当日
光の速さで、明日へダッシュ。
その勢いのままに、午後となった。
「揃いましたね。では、参りましょう。」
「は~い。(✕6)」
部長さん、副部長さん、小南先輩、百地先輩に私の手には昨日の用意した鞄。
八束先輩と美星先輩も別の物が入った鞄を持っていた。
近くの駅から電車に揺られ、西高の最寄り駅で降りる。
「こっちです。」
部長さんが先導…。と、言っても私が初めてだからみたい。他の人は迷わず進んでるから。
そして、西高の校門に到着した。
すると、門柱の陰から
「お待ちしてました。」
声がかかり、西高の制服(だと思う)の女生徒が出て来た。
「お迎えありがとう御座います。」
部長さんが頭を下げると他の人も合わせる様に下げた。
遅れた! 私も慌てて頭を下げる。
「では、こちらへ。」
案内の女生徒に付いて歩いてるうちに、キョロキョロしてたみたい。
「日向んあんまり、キョロキョロしちゃ駄目だよ。」
小南先輩が小声で注意してくれた。アチャー、無意識でやってたみたいだ。
「は、はぃ。」
直ぐに、体育館が見えてきた。
「中へどうぞ。」
と、促される。
通路を抜けると、そこは戦場だった。
私は目の当たりにした光景に驚き、
「美星先輩。」
と、声をかけた。
「何ですか? 日向さん。」
「西高って、女子高でしたっけ?」
そう、その疑問が生まれたのは体育館を埋め尽くしていたのが、女子生徒だけだったから。
「いえ、うちと同じ共学のはずです。」
やっぱり…。
「ここの部長は、女子生徒に人気ありますから。」
と、付け加えた。
「そうなんですね…。」
「たぶん、男子生徒は近付けないんじゃないかな…。」
反対側から小南先輩も付け加えた。
そう言えば、女子生徒の大半は団扇やタオルにペンライトの応援グッズを手にしてるし、更に加えて半被まで着込んだ女子生徒まで居る。
どんな人だろう、部長さんの宿敵ってと興味が湧いた。
用意された一角に荷物を下ろしたところで、
「部長人気なのか、ここは恵まれてる。」
と、副部長さん。確かに、体育館の中央の一段高くなった場所にコックピットが向かい合わせに五台ずつ、計十台が置かれているし。天井から下がる大型モニターは、客席のどの方向からでも見える様に四角形に配置されている。
「うちの学校も、もう少し気合と共にお金入れてくれると助かるんだけど…。」
小南先輩が愚痴る。
「あの設備は、ほぼ寄付らしいですよ。」
と、部長さん。
「そうっか。それじゃあ学校関係ないか。」
「うちは、うち。他所は他所です。」
部長さんの言葉でこの話は終わった。
「操縦桿は出さなくていいてすが、各自其の他の準備をしてください。」
「はい!(✕6)」
緊張感が返事に力強さを加えていた。
「部長。」
八束先輩が話はかけた。
「機体、用意する?」
少し考え、
「お願いします。」
と、答えた。
「了解。準備しとくね。」
タブレットを取り出した。それを見た私は、どうしても好奇心に勝てなくなり、
「こんな時に、すみません。」
八束先輩に話しかけた。
「何? セッティング?」
「いえ…。前々から気になってたんですが。部長さんの機体って…。」
「ああ、部長の機体ね。」
「私の機体がどうかしましたか?」
と、部長さんが来た。
「こんな時なんですけど、気になってて…。どんな機体かなって…。」
「なるほど、思わせぶりでしたからね。」
「部長の機体は、汎用機に分類されるんだけど…。」
うんうん。
「前、セッティングした時、自動じゃない機体って言ったの覚えてる?」
「言ってましたね。」
「まさに、それなんだよ。」
「デリケートでシビアな機体ですかですか…。」
「そそ、開発したメーカーが高性能汎用機を目指して作ったら、逆に扱い難くなった、でも凄い性能の機体ってロボットものにはよくある奴。」
「た、確かに。主人公だけが乗りこなせるってパターンですね。」
「そそ。」
それを聞いていた部長さんが、
「私は主人公じゃありませんが。」
と微笑んだ。
十分、主人公の素質はあると思うんだけど…。
「話聞いて、解った気がします。」
「何よりです。では、気持ちを切り替えましょう。」
「はい。」
まだ見ぬ部長さんの機体。楽しみだ…。
ふと、思う…。
何が、楽しみなの?
実物を見るの?
それとも、一緒に戦うのが?
答えが解っている質問を自分にしてると気が付いていた。
そう、答えは…。
戦うのが楽しみなのだと。




