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属性

「で、対戦相手はどんな人?」

 小南先輩は興味津々。

「笹々瀬桃河さんって言う人です。」

 名前を出すと、皆の顔が『どこかで聞いた様な。』って顔になった。


 皆の前に、スッとタブレットを差し出した美星先輩

「この人ですね。」

 画面に映っていたのは、どこかのホームページみたい。そこに桃河さんの顔があった。

「笹々瀬グループの会長の孫。日向さんと同い年ですね。」

「おーっ。」

 何故か皆が、シンクロした。


「桃河さんが、機体をフィギュアスケートみたいにツッーツッーって操ってて。」

 全身で動きを再現したのはお約束。


 美星先輩がタブレットを手元に戻して少し操作し、また差し出した。

「彼女、小中学校のクラスのフィギュアスケートでかなり良い成績残してますよ。」

 動画が再生されてて、その動きは昨日の機体の動きと重なった。カッコいい。

「その動きで私の機体の死角に入り込みながら、剣で突いてくるんですよ。これが上手くて。」


 また、タブレットを引っこめ、操作、差し出す。

「やっぱりありました。」

 美星先輩の報告。で、違う動画を再生した。

「彼女、只のお嬢様じゃないですね。フェンシングでも、良い成績残してます。」

 フェンシングで華麗に舞う桃河さんの姿が、昨日の戦いとシンクロしてるのは言うまでもないね。


「勝ったの?」

 前のめりになりながら、小南先輩が聞いてきた。

「負けちゃました。ニ戦してニ敗です。」

「ほー。彼女やるじゃん。」

 感心した様な小南先輩。

「本当に上手でした。」


 そう言えば、桃河さんから何か大切な事を言われた様な…。


暫しの沈黙。


「あっ、思い出しました。」

「わっ。な、何?」

 目の前に居た分、近くで聞いていた小南先輩がちょっと驚いた様子。

「対戦が終わった後にですね…。」

「後に…。」

 更に前のめりになった。

「桃河さんが私の事を『ライバル』だって言ってました。」


 あの時、驚きのあまり今まで忘れてた。

「ライバル…。確か、部長がこのゲームで人が集まる場所に行くとライバルが現れるって…。」

 ゆっくりと小南先輩が部長さんの方を見るのに合せて、皆も見た。



 今まで黙って聞いていた部長さんが、

「やはり、現れましたか…。そろそろだと…。」

 そろそろって、ライバルが現れる時期があるのかな?

「で、日向さん。」

「はい…。」

 何聞かれるんだろうって、ちょっと構えてた。

「ライバルの『属性』はなんです?」

「ぞ、属性ですか…?」

 リアルで生きていて、人を『属性』で分類するのは初めてだよ。

「分かり易く言うと、彼女を一言で表せるって事かしら?」

 桃河さんを一言で…。何だろう?


 考え中。


 脳裏によぎったのは、当然アノ言葉!

「あります! 桃河さんは…。」

「彼女は…?」

 皆が近くに来ていた。

「『ツンデレ』です!」

「な、なんだってぇぇぇぇぇ!」

 また、被った!


「なるほど、日向さんのライバルは、『ツンデレお嬢様キャラ』と。」

 部長さんが何か考え始めた…。

「ライバルが『ツンデレお嬢様』って、どんだけベタなんですか。」

 美星先輩が突っ込んだ!

「あら、美星さんベタじゃないですよ。」

「ベタじゃなかったら何ですか?」

 皆も気になるって顔になった。

「『ツンデレお嬢様キャラ』それはベタじゃなくて…。」

 ためて、

「『王道』よ!」


 『カクッ!』っ音がしたよね。今、だって皆軽くコケたもん。


「『王道』ですか…。確かに間違っていないですが…。」

 立ち直った美星先輩が、ちょっと突っ込んだ。

「『ツンデレお嬢様キャラ』のライバルなんて『王道』以外の何者でもないです。」

 高らかに宣言した部長さん。そうだったのか。


「後、解った事が有ります。」

「何ですか、部長?」

 美星先輩が代表して聞いた形になった。

「初め、日向さんが中学のスポーツで名を馳せたと思っていたのですが、違いました。」

「ええ、帰宅部でしたね。」

 受け答えも美星先輩。本当にそうだったし。

「それは、ライバルの設定だったんですよ!」

「な、なんだってぇぇぇぇぇ!」

 またまた、皆で被った。

「だから、日向さんは『転生者』で間違い無かったんですよ!」


 『ガクッ!』今度は少し大きな音がしたはず!

