解説
真っ暗闇、突然のスポットライト。
浮かび上がる丸みを帯びた背もたれ付の椅子に背を向け座る人物。当然椅子の脚は一本で回転する様になっている。
椅子が回転してこちらを向いた。
その人物は私、日向葵。そう、ここは私の脳内空間。
「先程の実宏との会話で、部長さんの速さの秘密が解ったとは思いますが、ここで改めて解説をしておきます。」
「何、カッコつけてるのよ、葵。」
横からスポットライトの光の中に出て来る。
「もう、実宏ぉ。ここは私の脳内空間だから出てこないでよ。」
椅子から立ち上がり実宏を光の外へと押し出そうとする。
「いいじゃない、私出番少ないんだからぁ。」
「ここは、私がかっこよく解説するシーンだからぁ…。ねっ。」
「仕方ないなぁ。今度、長めに出してよ。」
渋々光の外へと出てくれた。
「はっ! お見苦しいところを…。」
頭を下げ、椅子へと戻る。
「コホン。」
喉の調子を整え、
「では、改めて。」
少し間を置き、
「部長さんの速さ。それは、先程の会話に出てきた『グリップ』だと思います。」
身を乗り出し両方共に膝の上に肘を起き掌を合わせた。
「私は、いつもいきなりペダルを目一杯踏み込んでいます。」
(ここは、後にそのシーンがでているはず)
「その為に、タイヤは暫く空転してから『グリップ』でした。」
(私の機体のタイヤの空転シーンね)
「ですが、部長さんはタイヤを空転させないギリギリで回転させている。」
(部長さんの機体のタイヤのシーンね。)
「だから、加速にロスが無いので速い。」
(部長さんの機体の加速シーン。)
「操縦桿とペダルの絶妙なコントロール、それが秘密です。」
(部長さんの手元と足元の対角線の二分割シーン。)
「空転させないという普通の事を凄いレベルでやっているんですよ。」
(あっ、実宏がシーンに割り込んできた!)
「実宏が言っていた、『普通の事を普通じゃないレベルでやってるから凄い事なんじゃないの?』は当っていたって事です。」
(実宏がダブルピースした!)
「更に解ったのは…。」
ちょっとためよう。
「やはり、[ベタな神様]は居ます!」
突然スポットライトが消えた。
「えっ、何!?」
慌てた。
「もうちょっと話したいのにぃぃぃぃぃ!」
以上、私の脳内空間からお送りしました。




