三戦
三度スタート!
今回は、副部長さんとの合流から。考えたら、一人で突っ込んで行く必要は無かったのかな?
打合せ通りの手筈。
私がシールドを構えて先頭。その直ぐ後ろを副部長さんが着いて来る。
二機を縦に列べ爆走する。連係と、呼べる程ではないけど、さっきよりはマシかも。
移動しながら地形をチェック。狙撃なら…。
レーダーに反応が出た。しかも二機!
「えっ!」
今回は待ち伏せからの攻撃じゃない?
直ぐに一機の反応が消えた。が、もう一機は真っ直ぐにこっちへ。
どうする? と、思ったら下る。レーダーの反応がこちらから遠ざかってる。
『ズキューーン!』
機体を弾丸がかすめた。
今のは、狙撃? 下がってる機体は小南先輩? じゃあ、反応が消えたのは百地先輩かな?
「どうしますか? 一旦、止まりますか?」
「このまま、小南先輩を追いかけようと思います。常に正面なら、シールドの効果範囲も広いですし。」
「了解しました。」
下がる小南の機体。追う日向と副部長の機体。百地の機体は何処?
小南の機体との差が少し縮まった、その時副部長の機体の背後に反応が出た。
完全に挟み撃ちの状態となった。
「百地先輩の機体早い!」
追いかけられた初めて気が付いた。武装スロットに走行補助の装備品入れている。
実際に百地の機体の両足にはタイヤに加えて、加速用のブースターが搭載されていた。
「ブースターは長時間は使えないし、武装は減る。けど、私の戦い方には合ってる。」
更に、百地は加速させた。
「思ったより百地先輩早い! 小南先輩追い詰められない!」
「百地さんから倒しても良いんじゃあ?」
「多分、それだとやられます。」
「何故?」
「百地先輩は近い距離が強いで、小南先輩は離れると強い…。二人が強い状態です。」
間を開けて、
「でも、小南先輩は近いがそんなに強くないはずです。狙撃用の武器は再装填とかが時間とりますから。」
続け、
「百地先輩の方は遠距離の武器が無いはずだから、一気に近付いて来る装備を選んだかと…。なので、二人を強いにしないのが私達が勝つだと思います。」
「へ~。解っているじゃない。」
きっちりと考えいた事に改めて感心した副部長。
「じゃあ、私が時間を稼げば良いのね。」
いきなり、副部長が180°ターンからバック走行へ切り替え背中を合わせる。
何か落とした?
左手が腰の辺りに装備されていたバームクーヘン(だってそう見えたんだもん)を地面へと。それは暫く転がり、切り分けたバームクーヘンの様に分かれた。
ばら撒かれたバームクーヘンの欠片の位置へと百地が差し掛かると、連続して爆発が起きる。
「副部長の仕業か。でも、こっちはスピードに乗ってるから致命傷にはならないはず!」
爆発を確認した副部長は、ミサイルを水平に撃ち出した。
「これなら、真っ直ぐにこっちには来れないでしょう。」
煙の尾を引きながら向かって来るミサイルの大群に百地の加速が止まり、回避行動をとらせる。
「やりますね、副部長。」
その表情は嬉しそう。
今の内に、何とか小南先輩を捉えないと。
居た!
「これなら!」
ミサイルを撃ち、タイミングをずらしてライフル!
小南先輩も回避しながら撃ち返して来る。
乱れ飛ぶ弾、軋むタイヤは大地を削る。ばら撒かれる薬莢が、硝煙の臭いを辺りに立ち込めさせる。そう、そこは戦場だから!