「ライバルが現れたって事は。覚醒の日も近い?」


 その時『カッキーーン!』って時が凍った音が…。


 凍った時の中で私は考えていた。まだ、『転生者』の設定は生きていたんだと。そして【覚醒】って何ぃぃぃぃぃ! と、自分に聞いたけど、答えは無かった。



 暫く考えていた部長さんが

「予定を少し前倒しにしないとですね。」


 はっと我に返った私が質問した。

「予定って練習のですか?」

「そんなところです。」

 安心して良いのかなと、思った所へ部長さんが続けた、

「ほら、いくら『転生者』と言えども、こちらの世界のうつわが耐えられなければ、その力をは十二分に発揮できないでしょ。」

 ヤッパリ、日本語ッテ難シイ…。

「だから、覚醒した時に『転生者』としての能力が発揮できる器に仕上げないと…。」


 今の設定だと器って人だよね。その人って…。

 周り見たら、私の事を皆が見ていた。そう、可哀想なものを見る目で…。


「もう少し時間があると思っていたのですが、予定の組み直しをしなければなりませんね。」

 部長さんの独り言が続く…。


 何かを思い付いた表情になり、

「時間の流れが遅い部屋でもあればゆっくりと準備が出来るのですが…。」

と、皆の方を向き…。

「誰か場所知りませんか?」

 『ドテッ!』コケた…皆が…。


 少しの間。そして立ち直り、

「ぶ、部長。あの部屋の場所は神様しか知りませんから…。」

と、美星先輩が。

 あの、突っ込み方違うんじゃあ…。

「それは残念。流石に神様の知り合いはいないわね。」


「部長さん。」

 思い切って声をかけた。

「何かしら、日向さん。」

「あの…。機体とか武装のファイルを借りて帰ってもいいですか?」

 こっちを見ている部長さんの顔が『何故?』って言ってる。

「今、使っている大きいシールドは防御範囲が広いんですけど、その分死角も大きいんです。この前、桃河さんがその死角に上手く滑りこんで来たんです。」

 次は、それでって顔になった。

「で、色々な組み合わせを試してみたら良いんじゃないかって思って。」

「なるほど。持ち出しノートに名前を書いて、部員の誰かに確認を取れば問題無いですよ。」

「ありがとうございます。」

「それなら、日向さん。」

 美星先輩から声がかかった。

「私が纏めたデータがありますよ。」

 メモリースティックを差し出してくれた。

「家、それを見れるのが無くて…。」

「あら。もし必要ならいつでも言って下さい。」

「解りました。」



「ところで、日向さん。」

 部長さんの纏う雰囲気が変わった。

「はい。」

「さっきの動きですが…。」

 それは私に投げかけられた質問。

「同じ事をしても、相手の方が早く初めているから、追い着くのは大変…。と言うか、無理だと思います。」

 うんうんと頷く、部長さん。

「大尉さんに言われたんです。今は引き出しを増やす時期だって…。」

「えっ、大尉に会ったんですか?」

 部長さんを始め皆が驚いてた。

「はい、桃河さんと戦った時に大尉さんと波門さんに会いました。」

「大尉と波門さんは、うちのOGですよ。」

「えー!」

 今度は私が驚いた。

「最近は、大学の方がお忙しいみたいですが、そのうちにここにも来られるでしょう。」

「はい。」

 また、大尉さんと波門さんに会えるって思うと嬉しい気持ちになった。


「そろそろ帰らないと…。」

 時計を見た副部長さんがしめた。

「げっ、校門閉められる!」

 小南先輩が慌てて鞄を持った。皆がそれに習って帰り支度。

 私は、ファイルを借りて鞄に入れた。


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