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「では、先程話に出ていた[オーバーウェイト]について説明します。」

 何だろう…。楽しみだ。

「今までは機体の積載重量内での、装備選択でした。この積載重量は其々の機体で決まっていて、この範囲内で装備した場合は、機体の移動力、機動力、バランスがたいして変わりません。」

「なるほど。そう言う設定だったんですね。」

 美星先輩が一息入れた時に相づち。

「機体の積載重量を超えて装備する事をオーバーウェイトと呼びます。」

「いっぱい装備できるんですか?」

 頭の中でモヤモヤと装備で着膨れした機体のイメージが出た。

「無制限と言うわけにはいきませんが、多く積めます。」

「おー。選択肢が増えますね。」

「です……。」

と、溜めた美星先輩。

「が、積載重量を超えれば超える程に、移動力、機動力が低下し、更にバランスを崩し易くなります。」

「あっ…。」

「特に、バランスは繊細なコントロールが必要になります。」

「良い事ばかりじゃないって事ですね。」

「そうです。まあ、下がった移動力、機動力に関しては、補助の装備を取り付け補うという事も出来ない事はないですが。」

 ふと、百地先輩が前に使っていた移動を補助する装備を付けていたなと。

「前、百地先輩が使っていた。」

「そうです。あの時は、積載重量内でしたから単に移動力の底上げでした。」

 そっか、武器ばかりが装備じゃないって事なんだ。

「オーバーウェイトは、やってみれば解り易いと思いますから。」

「やってみたいです!」

「では【リョウサン】に最初の装備をして、左に[キャノン砲]を加えてみましょう。」

「ワクワクします。」

「あっ、日向さん。キャノン砲は上と下どっちが良いですか?」

「上と下?」

 何の事やらさっぱり解らない。

「肩の上から出すが上で…。」

 左手で肩の上にキャノン砲を構える仕草。

「腰の横から出すのが下。」

 左手で腰の横にキャノン砲を構える仕草。

「今風は、下ですね。其々、良い所も悪い所もありますから、後は好みですね。」

 美星先輩の腰の横に構えたのが、凄いカッコ良かったので、迷わず、

「下でお願いします。」

と答えた。


 美星先輩はタブレットを操作しセットした。

「外観はこんな感じかな?」

「カッコイイ!」

「この装備は、とりあえずS −10に入れときますね。」

 心が踊る。ワクワクが止まらない。

「動かしてみましょう。」

「はい。」

と、コックピットへ入る。



 セットアップし、機体を選択。

 お楽しみの武装を選ぶと、モニターの真ん中に黄色い大きな文字で[OVER WAIT]と表示された。

「準備できました。」

「では、上げますね。」

 いつもの見慣れたリフトアップが、今日は違って見えた。


 地上に上がると同時に動かしてみる。

「行けぇー!」

 機体の脹脛ふくらはぎに装備されているタイヤが、『ガコ!』って降りて地面に接地からの高速空転!

 そして「ギャウ!」と空転から地面を捕えダッシュする。

 感覚として、今までよりも出だしは遅く、加速も同じく遅く感じた。


 操縦桿を右に倒して、旋回してみる…。やっぱり、反応が鈍く感じた。


 暫く動かしてみて、感覚を覚える。大体こんな感じかな。と、

「敵をお願いします。」

「了解です。どんな敵にしますか?」

「えっと…。【リョウサン】で装備は今まで私が使っていた奴で。AIちょっと強目で。」

「セットしますね。」


「再スタートします。」

 モニターがブラックアウトし、再スタートされた。


 [オーバーウェイト]の戦闘はどんな感じな?

 ワタシ、ワクワクすっぞ!


「ギャゥゥゥゥゥ!」

 軋むタイヤが、大地削る!


「ダダダダダァ!」

 吠える銃口が、大気を穿つ!


「ザシャァァァァァ!」

 交える剣の軌跡が、火花を散らす!


