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 そこへ、

「二人共、お疲れ様。」

 大尉さんと波門さんがやって来た。


「大尉。どうでしたかわたくしの戦い方は。」

「最後のパイルハンマーは上手かったね。」

「お褒めいただき至極恐悦です。」

 両掌を胸の前で組んで、喜んでいる姿は可愛いなと。

「君も、相手の動きを見て実践しようとするなんて凄いね。」

 ば、バレてる…。

「はい、できませんでしたけど…。」

「いやいや、考えてやろうとする事に価値があるんだよ。」

「そうですわ。折角、大尉が褒めてくださっているのですから素直に喜びなさい。」

 何故か、桃河さんに言われると逆らえない自分がいる。

「あ、ありがとうございます。」

「それに、たぶん今は自分の出来る事…、引き出しを増やす時期なんだと思うよ。」


「大尉、わたくし分かりましたわ。」

「な、何が?」

 大尉さんも桃河さんのペースが苦手みたいだ。ちょっと困ってる。

わたくしと葵さんは、まだまだ大尉の弟子になるなんて早いと言うことです。もっともっと精進しないと駄目ですわ。」

 うつむき加減から、上向き加減へと共に右手に力が入る。

「なので、しばらく弟子を選ぶのを待っていただきたいのです!」

「お、俺は構わないけど…。」

「ありがとうございます。大尉。わたくし達もっともっと腕を磨いて、きっと立派な弟子になってみせますわ!」

 右の握りこぶしが決意を表しているようだった。


「ところで、葵さん?」

 急に、こっちに…。

「なんでしょう?」

「攻撃する時に、大声で何か言ってるでしょう。あれは何ですの?」

「あれはですね。魔法の呪文です。」

「魔法の呪文?」

「そうです。攻撃する時に『そこぉ!』とか『もらった!』とか言うと命中率が上がるんですよ。」

「そ、そんな呪文があったなんて、わたくし全く知りませんでしたわ。」

「オリジナルで考えても良いそうですよ。」

「なるほど、わたくしに相応しい呪文を考える必要がありますわね。」

 右の人差し指で同じ側のこめかみをポンポンと叩きながら、何か考えているみたい。


 後ろで聞いていた波門が

「あの呪文って、大尉が…。」

「しっ! しーっ!」

 食い気味で止めた。

「まさか、今でもやっていて後輩に受け継いでるなんて…。」

 どうしたものかという顔の大尉に、

「大尉は、悪戯好きですね。」

と波門が笑った。


わたくしに相応しいとなると、少し考える必要がありますわね。」




「やっぱり、ここでしたか。」

 少し離れたところから、この集団に向ってかけられた声。そのままこちらへ向かって来る。


 近付くとちょっとだけ驚きの事が。なんと同じく顔の三人組だった。ショートボブで、分け目が右、真ん中、左。

 服装はメイド服をアレンジした様な感じで色違い。色は白、茶、緑。

 髪の分け目と服の色が見分け方みたいだ。


「お嬢様。次の予定の時間です。」

 真ん中の茶色い服の人が言ったよね。たぶんだけど…。

「あら、もうそんな時間ですの?」

 スマホで時間を確認して、

「大尉、波門様。大変名残惜しいですが、わたくし次の予定がありまして、行かなくてはなりません。」

 先程と同じ様に、右の掌を軽く胸に当て、左手は腰の後に回し軽く頭を下げ

「では、御機嫌よう。」

と優雅に挨拶した。


 くるりと向きを変え歩き出した瞬間に

「あっ。」

と振り向き、

「葵さん。次の日曜日に同じ時間、ここでお会いしましょう。よろしくて。」


 ちょっと考えて

「は、はい。大丈夫だと思います。」

「良かった。」

 ちょっと嬉しそうに見えたのは、私の気の所為?


「改めまして、御機嫌よう。」

 迎えに来た三人組を引き連れて去って行った。


 私達は、桃河さんと三人組が人混みに紛れて見えなくなるまで見詰めていた。


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