだ。

「まさか、相手のチームにウサギのヌイグルミを持っている子が居るとは…。被ったぁ…。」

 悔しそうに言う。

「私達と対戦しないから、大丈夫では?」

と、百地先輩。

「そっかなぁ…。インパクト薄い気がするんだぁ…。」

 手にしたウサ耳カチューシャを『ぷらぷら』ともて遊ぶ。

「副部長がウサ耳付けたら、きっと生きたヌイグルミみたいで可愛いですよ。」

 小南先輩が持ち上げる。


「では、こうしましょう。それを貸してください。」

 百地先輩が手を差し出す。

「はい。」

 差し出された手の上に、ウサ耳カチューシャを乗せた。

「ちょっと、いじります。良いですか?」

「良いけど、どうするの?」

「こうします。」

 右側の耳を『ぐにゃり』と曲げた。

「こうして、わざとバランスを崩せば…。」

 ウサ耳カチューシャを副部長さんの頭に装着した。

「なるほど。」

 副部長さんは壁にかかっている鏡の前へ行く。そして、

「これは、ありね。わざとバランスを崩す事により生まれるあざとさが絶妙です。」

 顔を上下左右に振りながら、しばらく自分を見つめていた。と、

「よし。」

と、鞄のところへ戻り、中から他のパーツ(?)を取り出した。


 靴に白いふさふさの丸っこいウサ足を被せ、羽織る様な胸当ても白いふさふさ。両手にも同じく白いふさふさのウサ足手袋を履き、最後のパーツウサ尻尾を装着した。

「完成っと。」

 また、鏡のところへ行き。今度はポーズを付けながら色々な角度から見始めた。


「ねえ、小南のは何?」

 百地先輩が質問した。

「私のは、いつもの奴だよぅ。」

「なるほど、いつものですか。」

 いつものって何だろうと考えた。


「じゃ~ん!」

 目を離した一瞬で、着替え終わってる。そう、だから誰も見てない!

 当然、読んでる人もね。

「やっぱり、それは似合いますね。」

 百地先輩が褒めた。

「照れるなあ。」

 頭を右手で『ポリポリ』と掻く小南先輩は、バスケットのユニホームぽいデザイン。それは、[長身]と[ユニホーム]のベストマッチだった。


「で、百々っちは?」

 聞かれ持っていた鞄を開けて黒い物を取り出した。

「何それ?」

「これはですね。」

 右の靴とソックスを脱ぎ、その脚を差し込む。履き終わると左の脚も同じ様にした。

「おっ、網タイツじゃん。」

確かに、黒い網タイツ。

「ふふふ。これは網タイツじゃありません。」

「違うの?」

 私も小南先輩と同じく『えっ』って顔になった。

「これはですね。防刃防弾繊維で編まれた現代の[楔帷子くさびかたびら]です。」

「楔帷子って、あの時代劇とかで忍者が着ている、あれ?」

「そうです。あれよりも軽くて丈夫です。」

「本格的だねぇ。」

「本家で試作したものが、お試しで届いたので使わせてもらいました。」

 さりげ無く、とんでもない事を言った気がするのだが小南先輩は流してる。


「これとセットで。」

 鞄から、赤い長い布を出して首に何回か巻いた。マフラーみたいだけど、首にだけでなく鼻の辺りまで覆い隠していた。

「これも同じ素材です。」

「おーっ。忍者みたいだ。」

「仕上げは、これです。」

 手の甲から肘までの黒いプロテクター(?)を付けた。

「これは、カーボン繊維で作った[鉄甲てっこう]です。試した事はありませんが、銃弾ぐらいなら軽く跳ね返せるそうです。」

「装備全部、本物じゃん。」

 驚く小南先輩。確かに、本物だ。


 全部装備すると、漫画とかでよくある女子高生忍者だ。

「狙い通りです。忍者スタイルは日向んに勧めようとしましたが、よくよく考えれば私がやれば良いのではと思いまして。」

 忍者ぽいポーズを決め、

「これで、目立てます!」

って、忍者が目立ったら駄目な気がするのは私だけ?