 敵を破壊し、モニターが勝利の[YOU WIN]を表示する。

「どうですか?[オーバーウェイト]での戦闘は?」

「今までとは全く違った感じです。戦いで、余計に神経が削られる感じがします。」

「なるほど。バランスが変わってますからね。」

「そうですね。これはこれで楽しいです。」

「では、他の装備も試してみますか?」

「はい。」

 頭の中では、どんな装備しようかと考えていた。


 そして、気が付いた…。圧倒的に武装の知識が足りないって…。また、ファイル借りて帰ろう。


 美星先輩が提示してくれる武装を選んでは試してみる。

「う~ん。」

「どうかしましたか?」

「どうしても、シールドで左に装備した武装が使い難いなって。」

「なるほど。では、こんなのはどうでしょう?」

 それは、背中に装備するミサイルだった。

「これは、上に発射してから目標に向うので、シールドは妨げにならないはずです。」

「こんなのもあるんですね。」

「その代わり、近くが狙えません。超遠距離専用です。」

「ふむふむ。」

「後は、脚に付ける武装とかもありますよ。」

「脚ですか!」

「です…。使い方は制限時間されますが…。」

 モニターに両脚に装備するミサイルが映し出された。

「高低差とか、遮蔽があると発射口が隠れて使えないんですよ。」

「あっ…。」


 武装を試すのはやっぱり楽しい!

 [オーバーウェイト]のお陰で、選択肢も増えたし。

 移動系を装備した時は、武器ばかりが装備じゃないと改めて解った。


「後…。」

「?」

 意味ありげな語尾。

「[オーバーウェイト]で機体を運用するよりも、機体を変更した方が良い場合があります。」

「はっ!」

 思い付かなかった! その手があったか…。これは、読まないといけないファイルが増えた。


 あれこれやっている内に

「そろそろ、終わりましょう。」

と、いつも終わりを告げる部長さん。



 ブリーフィングルームへ戻ってくると、

「[オーバーウェイト]はどうでしたか?」

 部長さんからの質問。

「楽しかったです。今までとは違った感じでした。武装とかの選択肢が増えるのも楽しかったですが…。」

「?」

 含みのある言い方に、皆が『ん?』って顔になった。

「美星先輩の一言とが衝撃的で…。」

「なんて言われたんだ?」

 小南先輩が身を乗り出して聞いてきた。

「[オーバーウェイト]でやるよりも、機体を乗り換えた方が良い場合があるは、目から鱗でした。」

 一瞬の沈黙。からの、大爆笑。私も釣られて笑った。


「確かに、最近は機体のバリエーション増えたから[オーバーウェイト]よりも有効かもですね。」

 部長さんが腕組みした状態から、右腕を立てて顎に手を伸ばして言った。

「そう言えば、最近は[オーバーウェイト]は[パージ]専用だよな。」

 小南先輩も右の人差し指で眉間をツンツンしながら言った。

「ですね。[パージ]専用ですね。」

 美星先輩も賛同した。新しい言葉[パージ]って何だろう? 疑問に思う顔をしていたみたいで

「日向さん。[パージ]はね…。」

と、少し考える部長さん。

「えっと、言葉の説明よりも実際の使い方で説明した方がいい分かり易いかな?」

 そういう説明の仕方もあるのかと、ちょっと驚いた。

「【リョウサン】に今まで使っていた装備をして…。」

 モヤモヤ再現スタート! ふむふむ…。

「後は手足、背中にと積めるだけ、ミサイルを積む。」

 モヤモヤ、機体がハリネズミの様な感じになった。

「スタートと同時に、ミサイルを全弾発射してミサイルを撃ち尽くす。」

 『ドババババババァァァァァ!』

 妄想発射してみた。

「空っぽになったミサイルコンテナ、発射管を外して捨てる。」

 機体からドサドサと外すイメージ。

「装備を外すのを[パージ]するって言うのよ。」

「なるほどです。でも、なんだかズルい様な気がしますけど…。」

「それに関してはレギュレーションの選び方ですね。」

 美星先輩が説明してくれた。

「今の様な運用だと、[カスタム][オーバーウェイト]何でもありのオープンクラスかな?」

と、小南先輩。

「ですね。オープンクラスではよくあるみたいです。」

 タブレットで確認しながらの美星先輩。


 『あれ?』と不思議に思った。

「[オーバーウェイト]って、[カスタム]じゃないんですか?」

「説明がまだでしたね。」

と、美星先輩が答えてくれる。


「[カスタム]は、機体のパーツその物を取り換えたりのレギュレーションになります。」

「そんな事もできるんですね。」

「このゲームの醍醐味、主流と言っても良いと思います。例えば、【リョウサン】の腕を【弩万】に交換したりできます。」

 モヤモヤっと頭の中で交換してみる。

 【リョウサン】が、ゴリラロボのイメージになった!

