砂漠
「セットアップ終わりました。」
少し遅れて
「セットアップ終了しましたわ。」
「了解しました。」
確認後に『プッ』って音がコックピットの外から、
「お二人のセットアップ完了を確認しました。では、次は機体と武装のセレクトです。」
と、聞こえてきた。今のはマイク切り替えたんだと解った。
舞台の大型モニターが二分割されて、向かって右が私の機体で、左が桃河さんの機体を映し出した。らしい、私はコックピットの中だから見えないよね。
「と、言っても…。本日は機体と武装は固定でですので選びません。」
司会者が盛り上げると、観客席から『どっ』と笑いが起きる。
「なので、機体をご覧ください。」
大型モニターに二人の機体が映されていたみたい。
コックピットのモニターに私の機体が3Dのカラーで映し出された。いつもなら、緑のワイヤーフレームだけど色付きだ。それがゆっくりと横方向に回転している。
あっ…。とりあえず、私が乗る機体の説明しとく。
前にも言ったけど、ファイルは線で描かれてたから色は無かった。
色付きで見た第一印象は《量産機の緑色》。胴体が如何にもって緑色で塗られてて、頭と両腕と両脚は薄いグレー…。
シルエットは、前に桃河さんが使っていた『白い奴』と同じで長方形の人に近い…。ササラセ精機は、人の形のデザインで統一されているのかも…。
細い所は…。
先ずは、脚から。脚は足首の辺りが外側に広がった感じで、ダッシュ用のタイヤは当然付いてる。人間なら靴を履く所と膝当が黒い。
次に腕は、肩当装甲の外側の端っこがに上に向かって尖っている。
胴体はウエストがキュッてなってて、スカート履いてるみたいだけど…。私の言葉のストックに他に表現できるものは無さそう…。それと、お臍みたいに四角いグレーが…。挿し色? じゃないよね。
最後に頭…。なんと額から後ろに伸びる様な[角]が付いている! ファイルによるとアンテナらしいけど…絶対に[角]だよね。
ついでだから、武装も説明終わらせとこう。
メインは、右手のライフル。使っていたのとは、違って威力の高い大き目の弾を単発で撃つ奴。ヘビーライフルって種類らしい。
サブに背中に背負ったキャノン砲が、右肩から伸びる。
左は、凸レンズみたいな大型のシールド。背中に専用のフックがあって背負えるみたい。後、シールドの内側に発射式グレネードが付いている。
白兵武装がちょっと変わっていて、両薙刀ってファイルにあった。使用しない時は『Z』字を上から押し潰した様な感じで折り畳まれ、腰に装備されてる。『Z』の横の二本が薙刀の刃になっていて、斜めの部分が持ち手になっている。使う時には、一直線に伸びて『ジャキーン!』ってなる。これ考えた人の趣味入ってるよね。
私のは、こんな感じ。この機体がどんな動きをするのか、楽しみ。ワタシ、ワクワクするぞ!
いつもより短い、機体選択のカウントが終わると、桃河さんの機体が私の機体と同じ様にカラーで表示された。
こっちも、説明しとくね。
第一印象は、ファンタジーに出てくる様な【鎧】って感じ。やっぱり、人の形に近い。
色は、頭、両腕、両脚、お腹辺りが水色で、胸と腰辺りが濃い青色。
こっちも細部の説明をしとくね。
先ずは脚から。私の機体と似ていて、足首の辺りが広がっていて、足首から先の部分と膝が濃い青色。同じ様にタイヤが付いている。
次に腕。シンプルで私の機体みたいに肩には何も無く、肩当が丸い。格闘機体って言ってたから、動き重視のデザインなのかも…。
胴体は、コッチもウエストが『キュッ!』ってなってて、本当にスカートみたいヒダヒダの様な腰の装甲。
頭は特徴的で、菱形を上に『ギュッ』って伸ばした感じで、その上に、もう一つちっちゃーーい菱形が乗っている。本当にファンタジーの鎧みたい。
武装に関しては、細いデータが出ないから外観から推理するしかないけど。
背中に縦長にバッテンになってるのは、どう見ても剣が二本…。って事は、二刀流!? ちょっとカッコいいかも。
いちばん気になるのは…。両肩の後ろにそれぞれ円い中型の盾が付いている…。どうやって使うんだろう? 剣から持ち変えて使うのかな?
後は、目立った武装は無いみたいだけど…また、盾の後ろに隠してあるとかかな?
とりあえず、桃河さんの機体は『青い奴(仮)』にしとこう…。イメージがちょっと違うのでしっくりこないから。
考えていると、選択のカウントが終わり、
「それでは、戦闘フィールドを決定します。」
観客席から、『おーっ!』と声が上がる。
「戦闘フィールドは、ランダムで決定になっています。さて、どんなフィールドになるか!」
と、観客を煽る。
「ポチッと!」
先程と同じ様に、手にしていたスマホらしきものを押す司会者。すると、モニターに戦闘フィールドが、目まぐるしく映り変わっていく。それは、まるで…、『フィールドのルーレットやぁ〜』と言わんばかりに。
「さてさて、どこになりますか?」
フィールドのルーレットの映り変わる速度が次第に落ちる。
「そろそろか?」
と、司会者が。ルーレットが今にも止まりそうで、観客も静かになった。
そして決定された。
「おっと! 今回の戦闘フィールドはぁぁぁぁぁ! 砂漠3だぁぁぁぁぁ!」
「おーーっ!」
と、観客席。
「砂漠3はいわゆる砂地ではなく、岩場の砂漠です。なんでも、某国の南部をイメージしているとか…。」
私がいるコックピットのモニターに、戦闘フィールドのマップと詳細が映し出された。
「砂漠3か。イメージしている砂漠と違って本当に岩場なんだ…。一面が煉瓦色だ。」
ふむふむ…。
「広さは小の大程度で…。高低差がある。」
なるほど…。
「ランダムで、砂嵐が発生して視界が悪くなる…。」
な、なんて意地悪なフィールドだ。
モニターに小窓が開き
「どうですか? 葵さん。」
「いけますよ。桃河さん。」
「それは、何よりですわ。では、模擬戦ですから…。」
「模擬戦ですから…。」
と、桃河さんの言葉を繰り返し…。
「それでは、皆さん!」
司会者が観客席に向けてアピールした。
「パンツァーァァァァァ!」
少し言葉をためてから、
「ファイトォォォォォ!」
右の拳を握りしめ、
「イェーガーァァァァァ!」
膝を曲げ、
「ゴォォォォォォォォォォ!」
伸び上がると同時に右腕を高く掲げる!
それは、観客も同じ。
「本気でいきますわよ!」
「本気でいきます!」
お互いの口元が、愉しそうに笑った。きっと、ゴーグルで見えない目の奥も同じに違いない。
ワタシ、ワクワクするぞ!
次期主力機体候補の二機が、戦いを開始した。