 皆の着替えが終わった。


 こっちも手伝事は無かったな…。と、

「後は日向さんだけね。」

 いつの間にか副部長さんがこっちに来てた。

「えぇぇぇぇぇ! また、世紀末女子高生ですか!?」

「それじゃないです。」

と、差し出されたのは…。


 50cm程度木の棒。片側に持手なのか、ロープが巻いてある。持手と反対側に、何やら紙が貼ってあるのに気が付いた。そこには…

「ひのきの棒…。」

 思わず口に出していた。

ひのきかは、不明ですが。」

 そ、そうなんだ。

「はい。」

 次に渡されたのは、板を丸く組み合わせた物、

「これって、鍋の蓋ですよね。」

「正解。でも[ひのきの棒]とセットだから[木の盾]。」

「あの…。」

と言いかけると、

「中々、古い感じの塗装って難しいと解ったわ。」

 わざわざ、古い感じに塗装したみたい。

「で、これを。」

 小南先輩が青い布をマントみたい羽織らせ、首の前で『ギュッ』っと結んだ。

「最後に、これを。」

 百地先輩が、ターバン風の帽子を被せた。

「完成。勇者女子高生。」

 副部長さんがぴょんぴょん跳ねて喜んだ。

「まっ、急ごしらえなのは仕方ないね。」

 小南先輩、無理に用意しなくても…

「雰囲気は十分かと。」

 百地先輩まで…。諦めよう、今日は勇者女子高生になったと…。


 勇者の装備は二つのギリギリで間に合ったみたい。

 一つ目は時間…。今日までに急ごしらえ。

 もう一つは容姿…。ギリギリ勇者に見える…?


「あの…。」

 思い切って、

「こういう格好っていつもやるんですか?」

「必ずってわけじゃないけど、やりますね。」

 副部長さんが答えてくれた。

「なんでって顔してる。」

 小南先輩に見透かされていた。

「これはね、会場に来てくれている人達へのサービスみたいなものかな?」

「サービスですか…。」

「これを、やるとこで盛り上がる。一緒に楽しんで、って感じ。」

「なるほど…。」


「これをやっている人で一番凄いのが…。」

「凄いのが…。」

 思わず小南先輩の台詞を繰り返す。

「今日の対戦チームの部長。」

「えぇぇぇぇぇ!」


 あのエロ部長さんが…。

「ほら、うちの部長ってさ長い黒髪でしょ。」

と、副部長さん。

「はい。綺麗な髪です。」

「それに制服着ると、もうそれだけで別格って感じじゃない。」

「確かに…。普通なのに特別感あります。」

「それに対抗するために、毎日の筋トレに牛乳は欠かさないとか。」

「影の努力…。」

 私もやったら『ボン・キュッ・ボン』になれるかなぁ…。って筋トレは毎日やってるから、足りないのは牛乳!?(背景に『ボン・キュッ・ボン』の私が映る。)


「うん、そう。衣装選びからお化粧まで手を抜かない。」

「あのエロさは計算されたエロさ!」

「そう言うことです。」

 恐るべし、エロ部長さん。


 『コンコン』とノック

「準備出来たそうです。」

 さっきの女子生徒。

「は~い。行きます。」

と、副部長さん。行こうとすると、

「日向さん。これを。」

 白い布を渡された。

「これは?」

「衣装の上から着てください。」

 手に取ると、それはローブって言う名前だったような…。

「それを着て、付属のフードを被れば衣装見えないでしょ。」

「なるほど…。」

「で、対戦直前に脱ぐと…。」

「盛り上がるですね。」

「そうです。」

 ニッコリ笑った副部長さん。


 ローブで衣装を隠し、外へ出ると女子生徒による花道が作られていた。

 歓声を浴びながら、先程の用意された場所へと戻って行った。


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