とか、渋い声のナレーションが入りそう。
追いつ追われつ、撃ちつ撃たれつ。何度繰り返した事か…。
やがて、迎えた終わりの時。
「そろそろ終わりましょうか。」
部長さんの顔がモニターの小窓に現れ告げた。
前にも思ったけどさ。夢中になると、時を忘れるって言う。やっぱり、時を飛ばしている奴がいるよね。妖精みたいな奴がいるに違いない。その内、会えるかもだ。
「お疲れ様。」
モニタールームで部長さんと美星先輩が迎えてくれた。
「初めての対人戦とチーム戦はどうでしたか?」
「対人戦は、同じ機体を使っているのに、選ぶ装備で全く違う戦い方になるんだって驚きました。」
ちょっと興奮気味な私は続けて、
「装備の選びを考えるのは楽しそうです。チーム戦は、何をして良いのか? 私は何が出来るのか? 解らなかったです。」
話している内に更に力が入り、拳を固く握りしめていた。
「対人戦に関しては、相手の得手不得手がはっきり出ますね。だから、こそチームの動きを予想できると言うものです。」
部長さんの言った事は、さっきの戦いを思い出す。そう言えば、そうだったなと。
「でも、チーム戦に関しては部活のメンバーでチームを組むのは良いのですが、戦うのあたり良くないです。」
「どうしてですか?」
「どうしてでしょう?」
にこやかに返された。質問を質問で返すのは良くないって言うけど、これは部長さんが考えてって事だろう。
考え中。
今回は、私は副部長さんと組んで、小南先輩と百地先輩のチームと戦った。
ステージにセットアップされて、地形の確認をした。地形の確認をした…。
確認した…。
した…。
何故?
小南先輩の狙撃を警戒したから…。
警戒した…。
何で、狙撃してくると思った?
だって、小南先輩は狙撃が得意だし…。
得意だし…。
何で、得意と知っている?
知っている?
それは…。
「知っているからですね。」
部長さんが、にっこり微笑えんだのが答え。
「戦うって、相手が解っていることの方が少ないって事ですね。どんな相手か? 機体は? 武装は? 知らない相手とどうやって戦うか…。それが大切って事ですね。」
ここに来て練習していれば、ある程度部員の人達の事は解ってくる。でも、戦うのがこのゲームなら知らない人とも戦う…。それに対応できる様にならないとだ。
「でも、知らない相手と戦うのが良いのなら、ネット回線で戦えないんですか?」
「それはね、日向さん。」
美星先輩が答えてくれた。
「通信の遅延です。」
「通信のチェーン?」
もやもやっと、頭の中に巨大なチェーンが出て来てジャラジャラと…。
「そのチェーンじゃなくてですね…。」
えっ!? 私の考えが見えてるの、美星先輩!?
「乱暴な言い方ですが、データの受け渡しに時間がかかるって事です。仮に一秒かかれば、画面の相手は一秒前の場所にいた事になりますから。」
このゲームだと、一秒は死活問題だ…。
「もっとかかる事もあります。」
「ありゃ…。」
「それで、やっていると変な癖が付くことも…。だから、集まって戦うがメインになるんですよ。」
「それにね。」
部長さんが割り込んできた…。
「皆が集まって戦うとですね…。」
いつもの期待させる言い方、ドキドキ…。
「ライバルが現れます!」
「そうなんですね! ライバルって響きは憧れます。」
ねえ、美星先輩、突っ込んでよ。信じるでしょ…。
「この辺りだとよく集まってるのは、市内のテックセッター○○○(マールズ)よね。」
そこは、前に美星先輩に聞いた場所だ。
「とりあえず、帰りましょう。」
部長さんのしめの言葉。それで、対人戦&チーム戦の初日は終わった…。
疲れたぁ〜。
でも、楽しかった…。
これが、心地良い疲れって奴かな?
初めての対戦とチーム戦で疲れたのかその日はぐっすり…。
『ゴツン!』
頭痛い! 体制が苦しい!
目を開くと、部屋の角度が変だ。
これは、夢だな。でも、この頭の痛みは本物。
気が付いた。頭が床で、足はベットの上。これは、ベットから落ちたんだ! と気が付く。
体を起こしてみると、掛け布団が反対側へ落ちてるし…。どんだけ、私は寝相が悪いんだ。
アカ助は、しっかりとベットの中央を占拠していた。
何か凄い夢を見ていたきがするけど、思い出せない。
お母さんに見られなかっただけでも…。
はっ! そこにはドアを開き立っているお母さんが!
「何か、凄い音がしたから…。」
聞こえたか…。
そのまま何も言わないで、お母さんは階段を降りてった。
何か言ってよぉ、お母さん…。