「凄い!」

「更に、一から機体を創る事もできます。オリジナル機体です。」

「オリジナル機体!」

「ただし、この専用のメモリーが必要になりますが。」

 副部長さんが、白いお弁当の様な物を見せてくれた。

「です。この専用メモリー内で、機体を造ります。一つのメモリーで一機が保存可能です。」

 ふむふむ、その内に必要になりそう。

「前は大変な作業でしたが、最近はサポートのソフトとかが充実してきたので、手軽になりました。」

 タブレットで見せてくれる美星先輩。

 あっ! 『親父が、夢中になる訳だ!』ってCMあった気がする。


「でも、機体のバランス等などの調整が大変で、余程の知識がないと完全オリジナルは…。」

「やっぱり…。」

「日向さん。うちにはね…。優秀なメカニックが居るから[カスタム]も平気ですよ。」

 ニッコリと部長さん。

「あっ。まだ会ってない幻の先輩ですね。」

「そそ、八っチーね。」

 小南先輩が頭をポンポンしてくれた。


「後、[カスタム]機体もレギュレーション内で仕上げれば、ノーマル機体と同じ扱いで使えますよ。」

 美星先輩が付け加えた。

「それ、良いですね。」

 ヤバい、ワクワクが止まらなくなってきた。



「でね、このメモリーを使うと利点は、機体を[カスタム]できる様になる事だけど、反面…。」

 えっ、部長さん。悪い事でもあるの?

「機体に大ダメージ受けると、機体が[ロスト]。つまり、破壊されて二度と使えなくなります。」

「えーっ!」

 機体が使えなくなるなんて…。本格的過ぎる…。

「他にセーブとかできないんですか?」

「この専用メモリー内でしか、機体は[カスタム]できない仕様になっていますから。」

「機体が使えなくなったら悲しいですね…。」

「でもね。日向さん。機体が使えなくなって悲しいばかりじゃないですよ。」

「えっ、何かあるんですか?」

「それはね…。」

 部長さん得意の溜めだ。解っていても、いつもドキドキする。

「機体が使えなくなる…。つまり、機体が破壊される…。」

 ゴクリ。

「それは、敵が強くなり。また、自分が強くなり。今までの機体が自分の操縦スキルに付いて来なくなった証拠!」

「あぁ! 聞いたことがあります!」

「でしょ! 新たな『力』を発揮できる『機体』を手にする時を知らせているのよ! そう、それはパワーアップ!」

「そ、そうなんですね!」

 そうだったのか…。言われれば納得だ。パワーアップ! 心が踊る!

 ググッと右の拳に力が入った。


 私が落ち着くの待っていたかの様に美星先輩が、

「後は、メモリー使うと[アクセサリー]が多く使えますよ。」

「[アクセサリー]?」

「こんな奴です。」

と、タブレットを見せてくれた。


 そこには…。


 [一本角][V字角][VV字角(Vに少し広めのVが付いてる)]ものから始まり、肩の刺、腕の刺、足の刺がいっぱい…。

「[アクセサリー]は、外観の要素だけで性能には影響ありません。」

「お勧めはですね。」

と、部長さん。

「胸に[獅子]です!」

「あるんですか!」

「当然、ありますよ。」

 考えないとだな…。


 美星先輩が、

「極端な事をすれば、全身のデザインが変えられますが…。メモリー使うので、機体と共に破壊される可能性があります。」

「あっ…。」

「今、使っている小型のタブレットでも、[カラーリング]に[アクセサリー小]が少しと、[アクセサリー中]なら一個は使えますよ。そっちは破壊されないですから、安心して使えますよ。」

「パイロットの戦績データと装備のセットだけじゃなかったんですね。」

「です。」

 読まないといけないファイルがまた、増えたぁぁぁぁぁ! これが、嬉しい悲鳴かな?


 その日は、ファイルを多く借りて帰ったので…。凄い重かった。


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